39話目 「エターナルフロア突入」
どーも、作者です。
もさもさ、もさもさ。なんだかんだで採集してるだけって楽しいですよね。
作者は作業ゲーは好きではないのですが、採集ゲーは好きです。
では、どーぞ。
「っだぁぁぁぁぁ!」
その声とともに悠斗が右手で振り下ろした剣はオークの顔を切り裂く。
「グビィィィ!」
「もういっちょ、おらっ!」
そのまま左手に持っていた剣で腹を真っ二つに切り裂いた。
「ギェェェェ!」
悲鳴を上げながら消滅するオーク。
「まだ6層なのにこの強さか…相当内部が荒れてるみたいだな」
今しがた倒したオークからドロップした斧を拾い上げ、インベントリにしまう。
武器などを拾いすぎると所有量オーバーになってしまうので考えながら入れてはいるが。
そしてポーチからスタミナポーションを出し一気に飲み干す。
「ぷはっ、美味…くはないな」
冷静に味の感想を述べる悠斗。その表情には余裕すらあった。
「やあぁぁっ!」
向こうでは4人がかりでデビルゴーレムを倒していた。
千代と蒼汰を前線を作り、智恵の後衛からの攻撃に加え桜月の支援。
完璧なコンビネーションだった。
「蒼汰っ、足だ!」
「分かったっ」
蒼汰は一度背中に担ぎ直した大剣をもう一度抜きながらデビルゴーレムの足めがけて振りぬく。
その大剣は見事にデビルゴーレムの足を打ち抜き、バランスを崩させる。
「ゴオォォ!」
足元をすくわれバランスを崩すデビルゴーレム。その隙を千代が逃すはずもない。
「貰った、ここだ!」
少し地面に近づいたデビルゴーレムの頭目掛けて跳び上がる千代。
デビルゴーレムの頭の位置より少し高めに飛び上がった後、落下を利用して剣を振り下ろす。
その剣は見事に頭を打ち抜き、デビルゴーレムの頭を粉砕する。
「ゴォォォ…」
「ふうっ、こんな感じか」
剣を腰の鞘にしまい、一息つく千代。
「さすがだね、ちよちゃん。私の出る幕がなかったよー。」
「私も何も出来てない…」
後衛の2人組が残念そうな顔で千代と蒼汰の元へ。
「クイーンフォレスターの時よりも馴染んできた感があるね。これなら行けそうだ」
大剣を素振りして感覚を確かめる蒼汰。
「あっちは放っておいても大丈夫そうだな…4人で何とか出来そうだ」
呆れたような顔で4人を眺める悠斗。
「にしても予想外だったな…この状態じゃ全く動けないと思ってたあいつらがここまで…」
悠斗の目線の先にはヴァイスリッターに劣らない程の強さを魅せつける2個のチームがあった。
「ルビーズ!パール!左右からの誘導をたのんだ!」
グリフォンの正面から突撃していくアルス。
背中から大剣を抜き、それをまるで槍のように構える。
だがグリフォンも黙ってそれを見ているわけがない。
「ギィェェェ!」
四本の足で地面を蹴りあげ飛び上がり、生えている翼で空を飛ぶ。
その翼を空中で大きく開く。すると、翼の中から羽が大量に飛んでくる。
「くっ!」
羽が飛んでくる位置を予測して回避するアルス。
だが、予想以上に飛んでくる羽の量が多く、よけきれずにアルスの体に羽が刺さっていく。
「ぐうっ」
鎧を貫通して刺さる羽は予想以上に痛みを伴った。だが、勢いを殺すこと無く突撃していく。
「あるおにーちゃん!」
後ろで心配そうにエリスが叫ぶ。
「大丈夫だ、これくらいでやられはしない!」
飛んでいるグリフォンの真下に付き、そこで力を貯める。
「任せろ、アルス」
「自分に任せるっす、アルスさん!」
左右に分かれていたパールとルビーズは、グリフォンの真横の位置に着く。
「ルビーズ、あれで行くぞ」
「了解っす!」
ルビーズとパールと腰の剣を抜き、貯めを入れて構える。
「「穿けっ!」」
ほぼ同時に地面を蹴った2人はグリフォンの左右の翼をそれぞれ剣で貫く。
「ギェェェ?!」
翼を貫かれてバランスを失ったグリフォンはそのままアルスが構えている地面へと落ちる。
「さすがだ、2人共。」
貯めていた力をすべてこめ、槍で貫く要領でグリフォンへ斬撃を繰り出す。
「ぬぅぅぅぅぁぁぁぁ!」
アルスの放った斬撃はグリフォンの胴体を見事に貫き、空中で半分に別れた。
上半身と下半身が半分になったグリフォンはそのまま落下し、消滅する。
「さすがだね!」
「よくやった、流石前衛3人組だ」
エリスを守護していたパロットがエリスを抱えて3人の元へ。
「無事か、エリス」
「だいじょーぶ!あるおにーちゃんのおかげだよ!」
「わ、私ではない。パロットのお陰だ!」
照れ隠しのためかそっぽを向いて怒るアルス。
「おーおー、お熱いこって。なんかじれったいなぁ。」
遠くでニヤニヤしながら眺めている悠斗。
「そういえば俺オーク倒してからこの層で何もしてないな…薬草でもむしっとくか」
近くに生えていた薬草をむしってインベントリに入れる作業を始めた悠斗。
その遥か後ろで、新たな戦闘が始まっていた。
「そんな攻撃、私には当たりませんわ!」
ひらりひらりとシャドウナイトの攻撃をかわすメアリー。
その表情には余裕と哀れみが浮かんでいた。
当たらない、ということがまだ理解できていないシャドウナイトは何度も何度も剣を振る。
両手に剣を持った二刀流のはずなのにもかかわらず避けられる。
「サキュ、頼みましたわ!」
「アルちゃん…もうちょっと、早く…言って」
杖を掲げて魔力を溜めるサキュル。
「これ…時間、掛かる」
杖の先に闇の魔力が溜まっていく。
「大丈夫、僕がカバーするよっ」
メアがサキュルの後ろから飛び出し、シャドウナイトに突進していく。
「喰らえっ、僕の突進をっ!」
固有能力を使用し、翼を作り出したメア。
「とっつげきー!」
走った勢いを殺さないように低空飛行に移り、その勢いでシャドウナイトに蹴りを入れる。
ガシャンガシャンと音を鳴らしながら地面を転がるシャドウナイト。
何事もなかったかのようにムクリと起き上がるが、その瞬間シャドウナイトは悟った。
二度ともう一度立つことは出来ない、と。
シャドウナイトの前には巨大な闇の球体ができていた。
「吹き…飛べ。『ダークネス・ブラスト』…」
闇の球体はシャドウナイトの方へ飛んでいき、シャドウナイトを包み込む。
そして、包み込んで数秒した後、はじけ飛ぶ。そこにはもうシャドウナイトの姿はなかった。
「私の出番は無かったな…」
「私も…なかったです~…」
残念そうにしていた後衛のラミアとアナザーだった。
「おっ、マンドラゴラもあるじゃねぇか!それにハーブも!こんなに質良かったのか…」
鼻歌交じりに薬草をむしってはインベントリに入れる作業を繰り返す悠斗。
とりあえずむしったものを全部入れていたのでインベントリがパンパンになっているのに気がつかない。
「おっ、これもいいな…ありゃ、インベントリが限界か」
ちぎった薬草を手に持ったままインベントリからポーション醸造キットを取り出す悠斗。
台をセッティングし、魔法で火をおこす。火の上に水を入れたフラスコを設置し、沸騰させる。
コポコポと音を立て始めたフラスコの水の音の横で、さっきむしったマンドラゴラをすりつぶす。
そして、ささっと刻んだハーブと一緒にすり混ぜる。
それを沸騰した水の入ったフラスコに入れ、20回ほど振る。
そして元の位置に戻し、また沸騰させる。
「やっぱ専門家に頼んだほうが早かったかなー」
醸造しているポーションを見ながら愚痴る悠斗。
沸騰し始めて少し時間が経つと、ポンッという音とともに煙がフラスコから上がる。
フラスコを火の上から外し、濾過紙を載せたビンに注いでいく。
濾過されたポーションはきれいな緑色をしていた。
全部注ぎ、濾過し終わったポーションのビン10本に蓋をし、ポーチに入れる。
そしてさっき手に持っていた薬草をインベントリに入れる。
「この作業やってる間誰も襲ってこないってことは余程のことだなこりゃ」
ポーション醸造キットを分解し、しまう。
「とりあえず次の階層に向かったほうが良さそうだな。というか10層まで走ったほうが早いな」
移動する準備が出来た悠斗は戦闘を終えて一息ついていたチームを集める。
「この階層は大体制圧できた。でも、正直敵の数が少なすぎる。」
色々しながらも冷静に周囲を見ていた悠斗はそう思っていた。
「だからまず10層のボスを制圧する。多分それで1層から9層までの敵は制圧できるとは思う。」
予測だが、消耗せずに戦える方法がそれだった。
「というわけで、残りの3層は走って抜ける。いいな?」
「それで大丈夫なのか?」
疑問に思ったアルスが悠斗に聞いてくる。
確信がない以上、疑問に思うのはしかたのないことだ。
「多分行けるとは思う。最悪俺が戻って制圧する。お前らほどの戦力を削って雑魚狩りは無意味だ。」
自信ありげに宣言する悠斗。これが、ヴァイスリッターをまとめてきたマスターたる所以だ。
「まぁ所詮ここらへんは本来腕試しレベルの強さだからな。ここで負けるようなら先は無理だ」
悠斗はさっき自分が倒したオークがドロップした斧をインベントリから取り出しながら言う。
「私達は異論ありませんわよ?こんな奴ら相手していても面白くありませんわ。」
メアリーは余裕の表情でそう言った。
「私達も異論はない。だが、道中がどうなっているかも分からないこの状況だ。」
「まぁそりゃ正論だ。無事に残り3層を抜けられるかも分かんねぇ。だけど、行くしかねーだろ?」
「むぅ…分かった、今のマスターはユートだ。ユートに従うとしよう」
「助かる。」
その後、アルスの心配など気にもとめないくらいスムーズに10層まで走り抜けることが出来た。
というのも、トラップも無ければ敵も異常なほど少ない。
敵といえる敵が出てこなかったのだ。
「さて、10層に着いたわけなんだが…」
このエターナルフロアは全100階層で出来ており、10階層ごとにボスが設置されている。
ボスが居るフロアはシンプルで、降りてすぐ目の前に扉がある。
それを開くと、広大なフィールドでの戦闘となる。
障害物や遮蔽物などが無い平坦なフィールドなので実力が試される。
更に、ボスの扉を開ける条件もあり満たさなければ進むことすらできない。
「10層の扉の条件はっと…あ?」
扉を見ていた悠斗から苛立ちの混じった声が聞こえた。
「女性3人パーティでクリア?いきなりこれかよ」
それは、女性3人のパーティのみでのクリアが条件となっていた。
パーティはチームと違い、一時的な同盟みたいなものでチーム関係なく組むことができる。
「まぁまず俺は行けないわな。それじゃあ…」
悠斗はチームの面々を見て、あることを思いつく。
「まてよ?これなら行けるかもしれないな…」
何かを思いついた悠斗の顔はまるで悪さを思いついた子供のような顔だった。
次回更新は7月20日です。




