21話目 「血が混じる時」
どーも、作者です。
ううん、前書きでのネタが尽きてきた感がありますねぇ
(分かってても言うんじゃない)
では、どーぞ。
足を少し引きずるように歩きながらも無事ギルドに着いた千代。
ギルドの扉を開け、中に入る。
バタンという音と共にドアが閉まり、外の光が差し込まなくなる。
ギルドにはすでに3人居た。
「遅いぞ千代。まぁ連絡しなかった俺も悪いんだが。」
疲れからか、ソファーに座ってゆっくりしている悠斗。
「悠斗、正直に言うと僕たちはちよめには強気に言えないよ…」
同じく悠斗の横に座ってゆったりしている蒼汰。
「むぅ~!荷物重かったんだからね!後で責任とってね!」
何故か悠斗と蒼汰の膝の上で横になっている桜月。
「すまん、悠斗らしき人物を追ってたら突然意識がなくなってな…」
「俺?俺は今ギルドに帰ってきたばかりなんだが?」
「クエストを終えてか?」
「そうだな、まぁ正直に言うとクエスト終わったあとも少しあったけどな。」
「悠斗のことだからまた面倒事に首を突っ込んだのだろう?」
「おい決め付けんなよ。いや確かに首を突っ込んだけどな…」
「やっぱりそうじゃないか。」
「くっ…」
千代は内心嬉しかった。無事に2人がギルドへ戻ってきてくれたことが。
買い物へ行く前には不安しか無かった。
だが、2人の元気そうな顔を見たら不安など何処かへ消えてしまった。
千代は鎧を外し、軽装に着替えた。
基本的に、「ヴァイスリッター」のギルド内ではみな軽装だ。
ギルド内は不可進入領域でほかのチームは許可がないと入れない。
基本的に悠斗は人を入れることはないので安心して軽装に変えられる。
だが、万が一のことを考えて戦闘が出来る程度の強さの装備ではある。
「それにしても今日は暑いな…」
真っ白のワンピースに着替えた千代。一応戦闘に適している素材で作られている。
「珍しいね、ちよちゃんがそんな服に着替えるなんて。」
黒のボーダー柄の長袖シャツに黄色の短パンを履いている桜月。
戦闘向き、というよりもどちらかと言うと小学生みたいな格好だ。
「そうか?いくら私でもこういう服は着たくなるものだが。」
なぜかその場で一回転しながら答える千代。
スカートの部分がひらひらと舞っていた。
「確かに見たこと無いかもな…基本的に白のシャツだったじゃないか」
少し明るめの青のTシャツに長めのジーパンを履いている悠斗。
少しおしゃれな高校生という感じの服装。だが、戦闘に特化している。
「ちよめのワンピースかぁ…珍しいね」
オレンジのフード付きコートにカジュアルなベージュのチノパン。
ちょっと大人な感じの服装で、ストリート系といったところか。
「うむぅ…皆寄ってたかってバカにして・・・」
何故か少し泣きそうな千代だった。
「あっ、わーった、すまんかった俺が悪かったよ!」
「僕達も悪気があっていったわけじゃないんだ、ただ珍しいなぁって思って!」
「似合ってるよちよちゃん!似合ってる似合ってる!」
慌てて3人がフォローしようとするが千代にとって慰めにならなかった。
「そうやってぇ…皆私を…バカにぃ…」
「ちょ、ストップ!お前が泣くと洒落にならないんだって!」
「だ、誰もバカにしてないよ!ただ本心で思ってただけで!」
「ほーら、大丈夫だよちよちゃん~よしよし~」
桜月は今にも泣き出しそうな千代の頭を子供の頭を撫でるように撫でる。
「私達は別に悪気があったわけじゃないってそーくんも言ってたでしょ?」
「うぅ…」
「はい泣かない!私達より大人でしょ!」
「うぅ…」
「もぅ~…」
まるで親と子供みたいに仲睦まじい2人を見ながら悠斗と蒼汰は思った。
「「どっちが大人なのか分からないなぁ…」」
と、突然千代が倒れる。
悠斗と蒼汰は千代と桜月から目を話していないつもりだったが、
いきなり倒れた。何の前触れもなく。
「おい千代っ?!」
慌てて駆け寄る悠斗。
「い、今水持ってくる!」
キッチンへ走って行く蒼汰。
悠斗はペチペチと千代の頬を叩く。痛くなく、でも衝撃が伝わるくらいの力で。
「水だけじゃ足りなそうだね、私そーくん手伝ってくる!」
桜月は蒼汰の手伝いをしに向かった。
「頼んだ!おい、おい千代!起きろ!」
手首に手を当て脈を測る。息はあるようだ。
「(まさか現実の世界の知識をゲーム世界ではじめて使うことになるとは…)」
息は微かにしているくらいでしっかりと呼吸ができていなかった。
「あぁ…これアレだろ…」
悠斗はこうなった場合の手段は知っていた。
「人工呼吸ってことか…」
スキルを使えば解決するであろうことは今の悠斗の頭からは抜けていた。
ゲーム世界の中に「実在」する以上はこれしか無いと勝手に思い込んでいた。
「まじかよ…」
悠斗は仲間の命と自分の恥ずかしさを天秤にかけた。
が、そんな天秤で図る必要もないくらい仲間の命は重かった。
「すまん千代、許してくれ!」
悠斗は諦めの気持ちで人工呼吸に移ろうとする。
が、その瞬間千代がいきなり起き上がり悠斗を弾き飛ばす。
「うわっ」
悠斗は突然のことに驚いて受け身を取ることが出来なかった。
床をコロコロと転がり壁にぶつかると同時に背中を打つ。
「っつ!」
ヒリヒリと背中に痛みが走る。
「何すんだよ千代!」
悠斗は怒り気味に千代に言う。
だが、千代の目は虚ろでまるで悠斗だけをじっと見つめていた。
「おい千代、どうしたんだよその目…」
その声と同時に事は動いた。
「ちょぉぉぉぉぉだぁぁぁぁぁぁい!」
その叫びとともに千代は悠斗に飛びついてきた。
「ちょ、危ねぇ!」
間一髪スレスレで避けた悠斗。
だが、千代は諦めなかった。
次回更新は5月18日です。




