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エターナル・ストーリーズ  作者: 燐鏡 剣斗
Chapter4 「Hacking Intelligence」
34/96

32話目 「すべてを裁く正義の剣」

どーも、作者です。


タイトルって話の内容を表すものであるべきなのかなと最近思い始めました。

確かにタイトルに書いてあれば分かりやすいですが、

伏線のような使い方もできそうだなと最近考えています。

そして、タイトルの「すべてを裁く正義の剣」ですが、

本来は「すべてを裁く悪意なき正義の剣」になる予定でした。

なぜ変更にしたか、それはちょっとしたシステム上の関係です。

ちょっとした作者の愚痴でした。


では、どーぞ。

静寂が辺りを包み込むヒーリングズ広場。

広場の真ん中では1人の人間が立ち、1人の人間がうつ伏せで倒れていた。

立っている者は息を切らしており、手には魔導書が握られていた。

うつ伏せで倒れている者はピクリとも動こうとしない。まるで死んでいるかのように。


「ハァ…ハァ…勝った…!」

疲れからか、魔導書を手元から落としてしまう。

地面に落ちた本はパタンという音と共に閉じる。

その後、膝が地面に着く。スタミナを使いすぎた。


「これで、これで私がゲーム最強なんだ…!」

勝ちを確信した智恵。相手が動かないという安堵からの言葉だった。

求めていた結果。それは今智恵の目の前にあった。

相田悠斗に勝利するという目標。それは現実として存在していた。


「ははっ、あははっあはははははは!」

笑いがこみ上げてくる。勝った。これ以上ないほどの完全な勝ちだ。

思っていた以上に簡単だった。もっと早く実行に移せばよかった。


だが、その現実は即座に幻想として消えてしまうことになった。

智恵の頬を真っ白な大剣がかすめていく。

切られた頬からは血が流れ、痛みを感じた。

自分がやったシステム変更が仇になった。


「だっ、誰?!」

力が入らないながらも残った力を振り絞って剣とは逆方向に飛ぶ。

着地するときに若干よろける。が、上手くバランスを取り耐える。


剣があった位置を見ると、そこには一人の人物が立っていた。

真っ白な鎧に真っ白な大剣。騎士と呼べるその相貌には見覚えがあった。

悠斗のチームメイト、確か名前を--


「蒼汰だ、貴志蒼汰。お前はちえっちじゃないな」

思いっきり睨みつけてくる蒼汰。その目には怒りが映っていた。

「きっしーもそう言うんだぁ…私心外だなぁ」

ここはあえてまだ智恵のふりをするのがベストだろう。

下手に動けば確実にやられる。


「黙れ。僕、いや俺はお前をちえっちとは認めない。」

「えぇ…じゃあ私はどうやったら証明したことになるの…?」

後ろ手に腰のポーチを開き、本を取りだす。

「今すぐそこに跪け。そして俺が拘束するまで動くな。」

蒼汰は剣を背中の鞘にしまい、智恵の方へ歩みを進める。


「しかたない、きっしーの言うとおりにするよ…」

従うふりをして跪くふりをする。

蒼汰が距離を詰めてくる。後もう少しだ。もう少し近づいてくれば。

「おい、お前何ニヤニヤしてる。」

おっと、顔に出てしまっていたようだ。だが、もう遅い。


「『レストレイン』っ!」

後ろ手に握っていた本を開き、詠唱する。

この体での魔導書の詠唱速度はゲーム内一番だろう。

いくら警戒していても、避けられる速度ではない。


魔導書から創りだされた鎖が飛び出し、蒼汰を縛り上げる。

「ぐっ!」

縛られた蒼汰は鎖を引きちぎろうとする。

が、魔力で創りだされた鎖を力で引きちぎろうとするのは無理があった。

千切ろうとすればするほど締め付けが強くなっていく。

「(もがけばもがくほどか…)」

無駄な抵抗はせずにおとなしくすることにした蒼汰。


「ふふっ、残念だったね♪」

スタミナが回復し、疲れがなくなった智恵が蒼汰の方へ歩いてくる。

その足取りは軽く、喜んでいるような足踏みだった。


「あぁ、残念でならないよ。本当に怒らせちゃいけない人を怒らせちゃったんだから。」

「えっ?」

「君は気がついていないみたいだね?さっきからかなりの殺気を放っていたよ?」

そう言って顎で智恵の後ろ側を指す。

「そんなハッタリ言ったって無駄…っ?!」


この世のものとは思えない程の恐怖の塊がそこには居た。

比喩や例えなんていう生易しいものではない。

すべてを破壊し尽くさんほどの衝動と殺意を持った物体がそこにある。

すでに人間、という枠を超えていた。


「お前はやり過ぎた、今ここで断罪する」

先ほどまで倒れていたはずの悠斗は何事もなかったかのように立っていた。

そして先程まで握っていた剣は人の身長の2倍はあるであろう大剣へと変わっていた。

悠斗はそれを振り回し、天高く放り投げた。


「懺悔の時間だ。お前の罪を今、すべてここで断罪し討ち滅ぼさん。」

空が割れ、そこから先ほど投げた剣が蒼白い光をまとって降りてくる。

その剣は悠斗の頭上で降下を止め、停止する。

「言い残す言葉は、あるか」

神々しいほどの光をまとった剣を頭上で構え、悠斗は言った。


「ちょっと、冗談だよね?まさか本当に私を切るつもりじゃないよね?」

「冗談だと、良かったんだがな」

「嘘でしょ?!そんな攻撃食らったら私の体が持たないよ!」

「だから言っただろう。討ち滅ぼさんと。」

「くっ、さっきも言ったけど私は君を絶対に許さない!」


智恵は魔導書を全て取り出し、宙へ放り投げる。

「すべての魔導書よ、その内包した力を以て、敵を穿て!」

放り投げられた魔導書は様々な色に光を放ち、展開されていく。

「『究極魔導展開・零式(アブソーサリー・ゼロ)』!」

展開された魔導書から光で作られた剣が舞う。

光の剣はまっすぐに悠斗を目指し飛んで行く。


「まぶし過ぎてうざったい光のクズだ…無に還れ」

悠斗は左手を前に突き出す。

「『リダクション』」

付きだした左手から波動のようなものが空間を包み込む。

その瞬間、創りだされていた光の剣はすべて跡形もなく消えていく。

「そ、そんな!」

その場にぺたりと座り込んでしまう智恵。魔力の使いすぎだった。


「覚悟はいいな。」

悠斗は空いている右手を空にかざす。

「ちょ、待って!」

「それはもう聞き飽きた。お前も帰るところに帰る時が来た。」

悠斗は右手を智恵の方へ振り下ろしながら叫ぶ。

「『すべてを裁く正義の剣ジャッジメント・オブ・ソード』」

悠斗の頭上の巨大な剣は智恵のいる位置へまっすぐに振りおろされた。

それは智恵もろとも広場一帯のすべてを破壊した。

次回更新は6月29日です。

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