26話目 「千代の気持ち」
どーも、作者です。
7話区切りといったな、あれは嘘だ
ラ ブ コ メ に な っ て ま し た ( ゜д゜)
書いている最中から突然ラブコメになってました。
さて、今回で千代&桜月編は終わりです。
次回からはハッカーの話に戻ります。
では、どーぞ。
「な、なんだ悠斗」
何故か少しドキドキして動揺を隠せないでいる千代。
千代自身なぜこんなにドキドキしているのか分からない。
夕焼けが綺麗で少しロマンチックだからか?
いや、それはないだろう。仮にも相手は悠斗だ。それは絶対にない。
「帰るのが遅れて本当に済まなかった。ちょっと用があってな。」
悠斗の、本心からの謝罪。それは嘘偽りない言葉だった。
「お前から謝ってくるなんて珍しいな、明日は嵐か?」
少しふふっ、と笑いながら冗談を言う千代。
「そうだな。でも、今回のことで分かったんだ。自分がどれだけこのチームに支えられてるか。」
千代の冗談を受け取りつつ、真面目な話を始める悠斗。
「千代は知らないかもしれないが少しいざこざがあって蒼汰をチームから取られそうになったんだ。」
「蒼汰を?」
「そうだ。さらに、千代まで人質に取られた。その時本気で殺意を覚えた。」
悠斗の声が強張っていく。
「その時わかったんだ。俺には千代や蒼汰、桜月や智恵が居ないと駄目だって。俺一人じゃ何も出来ないんだって。」
「悠斗…」
「すまん、重い話になっちまったな。こんなの俺らしくもない!」
気持ちを切り替える悠斗。だが少し寂しそうだった。
千代は自分自身悠斗のことを深く考えたことはない。
いつも一緒にプレイする仲間、チームの一人。
学校ではよく合う同級生。そんな感じだった。
だが、このドキドキは何なのだろう。今まで感じたことのない感情だった。
心臓の鼓動が早くなる。胸の高鳴りが止まらない。
自分はなぜ今こうなっているのだろう。
悠斗はただ一人のチームメンバーで特別な存在ではない。
ただ、自分が憧れている、必要とされているだけの存在。
なのに、なんで。どうして。
その問は誰に聞いても同じ答えが帰ってくるだろうか。
「な、なぁ悠斗!」
思い切って話しかけてみる。
「なんだ?」
悠斗はしっかりと顔をこちらに向ける。
なぜかその仕草にまた胸が高鳴る。
「わ、私の事どう思ってる?」
なぜそんなことを聞いた。いや、口が勝手に動いた。
「どうって…まぁ、特別な存在かな。蒼汰も、桜月も、智恵も、千代も。皆俺にとっては特別な存在だ。」
「悠斗は、私自身のことはどう思っているんだ?メンバーとしてではなく、三上千代として。」
やめろ。そんなことは聞きたくない。聞くつもりもない。
私はそんなことは思っていない。思っていないはずだ。
だけど止まらない。止まってほしくない。
「千代として?うーん、難しい質問だなぁ」
千代の言葉に本気で悩む悠斗。いつものようなふざけた感じはない。
「まぁそれでも特別な存在かな。なんだかんだでいつも俺を支えてくれるだろ?」
特別な存在。そう聞いただけで嬉しくなった。なぜだ。
特別な存在だからなんだって言うんだ。蒼汰や千代もそうだろう。
嫌だ。認めたくない。自分の気持ちを認めたくない。
「そ、そうか…」
なぜそんな返事しかできない。もっと別の言葉があるだろう。
いや、これでいい。こう言わないと駄目なんだ。
「特別な存在…」
「どうした、頭でも打ったか千代?」
「へっ?!いや、そんなことはない!」
「お、おうそうか…」
「な、なぁ悠斗!」
さっきよりも強めに言う。そうしないといけない気がした。
「おう、なんだ?」
「あの…実は…」
「ははっ、なんだよ千代言いづらいことでもあるのか?」
言いづらいこと。確かにそうかもしれない。
今のこの気持ちは上手く言葉にして表現できない。
なにせ私にとって初めての、感じたことのない感覚だ。
気持ちの悪い感覚かと言われればそうではなく、むしろ心地よい感覚だ。
気持ち悪いと思うのは素直になれない自分のこの気持ちのほうだろうか。
「いや、やっぱりなんでもない。」
とっさに言うのをやめる。これでいい。メンバーとの関わりを壊したくないなら。
「そうか?じゃあ俺から一つだけ聞かせてくれ。」
そういうと悠斗少し改まって言った。
「もしかして俺のこと、好き、だったりするのか?」
突然の悠斗の発言で千代の頭は真っ白になる。
え?は?何を言っているんだ?
そんなわけないだろう。私が?悠斗を?
好き?そ、そうなわけがない。さっきまでの気持ちだってただの気の迷いだ。
そう、少しめずらしい悠斗を見たから気が動転しているだけだ。
私が悠斗にいだいているのはあこがれで、それ以外の感情は…ない、はず
「いや、ちょっとさお前から好きって言われるような事が起きてな。取り憑かれてたにしても俺に好きっていう理由が見当たらなくて、あとで聞いたらあの時のは本心を引き出していただけっていうから気になってな。」
本心から引き出す?引き出すも何も自分は…そう、自分は…
胸が苦しい。締め付けられる。嘘は付いていないはずなのに。
そう、きっと嘘は付いていない。
「だからとりあえず聞いておこうと思って、って…どうした?顔真っ赤だぞ」
こちらに振り向いた悠斗が顔を覗きこんでくる。
やめろ。もっと苦しくなる。気持ちの整理がつかなくなる。
「あっ、まさか異常状態か?まってろ、もうすぐギルドにつくからな。」
その優しさをやめてくれ。私はそんな特別な人間じゃないんだ。
弱くて、もろくて、すぐ人を信用して、甘えて。
そんな私が特別な存在になんてなれるわけがない。
だから頼む、もう私を見ないでくれ…ただのチームメンバーとして、
ただの一人の他人としてだけ見てくれ…
「それは無理だ」
突然悠斗から言いかえされる。
「千代を特別な存在として見ないってのは無理だ」
なぜ?なんで心を読まれた?
「千代は、俺を支えてくれた人の1人だ。しかも、一番良く支えてくれた。1人の時は蒼汰が支えてくれた。でも、チームになった時からは千代が一番俺を支えてくれた。そこだけは変わらない。」
嘘だ!嘘だっ!嘘だと言って!
「だから、俺からしたら特別な存在なんだ。」
その言葉で千代の心の鍵は崩壊した。
抑えていた気持ちが爆発するように弾けた。
「悠斗…悠斗…」
何故か泣き出す千代。
「うわっ、俺なんか変な事言ったか?!」
「バカぁ…悠斗のバカぁ…!」
「ええええ?!俺何もしてないだろ!何でだよ!」
「うわぁぁん…っく…うわぁぁ…」
「いや泣くなって!分かった、俺が悪かった!だから泣き止んでくれ!」
少しして落ち着いた千代。さっきまで泣いていたのが嘘のように泣き止んだが、
まだっぐ…ひっくと少し残っている。
「お、落ち着いたか千代…?」
「…むぅ、落ち着いた」
「よ、良かった、落ち着いたか。どうしていきなり泣き出すんだよびっくりしたぞ…」
「…いや、ちょっと…思うことがあって…」
「そ、そうか。んで、さっきの質問だけどさ。」
「好きだぞ」
「まぁそうだよな俺のこと好きなわけがええぇぇぇぇぇぇ?!」
突然の告白に本気で驚く悠斗。動揺しすぎて歩き方が変になっている。
「お前何言ってんだ?!ついに気でも狂ったか?!」
「至って正常だ。ふざけてもいない。」
「はぁぁぁぁぁぁぁ?!」
「もうこの際だからはっきりと言おう。」
一呼吸置いて、千代は言う。
「私は悠斗の事が好きだ。私と付き合って欲しい。」
「…お、おおう…唐突ですな」
「告白なんていつも唐突のはずだが?」
「それはそうなんだが…気持ちの整理がついてない。」
「返事は何時でもいい。」
「んにゃ、そうも行かない。女の子の方から告白させてんだ、答えは今しっかり出す。」
ふぅ、と息を吐き出し千代を下ろして悠斗は向かいあう。
「いいよ、その告白受ける。ただ、それでも俺は千代一人だけを特別扱いってことにはしない。それでもいいか?」
「むしろそれが一番最高の答えだっ!」
千代は返事と同時に悠斗に飛びつく。
「ぐわっ」
飛び込む形で抱きつかれた悠斗はバランスを崩して倒れこんでしまう。
「…はっはは」
「…ふっふふ」
「「ははははっ!」」
倒れこんだまま2人で笑い合う悠斗と千代。
建物の隙間から見える夕日が綺麗で、ロマンチックな日のことだった。
その後ギルドへ帰った2人が蒼汰と桜月に長時間話をするはめになったのは言うまでもない。
次回更新は6月7日です。




