45話目 「鈍感な2人」
どーも、作者です。
次回こそ、次回こそ戦闘描写をうまくできるといいなと思っています。
次回は戦闘メイン回なので、少し読みづらくなってしまう可能性もあります。
そこは目をつぶっていただけると幸いです。
では、どーぞ。
「なぁ千代、なんでそんなに機嫌悪いんだ?それになんで桜月は俺の話を聞いてくれないんだ?」
20層を抜け、25層まで抜けてきた悠斗達一行。道中は相変わらず敵やトラップも少なく、簡単に抜けることができた。
だが、その途中千代と桜月は一度も悠斗の話を聞いてはくれなかった。
右翼側にいる蒼汰が指示してやっと動くくらい悠斗の話を聞いてくれなかった。
「なんか俺悪いことしたか?」
何度も千代と桜月に話しかける悠斗。だが、依然として千代と桜月は返事をしてくれない。
「分からない…」
返事をしてくれないことに悩んでいると、桜月と千代がこちらを向く。
「べっつにー?ゆーの心に聞いてみればー?」
桜月はそっけない態度でやっと返事をする。むすっとした顔をしていたが。
「わ、私も別に」
千代が少し怒ったような声で返事をする。だがその顔はどこか恥ずかしそうだった。
「俺の心に?うーん…」
今まで起こったことを思い出してみる悠斗。
ドッペルゲンガーを倒し、無事20層を抜けた悠斗。だが、そこから千代と桜月が話を聞いてくれなくなった。
だから、20層での出来事に何か関係があるのだろう。
だが20層で悠斗は何をしただろうか。ただ単に千代が飛びついてきたことくらいしか思いつかない。
あとはすべて悠斗しか知らないことだろうから。
「もしかしてあれか?千代が俺が飛びついてきたことになんか原因があるのか?」
ふいに口をついて出る言葉。だが、それが正解だったようで、千代と桜月がピクリと反応を示す。
「あ、もしかして当たっちゃった感じか?」
脳天気にそう言い放つ悠斗。
その様子を右翼側から見ていた蒼汰とメアリーが頭を抱える。
「あぁ、どうして悠斗は言っていいことと悪いことの区別がつかないんだ…」
「悠斗様は本当にデリカシーが無いですわね。女の子の気持ちがわかってないですの…」
同時にため息をつく蒼汰とメアリー。この時だけは息がピッタリの2人だった。
「もぉぉぉ!なんでゆーはそういうところを分かってくれないのかな!」
プンプンと怒り出す桜月。怒ってる時ですらすこし可愛げがある。
「本当に分かってないな悠斗!お前はだからいつまでもそうなんだっ!」
何故か腕を組んで怒り出す千代。だがまだ恥ずかしさは抜けていないようだ。
「いや、なんで俺が怒られるんだ…」
いまいち現状がつかめていない悠斗。自分の一言で2人が怒っていることに気がついていない。
戦闘時などの感の鋭さはメンバーでもいいほうなのに、恋愛などになるとものすごく鈍くなってしまう。
そこが悠斗のダメなところだった。
「これは、僕達が教えてあげるべき?」
横にいるメアリーに聞いてみる蒼汰。実のところ蒼汰もそこら辺はよくわかっていない。
「むしろここでは私達は見守るべきですわ。それが桜月さんや千代さんにとってもいいことだと思いますわ。」
達観したような言い方をするメアリー。恋愛のことなら任せろ、と言わんばかりの自信が窺いとれた。
「メアリーさんが言うなら間違いない…のかな?」
ちょっと不安げな蒼汰だった。
「蒼汰様!」
メアリーが何かに気づき、とっさに蒼汰の袖をつかんで傍に引き寄せる。
「っと」
急につかまれてバランスを崩した蒼汰。メアリーに寄りかかるように倒れこむ。
引き寄せられた蒼汰がいた場所に勢いよく火が付いた矢が飛んでくる。
「危ないところだった…ありがとうメアリーさん、ってあれ?どうしたの?」
蒼汰が飛んできた矢から目線を離してメアリーのほうに向きなおすと顔を赤くしたメアリーがいた。
「まさか、さっき僕を引いたときにどこかケガを!?」
慌てて蒼汰はポーチから応急セットを取り出しメアリーの顔を見る。
どこにもケガをしていないか隅から隅までしっかりとチェックする。
だが、その行為がさらにメアリーの顔を赤く染めていく。
「ええええ!?ど、どうしたの!?まさか新種の状態異常…!?」
「…すの」
「と、とにかく早く桜月を…」
「…がいますの」
「え?」
恥ずかしさを堪えて、メアリーは蒼汰に言い放つ。
「違いますのぉぉぉぉぉぉぉ!」
だが、耐え切れずに蒼汰を全力で突き飛ばしてしまう。
「うわぁぁっ」
突然突き飛ばされてしまった蒼汰は地面に倒れこむ。どさっという音とともに砂埃が舞う。
「(な、なんでもないですのただ蒼汰様が私に寄りかかってきただけですのそれだけですのなんでもないですの、ひえぇ…)」
さっき蒼汰を引っ張ったときに蒼汰かメアリーに寄りかかるように倒れこんできた。
とっさの出来事で蒼汰を守るためとはいえ、自分の好きな人物が寄りかかってくれば嬉しいのだが、それと同時に恥ずかしさも出てしまった。
ふるふると頭を横に振ってさっきの出来事を忘れようとするメアリー。
だが、嬉しかったことと恥ずかしかったことが重なり忘れるに忘れられなかった。
「いってて…どうしたの、メアリーさん」
服についた砂をさっさっと手で払いながら立ち上がる蒼汰。
「っぃぃ!」
パニックで自分が何を言っているかもわかっていないメアリー。離す言葉がもう人の言葉になっていなかった。
すると、蒼汰はメアリーを引き寄せて、ぎゅっと包み込むように抱きしめる。
「っ!」
メアリーはさらにパニックを起こしそうになる。
「落ち着いて、ね?何もないし、ケガもしてないからさ」
落ち着かせるようにやさしく声をかける蒼汰。自分がやってる行為がパニックの原因だと思っていないようだ。
ただ、蒼汰はこうしたほうが落ち着いてくれるかもしれないし、メアリーを攻撃から守るには一番だと思っただけで抱きしめたのである。
「はわ、あわわわわ」
頭の中が真っ白になったメアリー。今どんな状況かを把握できていない。
「蒼汰、避けろっ!」
悠斗が叫んだその声が蒼汰の耳に届く前に蒼汰はメアリーを抱きしめたまま固有能力を使う。
「はぁぁっ!」
メアリーを中心とした結界を張る蒼汰。その結界に大量の矢がぶつかってははじかれていく。
「無事か蒼汰!」
慌てて近寄ってくる悠斗。いつの間にか全員が集まってきていた。
「なんとかね。それよりもどこから矢が…」
「それがな、いつの間にか囲まれちまってるみたいなんだわこれが」
蒼汰はあたりを見渡す。すると、ところどころに弓を構えたモンスターがこちらを見ていた。
「それで、ここを抜けようとは思ったんだが…その…」
悠斗はちらちらとメアリーを見る。
「それ、もしかしてお前が?」
蒼汰がやったのではないかという疑惑をぶつける悠斗。
「いや、僕じゃないと思うよ」
「それは確実に蒼汰のせいだろう、間違いない」
横から千代が口を挟む。さっきまで悠斗と喧嘩をしていたはずなのだが…
「とりあえず、蒼汰はここでメアリーを守っておいてくれ。たぶんその状態じゃ戦えないと思うから」
悠斗は銃を取り出し、戦闘態勢に入る。
「全員、絶対に油断するな!相手の総数がわからない以上余計なことしてケガするのだけはやめろよ!」
蒼汰、メアリー、エリス以外の全員が武器を取り、戦闘態勢に入る。
「行くぞぉぉっ!」
その掛け声とともにモンスターの群れに走っていく悠斗達だった。
次回更新は8月10日です。




