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転生したら、もう一つの日本でした ~社畜OLは本物のチョコで魚人街を変えていく~  作者: ケロン藤野


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第24話 名士会の準備


その夜。


北八王子魚人街の小さなアパート。


シングルベッドには、萌香と琥珀が仲良く並んで眠っていた。


狭いベッドだったが、不思議と窮屈には感じない。


今日一日で生活用品を揃え、新しい服も買った。


そして、探索者端末には名士会へ持って行く商品の購入リストも完成している。


萌香は天井を見上げながら、小さくつぶやいた。


「明日は……。」


「ブラックプリンスに行こう。」


「恭子さんに、このリストを見てもらおう。」


その時だった。


隣の毛布が、もぞもぞと動く。


「んぅ……。」


寝ぼけた琥珀が、小さな声でつぶやく。


「どうにか……ニャルよ……。」


「ちゃんと寝ないと……持たないニャ……。」


寝言だった。


萌香は思わず吹き出しそうになる。


「ふふっ。」


「そうだね。」


「ありがとう。」


その一言だけ返すと、萌香は安心したように目を閉じた。


商売のこと。


名士会のこと。


いろいろ考えていた頭が、ようやく静かになる。


やがて深い眠りへ落ちていった。


◇ ◇ ◇


翌朝。


カーテンの隙間から朝日が差し込む。


「よく寝たぁ。」


萌香が伸びをすると、部屋の隅には昨日洗濯した服がきれいに乾いていた。


「アイロン借りるね。」


「いいニャ。」


琥珀から借りたアイロンで、ワイシャツへ丁寧にアイロンを掛ける。


しわが消え、真っ白なシャツが気持ちよく仕上がった。


「よし。」


「これなら名士会でも大丈夫。」


朝食の準備は琥珀が担当だった。


炊飯器には昨日炊いたご飯が残っている。


冷奴を皿へ盛り付ける。


納豆を混ぜる。


刻んだ長ネギをインスタント味噌汁へ入れる。


湯気が立ち上る。


マグカップには、昨夜作って冷やしておいた麦茶を注ぐ。


朝食は、とても質素だった。


・ご飯


・納豆


・冷奴


・長ネギ入りインスタント味噌汁


・魚ふりかけ


・冷たい麦茶


「いただきます。」


二人は手を合わせた。


萌香は納豆をご飯へかける。


「やっぱり朝は納豆だね。」


琥珀も笑う。


「安くて栄養あるニャ。」


質素ではある。


だが、どこか温かい朝ご飯だった。


食べ終わると、萌香が食器を洗い始める。


「洗い物は私がやるね。」


「じゃあ私は拭くニャ。」


琥珀は布巾で一枚ずつ丁寧に皿を拭いていく。


二人の息はぴったりだった。


片付けが終わると、それぞれ出掛ける準備を始める。


萌香は新しいワイシャツへ着替え、歯を磨く。


左腕には探索者端末。


購入リストをもう一度確認する。


リュックを背負い、準備完了。


一方、琥珀も探索者の装備へ着替える。


革鎧。


腰には作業用ナイフ。


右手には使い込まれた棍棒。


「準備オッケーニャ!」


萌香は笑顔でうなずいた。


「今日はまず、ブラックプリンス。」


「恭子さんに購入リストを見てもらおう。」


「帰りは。」


琥珀が少し嬉しそうに耳を動かす。


「晩ご飯のおかずも買いたいニャ。」


「それと。」


「武器屋も見たいニャ。」


萌香はにっこり笑う。


「もちろん。」


「せっかくだし、一緒に見よう。」


「やったニャ!」


二人は玄関の扉を開ける。


朝の魚人街は、すでに活気に満ちていた。


市場へ向かう魚人。


仕事へ急ぐ探索者。


威勢のいい呼び込みの声。


萌香は大きく深呼吸する。


「今日も頑張ろう。」


「うん!」


「行くニャ!」


二人は肩を並べ、ブラックプリンスを目指して歩き出すのだった。

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