表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら、もう一つの日本でした ~社畜OLは本物のチョコで魚人街を変えていく~  作者: ケロン藤野


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
23/32

第23話 晩御飯と購入計画

第23話 晩ご飯と購入作戦


北八王子魚人街。


アパートへ戻ると、両手いっぱいの買い物袋を床へ置いた。


琥珀は満足そうにうなずく。


「これで最低限の生活はできるニャ。」


そして萌香を見る。


「せっかく服も買ったし。」


「先にシャワー浴びてくるニャ。」


部屋の隅にある小さなシャワールームを指差した。


萌香は着替えを手にすると、ふと固まる。


「あっ。」


「どうしたニャ?」


「シャンプーとボディーソープ買い忘れた……。」


琥珀は思わず吹き出した。


「ぷっ。」


「萌香らしいニャ。」


萌香は両手を合わせる。


「琥珀さん。」


「シャンプー貸して~。」


「もちろん。」


「出世払いニャ!」


「ありがとう!」


萌香は笑顔でシャワールームへ向かった。


久しぶりの熱いシャワー。


頭からお湯を浴びるだけで、身体中の疲れが溶けていく。


「はぁ~……。」


思わず声が漏れた。


琥珀に借りたシャンプーで髪をしっかり洗う。


続いてトリートメント。


さらさらになった髪を指で梳かしながら微笑む。


棚を見ると、可愛らしい猫のイラストが描かれた洗顔フォームが置いてあった。


『猫印洗顔フォーム』


「これ……。」


「大丈夫かな?」


少し不安になりながらも使ってみる。


泡立ちは驚くほどきめ細かい。


「おぉ。」


「意外といいかも。」


身体もしっかり洗い流し、久しぶりにさっぱりした気分になる。


バスタオルで身体を拭き、新しい下着とスウェットへ着替える。


鏡を見る。


「うん。」


「生き返った。」


洗面台で歯を磨く。


新品の歯ブラシ。


久しぶりに生活が整った気がした。


部屋へ戻ると、脱いだ服を洗濯かごへ入れる。


「琥珀。」


「洗濯したいんだけど。」


「洗濯ネット使うニャ。」


琥珀は棚から大小さまざまな洗濯ネットを取り出した。


「下着はこれ。」


「シャツはこれ。」


「ありがとう。」


萌香は教わりながら服を分けていく。


ワイシャツ。


スーツ。


下着。


靴下。


「本当はクリーニングに出したいけど……。」


「今は節約だね。」


琥珀は台所から笑う。


「アイロンあるニャ。」


「乾いたらかければ大丈夫。」


「助かる!」


その頃には、部屋中へ香ばしい匂いが漂い始めていた。


琥珀はエプロン姿で夕飯の支度をしている。


コンロではメザシがじゅうじゅうと焼けている。


鍋ではお湯が沸き、インスタント味噌汁の準備。


豆腐を切り分け、冷奴を皿へ盛り付ける。


長ネギを細かく刻み、味噌汁と冷奴の薬味にする。


魚のアラは、包丁で刺身にできる部分を丁寧に切り分ける。


骨の周りに残った身は、スプーンでこそぎ取り、小皿へ盛り付けた。


炊飯器が軽快な音を鳴らす。


ピッ。


「よし!」


「ご飯五合、炊けたニャ!」


その時だった。


萌香はテーブルで探索者端末を見つめながら、


「うーん……。」


と難しい顔をしている。


「萌香!」


「ご飯できたニャ!」


「テーブルお願い!」


「はーい!」


萌香は端末を置き、お盆を持つ。


炊きたてのご飯。


湯気の立つ味噌汁。


冷奴。


魚のアラの刺身。


大根のつぼ漬け。


次々とテーブルへ運んでいく。


最後に琥珀が、焼きたてのメザシ四匹を皿へ盛った。


「熱いうちに食べるニャ。」


二人は向かい合って座る。


「いただきます。」


萌香は最初に刺身を一口食べた。


「うわっ!」


「これ、美味しい!」


琥珀は少し照れながら笑う。


「へへへ。」


「アラだけどね。」


「手間を掛けると、ごちそうになるニャ。」


萌香は次にメザシを口へ運ぶ。


パリッ。


香ばしい皮。


ふっくらとした身。


「うわぁ!」


「ここの魚、本当に美味しい!」


夢中でご飯を頬張る。


「魚人街って最高じゃない?」


琥珀は嬉しそうにうなずいた。


「魚だけは自慢ニャ。」


冷奴をつまみながら、琥珀が尋ねる。


「それで。」


「考えはまとまったニャ?」


萌香は箸を置き、左腕の探索者端末を見つめる。


そして、ゆっくりとうなずいた。


「まあね。」


「今回は、あんまり派手にはやらない。」


「やり過ぎると、他の商人の顔を潰しちゃうから。」


恭子の言葉を思い出す。


――商売は、自分だけ儲ければいい世界じゃない。


萌香はにやりと笑った。


「でも。」


「ブラックプリンス、ここにあり。」


「それくらいは印象に残したい。」


琥珀は思わず笑う。


「また悪い顔してるニャ。」


萌香も笑い返した。


「商売人だからね。」


二人は笑いながら、温かい夕飯を囲む。


名士会まで、あと少し。


萌香の頭の中では、すでに次の商売が動き始めていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ