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エターナル・ストーリーズ  作者: 燐鏡 剣斗
Chapter5 「Eternal Floor」
46/96

44話目 「新たな武器『銃』」

どーも、作者です。


エターナル・オンラインの世界に銃を持ち込むと、

圧倒的有利になってしまうと思ったのですが、

さすがに魔法だけが遠距離武器になってしまうと

魔法を防げてなおかつ近接もできる者が最強になってしまうんですよね。

なので、今回は銃という新たな選択肢を入れさせていただきました。

そしてタイトルの内容が半分しかないという…


では、どーぞ。

「うーむ…」

手に握っている、悠斗にとっては得体のしれない武器をまじまじと見つめ悩む悠斗。

少し長めで太いの筒の先に穴が開いており、その反対側にはゴテゴテといろいろなものが付いている。

筒の穴が空いているほうの反対に鉤爪のような形をした部品が付いている。

手のひらで握るためなのか、その鉤爪のような部品の下にグリップのようなものが付いている。

手の握る形に合わせているのか、剣の持ち手に比べて、少し歪な形をしていた。

そして大きな特徴なのがこの武器の中心に付いている丸い円柱型の部品だ。

大きい円柱型の部品に等間隔に6個、円形の穴が開いておりその内3個にはなにかがこめられていた。


「こんな武器見たことも触ったこともないな…現実では見たことあるけど」

それは、悠斗が暮らしていた現実ではドラマなどでよく見るものだった。

警察が使っている銃と瓜二つのものだった。

それは、コルト・パイソンと呼ばれるリボルバー式のハンドガン。

デザインがかっこいいため、記憶によく残っていた。


「それで、こっちはあれだろ…」

以前やっていたとあるFPSゲームで愛用していた銃だ。

悠斗の得意武器はスナイパーライフルだった。

その中でも、一撃で敵を撃ちぬいて吹き飛ばす対物ライフルと呼ばれるジャンルの武器が好きだった。

その対物ライフルの中でもひときわ輝きを見せていて、悠斗の心を引いた武器があった。

『バレットM95』と呼ばれる対物ライフル、いわゆるアンチ・マテリアル・ライフルだった。

今さっき手渡された大きなこの銃は、それに酷似していた。

白をベースにところどころデザインが施されていた。


「なんでこんな武器がエターナル・オンラインに…」

今までエターナル・オンラインの世界には銃という概念がなく、創ろうとしたことはあったが作れずじまいで終わっていた。

それが、今自分の手の上に実在している。

今まで使えなかった武器を使えるというワクワクと、本当に思っている通りの武器なのかという得体のしれない不安感もあった。


「悩んでても仕方ないな、次の層で試せばいいか」

悠斗はコルト・パイソンを腰に巻きつけたホルスターにしまい、バレットM95を背中に背負った。

すると、背負うと同時に紙がひらひらと落ちる。

「おっと」

それが地面の水について濡れないようにギリギリでキャッチする。


「手紙…っぽいな」

4つ折りになっていたその紙を開く。

そこには、さっきの人物からと思われるメッセージが書いてあった。


『この紙を見つけたってことは、今頃この層を出ようとしてる頃だと思う。

 それでだ、この武器の特性についてなんだが…まぁお前さんならわかるだろう。

 ただ、弾だけはお前さんが創りだすんだ。見本となる弾は銃から取り出せ。

 俺から言えるのはそれだけだ。それじゃ、あとの層は頑張れよ!』


「短いな…」

シンプルだが、要点だけしっかりとまとめられたメッセージだった。

悠斗はその紙をくしゃくしゃに丸め、勢い良く遠くへ放り投げる。

その紙は暗闇に消え、なんの音も立てずに消えていった。


「そういえば本当にドッペルゲンガーがいなくなってるな…」

気がつくのが少し遅かったが、しっかりと周りを見る。

どこにもドッペルゲンガーの姿はなく、あるのは鏡だけだった。

「この鏡壊さないともう一回出てくるかもしれないな…」

鏡の正面に立ち、握った拳に力を込める悠斗。そのまま力の限り鏡に向かって拳を振りぬく。

「っっっっおらぁぁぁぁ!」

思いっきり鏡に叩きつけた拳はガツンという音を立てながらも、鏡に傷をつけることができない。

「いってぇぇぇ!」

残ったのは、思いっきり殴りつけた拳への痛みだった。


「これ鏡じゃないのかっ…」

ズキズキと痛む拳をかばいながら、涙目で鏡を睨みつける悠斗。

「…?」

すこし不審に思った悠斗は足で鏡を軽く蹴る。

またまたガツンという音と共に鏡の中の自分が揺れる。

「マジックミラー…なのか?」

それは悠斗の世界でエレベーターの中などに設置されている鏡のことで、表から見るとただの鏡だが裏から見ると透けているという鏡である。


痛みが引いてきた右手で鏡をくまなく触る。

すると、鏡の左の部分に取っ手のようなものがあるのがわかった。

「これ、もしかして扉になってるのか」

恐る恐るその取っ手を握り、奥に押す。が、びくともしない。

「ただの装飾かよ…はぁ」

呆れて何も言えずに引くと、ドアが開く。

「ああ、押してダメなら引いて」「悠斗ーーー!」「ぐはっ」

ドアを偶然引いて開けると、千代が勢い良く悠斗に飛びついてくる。

完全に予想外だった悠斗は飛びつかれた勢いのまま地面に倒れる。

「(あ、これ完全にデジャヴだわ)」

バシャンという水の音が悠斗の耳に響く。


「これなんか前にも感じたことあるなこの千代が飛びついてくる感じ」

悠斗は以前千代と桜月のキャラが入れ替わっていた時に桜月が飛びついてきたことを思い出していた。

あの時も、こんなふうにいきなり飛びついてきてすごく衝撃が強かったなと思った。

「それでなんで千代はいきなり俺に飛びついてくるんだ?なんか俺に恨みでもあんのか?」

飛びついてきて服から離れようとしない千代の頭を撫でながら聞く。


「悠斗、大丈夫か?」

蒼汰が扉の向こうからひょこっと顔を出す。

「やりすぎましたわね…まさかここまでとは思ってませんでしたわ」

メアリーも心配そうに顔を出す。

「あぁ、俺は平気だ。それで、やり過ぎたってなんだメアリー?」

「それがですわね…実は」









「悠斗…まだなのか…」

悠斗が部屋の中に入ってから早1時間。

悠斗が攻略するにしてはあまりにも時間がかかりすぎていたのだ。

もし中で条件が達成できずにプレイヤーがリスポーンした場合、扉が再び開き、条件を要求してくる。

なのにもかかわらず、未だ扉は閉じたままだ。

「千代さん、そこまで心配するほどでもないと思いますのよ?」

メアリーが千代の肩を叩き、なだめる。


「心配にもなる…!悠斗がここまで苦戦したのは記憶に無い…!」

ギリギリと歯噛み、扉を何度も叩く千代。よほど心配なのだろう。

「まぁまぁ、落ち着きなさいな。私とて、心配しないわけではないですのよ?」

「だが!」

「他の方々は落ち着いて…というか寝てますわね」

他のメンバーは悠斗の勝利を信じ、休息がてら睡眠をとっていた。

「私が、私が悠斗の代わりに行けばよかったのだ!」

もう一度強く扉を叩く千代。ドォンという音が大きく響く。


「仕方ないですわね…このままでは悠斗様のほうが心配されますわ」

メアリーは千代の傍にすすっと近寄る。

「少しだけ、失礼しますの」

そして千代の首にカプッと噛み付く。

「っ!」

突然メアリーに首を噛まれ動揺する千代。

「な、何をする!なぜいきなり首を噛むんだ!」

「ふぅ。それはですわね、千代さんに落ち着いてもらおうと思ったからですのよ。」

「いきなり首を後ろから噛まれて落ち着いていられるわけがないだろう!」

「いや、まぁ私が千代さんを魅了すれば話は済むんですのよ?」

「…」
















「いや、それで俺に飛びついてくるのはおかしい」

話を最後まで聞いても千代が飛びついてくる理由が全然わからなかった悠斗。

「それがですわね、私としたことが開放してしまいましたのよ」

「開放した?何を?」

「本心、ですわ」

「おいなんてことをしてくれているんだ、そのせいでこうなったんじゃないか!」

「いやー、やってしまいましたわね!」

テヘッ、と舌を出して上辺だけ謝るメアリー。だが、謝られている気がしないのは悠斗だけなのだろうか。


「悠斗…っ!悠斗、悠斗っ!」

すりすりと悠斗の服に顔をこすりつけながらも泣く千代。

「やめろ、服が伸びる!そして泣くな!服が濡れる!」

千代が悠斗の服に顔を埋めながら泣くせいで、悠斗の服が濡れていく。

「(そういえば、この地面に張ってる水だと濡れないんだな)」

改めて水に触る悠斗。感覚は水だが、手や服が濡れることはなかった。


「それで、悠斗?」

気まずそうに鏡の扉の前から声をかける蒼汰。

「あっ、悪い。それで、なんだが…」

「あぁ、わかってる。邪魔者は退散するよ」

「蒼汰様…!さすが、私が惚れた方ですわ!」

メアリーと蒼汰は鏡の扉の中へ戻っていった。


「それでだな、千代。というか話を聞いてくれいつまでも顔を服に埋めるな」

さっきからずーっと悠斗の服から離れようとしない千代。

メアリーは本心を開放したと言っていたが千代の本心はこんな感じなのかと思ってしまう。

いつもは強く、しっかりと芯を持って前線に立ち指揮を取る、強い女性というイメージが強い千代。

そんな千代でも、好きな人はいるし自分の心に素直になりたいだろう。

だが、それは千代のプライドが許さないのだろう。自分のイメージに縛られ過ぎて自分のやりたいことができない、思っていることができないのだろう。


「んん~!」

にぱーと幸せそうな顔で見上げてくる千代。

「くっ…」

その顔を見て悠斗は悔しいながらも少しニヤッとしてしまった。

いつもは見られないこんな一面の千代を見てしまい更にそれが幸せそうな顔だったことでいつもより緩んでしまったのだろう。

それでも千代はやめずに抱きついてくる。

「これは…キツイ」

悠斗は右手で口元を隠す。そうでなければ、自分がニヤニヤしていることがバレてしまう。

止めたいが、このニヤニヤだけはどうしても止まらなかった。

「(くっそぉ、なんでだよ)」

心はかなり嬉しいのとかなり悔しいのでせめぎ合っていた。

「(まぁ、しばらくはこれでいいか…)」

何故か諦めるという選択肢が出て来てしまい、その選択肢に身を委ねることにした。

それは、たまにはこんな思いをしてもいいよなという自分の願望のせいでもあった。

次回更新は8月5日です。

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