55話目 「リミットレスブレイクバースト」
どーも、作者です。
悠斗の覚醒固有能力については次回解説します。
え?今までの敵キャラほとんど光の力ばっか使ってるって?
キコエナーイ、ソンナコトバハキコエナーイ
では、どーぞ。
「確かに、貴様の能力は神にも劣らん。だが、使いこなせなければただの道具だ。」
むくりと起き上がり、パンパンと足のほこりを払う動作をする精霊。
その顔には怒りが浮かんでいた。
「余裕ぶってる割にはかなりキレてるみたいだな。顔に出てるぞ」
「貴様…!その口、二度と開かなくすることもできるのだぞ!」
悠斗の言葉が精霊の琴線に触れ、怒らせてしまった。
「随分と短気だな。そんなんじゃ彼女もできねぇぜ?まぁ、そもそも精霊に性別が存在するかも怪しいが。」
ふっ、と笑い冗談交じりに言葉を放つ悠斗。起こっている精霊を更に怒らせる結果になることは承知の上でだ。
「ここで貴様を消し去ってやる!」
精霊は地面を思いっきり蹴り、飛び出す。
「さっきお前は使いこなせなければただの道具だといったな。だけど、俺はこの能力が覚醒する前から一緒なんだ。俺が使いこなせないわけがない。」
「屁理屈をっ!」
精霊は思いっきり悠斗の顔へ向けて蹴りを入れる。
だが、その蹴りは悠斗の体をすり抜け、空を切った。
「なにっ!?」
「穿て、千の剣よ」
悠斗は精霊の蹴りがすり抜けると同時に、詠唱する。
「魔法の類か!だが、我に魔法は通用しない!」
「魔法?違うな、術式だ」
精霊は何かに気が付き、とっさに後ろに振り返る。精霊は目を大きく開く。そこに待っていたのは
「千の、剣!」
文字通り、千の剣が精霊に剣先を向けて浮いていた。
「『ミスバース!』」
精霊はとっさに魔法を詠唱する。それは、自身への物理攻撃を無力化し、実体があるものは体を通り抜けるようになる魔法だった。
「『リミットレスブレイクバースト』」
その悠斗の声とともに千の剣が精霊に向かって飛んで来る。
「そんな攻撃全てすり抜けるぞ!」
だが、その精霊の余裕は剣が通り抜けようとした瞬間に消え去る。
剣が精霊を通り抜けようとした瞬間、剣は深々と精霊の右足を貫く。
「っ、ぐあああ!」
そして、そのまま左足を、右腕を、右の手のひらを、左腕を、左の手のひらを、
腹を、胸を、すべてを貫く。
「ぐあああああ!!」
深々と体に刺さっていく多数の剣。刺さっては消え、刺さっては消えを繰り返し、千本の剣は一本一本が確実に、しっかりと精霊を貫いていく。
「どうだ?苦しいか?お前はこれ以上のことを仲間に味あわせたんだぞ?」
精霊に剣が刺さっていくのを表情一つ変えずに見る悠斗。
「言ったよな?絶対に許さないと。もっと苦しめ。そして勝負を仕掛けたことを後悔しろ。」
剣は一本足りとも精霊をすり抜けず、外れずに刺さっていく。
まるで、精霊に引きつけられているのではないかと思えるほど正確に。
そして、千本の剣がすべて精霊に刺さり終わった後、地面に1体精霊だったであろうものが転がっていた。
「貴様…」
精霊はもう持たないであろう体力を振り絞り、声をだす。
「まだ息があったのか。目障りだな…!」
悠斗は自分の倍はあるだろう大剣を作り出し、掲げる。
「ひっ…やめ、まだ…死にたくない…!」
「この期に及んで命乞いか…もう遅いんだよ」
完全に消し去る気なのか、剣に火焔を纏わせる。斬撃を放った場所から破裂してはじけ飛ぶだろう。
「もういいよ。お前の顔は見たくもない。消えろ。」
そして、その大剣を思いっきり地面に倒れている精霊に向かって振り下ろす。
「やめ…」
「やめてぇっ!」
悠斗が思いっきり振り下ろした大剣が精霊に当たる刹那、千代の声が部屋に響く。
その声に反応し、悠斗はピタッと剣を止める。おもいっきり振り下ろした剣は、精霊に当たる直前で静止する。
「千代…」
悠斗は声のした方へ顔を向ける。
「もう、いいんだよ悠斗。悠斗がそこまでやる必要はないんだよ…」
ゲホゲホと咳き込みながら、悠斗のほうへ歩いて行く千代。さっき首を締められていたせいか、少し顔色が悪いように見える。
「でも、こいつは!」
「いいんだよ。確かに桜月や智恵、他の人達は消えちゃったけど、死んだわけじゃない。ダンジョンの外で待ってるだけだよ。」
「それでも!」
「それでもいいんだよ。悠斗が苦しむ必要はないよ…悠斗は今まで色々あったでしょ?」
「それは、千代や蒼汰、桜月や智恵が苦しい姿を見たくないから!」
「悠斗は一人で全部背負い過ぎなんだよ。私たちにも一緒に背負えるものがあるでしょ?」
「千代…」
「ごめん、お二人さんお熱いとこ悪いんだけどさ」
「うわっと」
「ひっ」
千代と悠斗の間に大人悠斗が割り込んでくる。
「あぁ、ごめんごめん。ところであの精霊だけどさ、なんなら俺がやろうか?」
「え?」「え?」
「いや、だって話を聞く限り悠斗がやらないほうが良さそうだし、千代…ちゃんにやらせるわけにもいかないし?だったら俺がやるのが適任だろ?」
「それは…」
「そうですけど…」
何故か言いよどむ2人。
「まぁまぁ。2人はそのままラブラブな関係を続けてくれればいいから。さ、行った行った。後は俺がやっとくって。」
2人の肩を掴み、少し強く押す大人悠斗。バランスを崩して倒れそうになるが、大人千代がうまくキャッチした。
「んじゃあ扉の把握よろしくな。扉についたら連絡してくれー。」
「はいよっ」
それだけですべてを把握したかのように、大人千代は残ったメンバーを連れ奥へと進む。
「さて、お前の処理についてだが」
大人悠斗は倒れて動けない精霊に言う。残酷な言葉だった。
「まだ死にたくない…!」
「死にたくない、か。そりゃ誰でも思ってるさ。でもな戦闘を仕掛けちまった以上お前の負けで決着。この世界じゃ敗者に口なしだ。」
「嫌だ…!嫌だ!」
「そうだな。嫌だな。だからこそ、一瞬で終わらせてやるよ」
大人悠斗は先程悠斗が創りだした大剣の数倍の大きさの剣を作り出す。ここまでの大きさになると人が扱えるものなのだろうか、と疑ってしまうほどの大きさだった。
「ひっ!」
「安心しろ。本当に一瞬だ。というかどうせお前らはすぐリスポーンするだろ。それじゃあな。」
悠斗は思いっきり精霊ではなく地面に向かって大剣を振り下ろす。
大きな地響きと共に精霊の体を粉々に砕き割る。そして、それと同時に纏わせた火焔の効果で大きな爆発を起こす。
「あっちっ!あっつい!」
どこか抜けていた大人悠斗は自身の火焔攻撃でやけど状態になってしまう。
「俺のバカっ、なんで対策しなかったんだ!あっちぃ!」
服が燃えてじわじわとダメージを受けながら暴れまわる大人悠斗がそこにいた。
次回更新は9月20日です。




