54話目 「覚醒、固有能力」
どーも、作者です。
この小説は光が多いって?はい、作者も思いました。
作者が光が好きって事も原因なんですが、
光というのは表現しやすいんですよね。
ただそれだけです。深い意味は無いです。
では、どーぞ。
「ほう、我の攻撃を躱せる人間が存在したのか」
光で出来ているその物質は人の形を作り出し、その姿を表す。
見た目は人間だが、体は光で出来ているようだった。
「精霊の類か、もしくは悪魔か?光で出来てる以上悪魔の可能性は低いだろうけどな…」
右手に握ったセイバリティを地面に付きたて、手を合わせる大人悠斗。
「なんであれ、ここは通してもらう。そして、お前が消した仲間の分の悲しみを背負ってもらう。」
合わせた手を放すと、そこには新たな剣が創りだされていた。
大人悠斗はその剣を左手に握り、地面に突き立ててあったセイバリティを抜く。
「これが、俺の現状の戦闘スタイルだ」
今の悠斗が得意とする二刀流スタイル。それは、大人になった悠斗も使っていた。
「いろいろな戦闘スタイルを試した。魔法、錬金術、射撃、槍術、格闘術。だが、やっぱり俺はこの二刀流での剣術が一番向いてるらしい。」
それは、相手にだけではなく今の悠斗にも話していた。
いずれここまで来た時に、自分の戦闘スタイルで悩まないように。
「ほう、だが貴様の戦闘スタイルを今語ってしまったら我が有利になってしまうのではないか?」
その精霊は笑っているようだった。圧倒的な余裕を持っているのだろうか。
「大丈夫だ、その程度で埋まるような差じゃない。格下相手に手を抜くようなことはしないし、格下に負ける気もないしな。笑ってられるのも今の内だぞ?」
セイバリティを相手に向け、挑発する。
「だが、私に属性は効かないぞ?火・水・雷・風・光・闇。更に上位属性の炎・零・閃・烈・聖・暗もだ。」
「精霊に魔法が効くとは思ってない。だからこそわざわざ剣を作ってるんだ。」
ブンブンと剣を振る大人悠斗。ウォーミングアップみたいなものだろうか。
「人間ごときが調子にのりおって。貴様の実力を見てやろう。」
「あくまで俺を下手に見るか。その減らず口どこまで叩けるかな」
2人の間で火花が散っていた。
「あれ、無駄にカッコイイ台詞並べてるけど、やってることは小学生の喧嘩と同レベルだよね…」
大人千代が呆れた顔で2人を見ていた。
「要約すると『精霊に魔法効かないけど物理で殴るからどうでもいい』ってことですもんね…」
千代も呆れた顔で見ていた。悠斗は未来の自分があんな事言うんだなと思い少し恥ずかしかった。
「うるせぇ!俺は好きで言ってるからいいんだよっ!」
その会話が聞こえていたのか、大人悠斗はこちらに振り向き怒る。よほど恥ずかしかったのだろう。
だが、その隙を突いて相手は攻撃を仕掛けてくる。
「悠斗後ろっ!」
大人千代が慌てて叫ぶ。
「大丈夫だ、分かってる!」
悠斗は敵の姿を見ずに、そのまま後ろ向きに飛び上がる。
そして空中で体を捻り、そのまま精霊に向かって右手のセイバリティで突きを繰り出す。
精霊はそれを最小限の動きで避ける。
「まだ終わってねーぞ」
突きを繰り出した右手のセイバリティを放し、左足で精霊の顔へ蹴りを繰り出す。
だが、精霊はそれを読んでいたかのように右腕で大人悠斗の左足を止める。
そのまま足を掴んで振り回し、投げ飛ばす。
「うわっ」
そのまま地面を転がる大人悠斗。だが精霊は攻撃の手を緩めず、追撃を仕掛ける。
光速で転がる大人悠斗の上まで移動し、力を込めたパンチを繰り出す。
グシャッと言う音と共に地面を砕き割る。ミシミシとフロア全体が音を鳴らす。
「この程度か、呆れた」
精霊は一発で終わらすのかと思ったが、手を休めずそのまま大人悠斗へ連撃を叩き込む。
何度も、何度も。渾身の力を込めた一撃を叩きこむ。
「やめろ!」
悠斗は自分でも驚いていた。しっかりとは動けないはずの自分の体が叫ぶよりも早く動き出していることに。
「これ以上やる必要はっ、ないだろ!」
創りだした大剣を精霊に叩きつけるように振りおろす悠斗。
「甘い」
精霊は光速で悠斗の後ろに回り込み、蹴りを食らわす。
「ぐあっ!」
蹴りの威力は高く、大きくふっとばされる。その勢いのままごろごろと地面を転がる。大剣がガランガランと音を立てて落ちる。
「悠斗!」
千代がこちらに走ってくる。だが、精霊はそれを許すはずもなく、千代の前に瞬間移動し、首を掴み持ち上げる。
「ぐっ…」
首を掴まれ苦しそうにもがく千代。助けに行きたいが、体が動かない。
「昔の私を離せぇっ!」
固有能力を開放し槍で精霊を突く大人千代。だが、この槍先は精霊を通り抜ける。
「なんでっ!?」
精霊はその槍を掴み、振り払うように槍ごと大人千代を投げ飛ばす。
「きゃあっ」
だが、大人悠斗が大人千代が地面に落ちる前に空中でキャッチし、自分がクッション代わりになる。
「ぐっ」
「ごめん悠斗、大丈夫?」
「大丈夫だ、それよりも昔の千代が危ない」
「そうだ、今すぐ助けなきゃ!」
「そうしたいんだが、今は無理だ」
「なんで!」
「ここで俺たちが助けたら、未来が変わっちまう」
大人悠斗はぐっと拳を握る。
「俺の固有能力を覚醒させるには、極限まで俺自身を追い込まないと無理だ…」
「それでも!昔の私を見殺しにするの!?」
「見殺しになんかしない…絶対に」
だがその悠斗の言葉にはいつもの力強さがなかった。
「すまん、俺には何もできない…」
「…悠斗」
「無能だと言ってくれてもいい。でも、今ここで俺達が必要以上に干渉したら、どうなるかはわからない…だから、今は我慢してくれ。」
「どうやら、お前の仲間は無能らしいな。誰も我に攻撃をしてこようとはしないぞ?」
ニヤニヤと、笑みを浮かべながら地面に倒れて動けない悠斗を見る精霊。
「くっ…千代っ…!」
さっき蹴られた背中の痛みは強く、立ち上がれない。
「なんでだよっ、今までは立ち上がれただろ…!動けよ俺の体ぁっ!」
全力で叫ぶ。だがその声は虚しく響くだけだった。
「ははははは!その程度の根性論で動けるならば誰も苦労しないというものだ。さぁ、お前の無能さに絶望しながらこの女が死ぬのを見ているがいい。」
精霊は千代の首を締めている手の力を強める。
「っ…!っ!」
首を絞められ声が出ない千代。だが、かなり苦しそうだった。
「やめろっ!やめろぉぉぉっ!」
また、目の前で仲間が消える。嫌だ。もう見たくない。仲間が傷つくのも仲間が消えるのも。
「見たくない、見たくないんだっ!」
動かない体で叫ぶ。体が痛むはずだった。たが、悠斗にそんな感覚はもうなかった。
「何があっても、仲間は守るって決めたんだぁぁぁぁぁぁ!!」
その瞬間、悠斗の体から大量のオーラが放出される。
「うぐぁぁぁぁぁぁぁ!!」
今まで見たこともないほど大量に。更に、そのオーラは空中で金色に輝き、変化する。
そして、その放出されたすべてのオーラが悠斗の体へ戻る。
オーラを吸収した悠斗の体が輝き出す。
「悠斗、あれは!?」
「やっと来たな。よし、ここからは俺たちも動くぞ!」
大人千代と大人悠斗は起き上がり、精霊に向かって走りだす。
「ほう、興味深いな。貴様のその力、神にも劣らん。」
精霊は千代を放り投げ、悠斗の方へ向き直る。
悠斗は千代の方へ手をかざす。すると、千代は地面に落下せずに、空中で停止した。
「ほう…空間をねじ曲げたか」
精霊は試しとばかりに悠斗へ光の弾を放つ。
悠斗は無言のまま手を弾へかざす。すると、弾はその場から消え去る。
だが、次の瞬間精霊は勢い良く吹き飛ぶ。
「ぐうっ!?」
精霊は何が起こったのか理解できなかった。
「お前は絶対に許さない。この力でどこまでできるかはわからないが、もう誰も傷つけない。」
悠斗は、固有能力を開放してそう言った。
「『永久なる無限の概念』」
次回更新は9月16日です。




