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エターナル・ストーリーズ  作者: 燐鏡 剣斗
Chapter4 「Hacking Intelligence」
31/96

29話目 「蒼汰の気持ちと緊急事態」

どーも、作者です。


「そういえば悠斗に少し聞きたいことがあったんだ。」

千代が悠斗と手をつなぎながら聞く。

「どうして悠斗は敵に斬りかかる時になにか叫ぶんだ?」

少し傷つくような質問だったが、悠斗は胸を張ってこう答えた。

「そりゃ、そっちのほうが気分がいいし、感情が高まるってやつだ。」

「ふーん。まぁ、私にとってはどっちでもいいけどね!」

「お前俺がさっき付き合ってもいいって言ってから口調変わったなゴハッ」

悠斗の腹にグーパンが刺さった。

「っ、ばかっ、知らない!」


またまたシリアス回。

さっきのはただの茶番です。


では、どーぞ。

ガタガタとスマホを持つ悠斗の手が震える。

目の焦点もあっておらず、完全に目が泳いでいる。

違うと信じたかった相手からの最悪の答え。

このメッセージのせいで疑いが確信になってしまった。


「ど、どうしたんだい悠斗?」

心配そうに蒼汰が悠斗の肩を支える。

「い、いや、な、なんでも、ない」

震える声で返答しながらスマホの画面を落とし、ポケットにしまう。

「どうした、明らかにおかしいぞ悠斗。どうしてそんなに震えている?」

千代も心配そうに悠斗に近づく。


「ほ、本当になんでもないんだ、き、気にしないでくれ」

そういう悠斗の体はさっきよりも震えており、今にも倒れそうだった。

「ゆ、ゆー?」

「大丈夫か、ユートよ」

「平気ですの?」


悠斗は3人の呼びかけに震えた声で応じた。

その直後両手に剣を生成し、ギルドを飛び出す。

そのまま地面を強く蹴り、浮遊するのではないかと思うほど高く跳び上がる。

空中で停止し後ろ側に魔方陣を作り出し、それを実体化させてそれを思いっきり蹴る。

蹴った勢いと同時に更に自分の前に魔法陣を展開し、それを通り抜ける。

通り抜けた悠斗の体には炎がまとわれた。


「(お前なら、俺の知ってる智恵なら絶対にあそこにいる!)」

空を高速で飛びながらある場所へ向かう。

「(待ってろ、今行く。そして、お前に確かめる!)」


一方ギルドに置き去りにされた蒼汰達。

突然悠斗がギルドを飛び出していったので誰も状況がつかめていない。

「悠斗様はどうされましたの?突然出て行かれましたけど。」

どこから取り出したのかは分からないがメアリーは呑気に紅茶を飲んでいた。

「ずいぶんと落ち着いているねメアリーさん…僕そんな余裕ないよ」

突然振り払われて体制を崩した瞬間に飛び出していった悠斗を追いかけられなかった蒼汰。

止められなかったことと、何で震えているかが分からなかったことを少し後悔していた。


「チームマスターたるもの、落ち着きが大切ですわ。」

そういいながらまた紅茶を一口。

「あ…アルちゃん、足元に猫…」

そう言ってサキュルが指さした先には、どこからギルドに入って来たかわからない猫がメアリーの足にじゃれていた。

「にゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?」

それに気がついたメアリー。次の瞬間には奇妙な叫び声とともに壁際まで逃げていた。


「どうされた、メアリー殿」

メアリーが慌てて席を立って逃げたせいで落ちそうになったカップをキャッチするアルス。

中の紅茶を一滴もこぼさずキャッチするというさりげなくすごいことをやってのけていた。

カップをテーブルの上に置き、猫を抱き上げる。


猫はにゃ~んと鳴きながらアルスの鎧にすりすりと額を擦りつけていた。

「わぁ~!ねこさんだー!」

エリスはパタパタと小さい体ながらも素早く猫の下へ走っていく。

アルスは抱き上げていた猫をエリスがなでられる位置まで下ろす。


「よしよし~」

小さい手で一生懸命に猫の頭を撫でる。

猫は気持ちよさそうだった。


「むぅ~…」

遠くからそれを見ていた桜月が何故かふくれっ面をしていた。

「どうした?悠斗が居ないからって蒼汰に嫉妬するのはおかしいぞ?」

後ろから桜月の肩を叩きながら、千代が桜月の隣に座る。


「いや、あの猫ちゃんなんか変なんだよねぇ…」

「そうか?私が見た感じ普通の三毛猫だが。」

「そうじゃなくて、なんというか…猫なんだけど猫じゃないっていうか。」

「猫なんだけど猫じゃない?」

「うーん…多分私の気のせいだとは思うんだけど…」


桜月にはエリスが撫でている猫がどうしてもただの猫には思えなかった。

もっと別の何か、それこそ本当に猫ではない何か。

だが、今は飛び出していった悠斗のほうが気になっていたので今は忘れることにした。


「それより、悠斗はどこに行ったんだろう。というか、何で出て行ったんだろう…」

メアリーが猫に驚いていた頃蒼汰はギルドの外を少し見回っていて、今戻ってきた。

「チームのシステムから悠斗様の位置はわからないものですの?」

壁に張り付きながら猫の位置をじっと見つめているメアリー。

相当猫が嫌なようだ。


「それが、現在地不明なんだよ…」

チームのシステムの悠斗の欄。そこの現在地には『不明』と表示されていた。

システムに引っかからないレベルのスピードで動いているか、もしくは接続を切っているか。

何にせよ、かなりの速度で移動していてなおかつチームに位置を知らせたくないであろうことは分かった。


「(悠斗…私にああ言っておきながらもうその言葉を破るのか…)」

さっきまで悠斗はチームは特別な存在だと言っていた。にもかかわらず、チームに自分の位置を知らせない。

「(私達を守りたいのはわかるが、少しくらいは頼ってもいいんだぞ…悠斗)」


すると、ギルドに居る全員に一斉にメッセージが届く。

その送信相手は、悠斗ではなくゲームマスターからの連絡だった。

『大変です!エアスターの街が炎上しています!至急、救援を!』

簡潔で短い文だったが、お知らせで連絡しない上にプレイヤー全員に一斉メッセージが送られている以上、

余程の緊急事態なのだと感じ取ることができる。


「このタイミングでか!」

千代は立てかけてあった自分の武器を手に取り、ギルドを飛び出す。

「待って!私も救援に行く!」

桜月も悠斗に作ってもらった杖を持ち、千代の後を追う。


「エリス、すまないが先にギルドへ戻っててくれないか。」

抱えていた猫を地面に下ろし、剣の整備をするアルス。

「いや!またあるすおにーちゃんとはなれるのはいや!」

マントの裾を引っ張って離れようとしないエリス。

「…分かった、ただし条件がある。」

マントを掴んでいたエリスを抱き上げ、左手で包み込むように抱く。

「絶対に私から離れないでくれ!」

その言葉と同時にギルドの外へ走り出す。


「アルちゃん…私達…どうする…?」

サキュルはそういいながらも手に魔導書を握っていた。

さっきは持っていなかったが、異次元から取り出したものだ。

「当然、救援に行きますわよ?マスターの称号を持つものが救援を拒むことは絶対しませんの。」

壁に張り付いていたメアリーはサキュルと同時に走りだし、ギルドの外へ。


そして、ギルドに一人残されてしまった蒼汰。

「僕は、救援に行くべきなんだろうか…でも」

そこで蒼汰は言葉に詰まる。正直な気持ち、蒼汰は救援に行くべきとも、悠斗を探すべきだとも思っていた。

「でも、僕が悠斗を探しに行ってもまた足手まといになるかもしれない…」

揺れる。それは、自分が何をすべきか決められないゆえの心の揺れだった。


僕はいつも悠斗の背中を見てきた。

いつもはだらしないのに、いつも自分を引っ張っていってくれた。

悠斗は僕の事を最高のパートナーだと言ってくれた。

蒼汰がいるから俺は戦える、ここまで強くなれる。そう言ってくれた。

だけど、それは違う。僕が戦えたのは悠斗がいたから。悠斗が守ってくれるという安心感があったから。

いつも僕は悠斗の背中に隠れて戦う臆病者だ。1人じゃまともに戦えないくせに。

そんな僕が悠斗を探す?そんなの、足手まといになるに決まってる。

どうせ、見つけられない。どうせ、探せない。どうせ、どうせ、どうせ!









『お前、本当にそれでいいのか?』

その言葉にはっと我に帰る。

『お前、ずっとビビって逃げるのか?』

誰?僕のことをよく知らないくせにそうやって決め付けるな。

『知ってるさ。お前のことは、お前以外の誰よりも。むしろ、お前よりも知ってる。』

嘘だ。そんな奴居るわけ無い。悠斗ですら、僕の事を全部わかってないんだから。


『そうだな。そりゃそうだ。悠斗には言ってないもんな。「自分がこんなにビビりです」って。』

やめろ!知ったふうな口を利くな!

『知ったふうな口?ちがうな、知ってるんだよ』

知ってる?嘘だ。嘘だ、嘘だ!

『だから嘘じゃないと言ってるだろ。だって知ってるに決まってるだろ。』






















『「俺は、僕は、お前自身なんだからさ。」』

次回更新は6月18日です。

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