13話目 「ヒーリングズ広場」
どーも、作者です。
タイトルのネタが尽きました。
正直、そろそろカタカナ縛りじゃなくてもいいんじゃないか、とか思ったり。
では、どーぞ。
「ごめんなぁ・・・私にもっと、力があれば守ってやれたのに・・・」
「いや、いやだよ!まだ行かないでよ!」
「お前ら・・・!絶対に許さねぇ、後悔させてやる!」
「今回ばかりは許せない、ここで君たちを倒す!」
悠斗と蒼汰は、武器から血を垂らしながら笑うチームと対面していた。
なぜ、こんな状況になっているのか。それは数時間前まで遡る。
大樹の森でのクエストを終えて、待たせていたワイバーンに乗り街に戻った2人。
街に入るため、門番に装備のチェックをしてもらい、異常がないことを確認。
無事街に入り、少し装備品の修理をしようと店に寄ろうとした時だった。
「喧嘩だ、喧嘩が始まるぞー!」
1人の男が大声を上げながら街を走っていた。
「喧嘩?この世界に来てからは初めてだな。」
「そうだね、色々と起こる前に街を出たからねぇ」
「ちょっと興味あるし、見に行ってみるか?」
「野次馬根性だねぇ・・・」
悠斗は装備品の修理を後にし、喧嘩が起こっていると言う広場に向かった。
ヒーリングズ広場。
エターナル・オンラインの世界で一番広いとされている広場。
ここに来たプレイヤーは皆、体力を回復しあったり、くつろいだりしている。
緑の多い雰囲気と中央の噴水で心がいやされるということでこの名前が付いた。
広場に着いた2人は、人が集まっているところを発見し、その群れに紛れた。
集まりの中心では、3対1という構図が広がっていた。
明らかに1人が劣勢である。
「てめぇ、俺達のマスターにぶつかっといて謝罪の一つもねーのかよ?!」
「そうだそうだ、さっさと謝れ!そこに土下座しろ!」
「まぁまぁ、それくらいにしてやれよ。かわいそうだろ?」
どうやら、3人組チームのマスターが通りすがりの人にぶつかられたことにいちゃもんをつけているようだ。
「なぜ俺が謝らなければならない?ぶつかってきたのはそちらだろう。
私が前を見ていなかったのは認めるが、ぶつかってきたのは君たちだ。」
真っ白の鎧に身を包んだ青年。歳は20代前半くらいか。
装備の見た目、背中に背負っている大剣からして職業は騎士だろうか。
長く伸びた赤いマント、指先までしっかりと保護された小手を見る限り、
きっちりとした性格のようだ。まさに騎士。
対して、3人組の方はチームというよりたちの悪い盗賊だ。
着崩されている服に、手斧。頭にはハチマキらしきものが巻かれている。
1人だけ格好が少し違うが、それがさっきマスターと呼ばれていた者だろうか。
「なぜもどうも無いんだよ!ぶつかってきたのがてめぇなんだからな!」
「俺はちゃんと見てたぜ?お前がぶつかってくるのをよぉ!」
マスターのそばにいる2人組はチームのメンバー、といったところだろうか。
昔からマナーの悪い奴は無駄に絡んでくると相場が決まっている。
「ぶつかったのは私ではない。どう考えてもお前たちの方であろう。」
青年は抗議する。現場を見ていないので悠斗達からはなんとも言えないが。
「うるせぇ、当たったのはおまえなんだよ!」
3人組の一人が持っていた手斧を青年に向かって振り下ろす。
周りから悲鳴が上がり、野次馬は目をそらした。
次の瞬間、青年に向かって振り下ろされた手斧は弾き飛ばされる。
青年の剣ではなく、悠斗の剣によって。
「ヒッ」
斧を振り下ろしたそいつは、ビビって一歩引いた。
「バカやってんじゃねーよ、こんなに人が見てる前で事件起こしてーのか」
悠斗は剣を腰の鞘に戻し、相手を睨みつけながら言った。
一応、収まりがいいという理由で悠斗は腰に鞘をつけている。
「分かったらさっさと行け、次攻撃のモーションに入ったら切るぞ」
それはもうこいつにはかかわるな、と言う意思表示でもあった。
「ちっ、ずらかるぞ!」
マスターと思わる人物は2人を連れてさっさと走って行ってしまった。
それと同時に、周りに居た野次馬も去っていく。
人がだいたいバラけた頃、さっきの青年が話しかけてきた。
「さっきは助かった、私としても無意味に戦いはしたくないものでな」
「いいってことだ。あんたも、斧振り下ろされても微動だにしねーとは。」
「正直避けられると思ったゆえ、動かなかっただけだ。」
「ほう、なかなかの手練だねぇ」
悠斗は改めてその青年の装備や体格を見た。
近くで見ると思っていたよりも大きく、がっしりとしていた。
相当強い事は、見ただけで分かった。
「それにしても、こんなところで絡まれるとはついてねーな」
「仕方あるまい。私としても、急いでいたから前を見てなかったのだ。」
「それで相手からぶつかってきたことに気づかず、カモにされたと。」
「そういうことになるであろう。」
「ね、ねぇ悠斗・・・そろそろギルドに帰らないとまずいと思うよ?」
蒼汰は小声で悠斗にそう言った。
「んあ?なんで?」
「きっと心配してるよ・・・帰ってこないって」
「そういや2人っきりにしたままだったな・・・」
ギルドには千代と桜月を2人きりにしたままだった。
「時に、すこし私を手伝ってはもらえないか?」
唐突に話しかけられ悠斗はすこしビクッとしながら青年の方を向いた。
「手伝うって何をだ?」
「じつは、少し前にギルドから買い物に向かったメンバーが帰ってこないのだ。
まだ歳も幼いゆえ、私としても心配になってな。」
「つまりは人探しか。別に俺は構わないぜ。」
「本当か。だが、報酬は出せんのだ・・・事情があってな。」
「困ってる人から報酬とろうなんて思わねぇよ。」
「助かる。さっきも助けてもらったのに私用まで・・・」
「気にすんな、どうせ今はやること無いしな。」
話を受けた悠斗は蒼汰のほうに振り向き、
「蒼汰、すまんが俺はこの人を手伝ってくる。先にギルドに戻ってくれ。
ついでに、クエストの依頼人にもよろしくな。」
「それはいいけど、悠斗はまた一人で行くの?」
「俺の意思で決めたことに巻き込めねぇしな・・・また千代に怒られるな」
「と、とりあえず気をつけてね・・・」
「なんかあったら連絡すっから、な?」
蒼汰にギルドに戻るよう指示し、悠斗は青年と行動することになった。
「とりあえずよろしくな。あんたの名前は?」
「私か?私はアルス・フェールだ。アルで構わない。」
「アルか。俺は悠斗、相田悠斗だ。」
「ユートか。勇敢な名前だな。」
「俺はそうは思わないけどな・・・とりあえず、行こうぜ」
自己紹介を済ませた悠斗とアルスは買い物を頼んだという商店街へ向かった。
次回更新は4月27日です。




