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転生したら、もう一つの日本でした ~社畜OLは本物のチョコで魚人街を変えていく~  作者: ケロン藤野


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第19話 腕時計型携帯端末を買う


昼食を終えた三人が席を立つ。


「ごちそうさまでした。」


店主が深々と頭を下げる。


「鱶田さん、本日もありがとうございました!」


「魚を安く卸してもらって、本当に助かってます。」


恭子は軽く手を振った。


「また来るよ。」


三人が店を出ると、入れ替わるように次々と客が暖簾をくぐってくる。


「焼きサバ定食三つ!」


「俺も焼き魚定食!」


「日替わり、魚ある?」


昼時を迎えた店内は、あっという間に満席になった。


萌香は振り返りながら微笑む。


「人気のお店なんですね。」


恭子は少し誇らしげに笑った。


「魚だけは自信があるからね。」


「ブラックプリンスの魚を使ってる店は、味じゃ負けないよ。」


そのまま三人は駅前を歩く。


萌香は大事そうに封筒を抱えながら、恭子へ声を掛けた。


「恭子さん。」


「ん?」


「身分証もできたし……。」


「携帯端末が欲しいです。」


恭子は大きくうなずく。


「よし。」


「駅前の電気屋へ行こう。」


「今は種類も多いから、じっくり選びな。」


「はい!」


三人は駅前でも最大級の家電量販店へ入った。


二階。


探索者用携帯端末コーナー。


店内には最新の探索者装備がずらりと並び、多くの探索者たちが品定めをしている。


「いらっしゃいませ。」


店員が笑顔で近づいてきた。


「新規契約ですね?」


「はい。」


ガラスケースには様々な端末が並んでいた。


高級モデル。


軽量モデル。


軍警採用モデル。


探索者用耐衝撃モデル。


魔力探知付き。


防塵・防水仕様。


さらに軽装甲付きの上位モデルまである。


萌香は思わず目を輝かせた。


「すごい……。」


「こんなに種類があるんだ。」


恭子は腕を組みながら笑う。


「探索者は命を預ける道具だからね。」


「値段も性能もピンからキリまである。」


「初心者なら無理して最新型を買う必要はない。」


萌香は店員の説明を聞きながら、一つひとつ丁寧に比較していく。


通信速度。


電池の持ち。


防水性能。


耐久性。


魔力妨害への強さ。


画面の見やすさ。


気が付けば二時間近くが経っていた。


「決めました。」


萌香が選んだのは、一世代前の旧型モデル。


腕時計型。


探索者用。


防水仕様。


軽装甲付き。


最新ではないが、普段使いには十分すぎる性能だった。



探索者用携帯端末


旧型・防水モデル


本体価格 39,800円


新規契約手数料 10,000円


合計 49,800円



「こちらでよろしいですか?」


「はい。」


萌香は封筒から現金を取り出す。


恭子から受け取った十五万円。


その中から四万九千八百円を支払った。



150,000円


-49,800円


現金残高 100,200円



店員は素早く設定を終え、端末を差し出した。


「お待たせしました。」


「こちらがお客様の探索者端末になります。」


萌香は左腕へ装着する。


カチッ。


腕にぴったりと収まり、画面が淡く光った。



探索者端末 起動


登録者


甘城 萌香


身分証認証 完了



「わぁ……。」


萌香は嬉しそうに画面を眺める。


「地図もある!」


「銀行口座も見られる!」


「ニュースも!」


「バスの時刻表まで!」


まるで前の世界のスマートフォンを初めて手にしたような気分だった。


その時、萌香はふと思う。


(そうだ。)


(これからはリュックのポイントも管理しないと。)


(毎回リュックを開けるの、ちょっと面倒だな……。)


その瞬間だった。


ピロン♪


端末から軽快な電子音が鳴る。


「え?」


画面へ見慣れない通知が表示された。



《転送リュック》を検出しました。


ユニークスキルとの接続を確認。


探索者端末と連携しますか?


【YES】


【NO】



「えぇっ!?」


萌香は思わず声を上げる。


「こんなの出るの?」


恭子も琥珀も画面を覗き込む。


「そんな表示、見たことないニャ。」


「普通の端末じゃありえないね。」


萌香は恐る恐る【YES】を押した。


ピロン♪


画面が白く光る。



同期中……


□□□□□□□□□□


■■■■■■■■■■


同期完了



ホーム画面の右上に、新しいアイコンが追加された。


転送リュック


所持ポイント 12,836Pt


さらに画面には、


* 商品検索

* お気に入り

* 取り寄せ履歴

* ポイント履歴


という新しいメニューまで表示されている。


「うわぁ!」


萌香の目が輝く。


「ポイントが端末に表示されてる!」


「これなら在庫管理もポイント管理も簡単だ!」


社畜時代、営業で使っていた仕事用システムを思い出す。


「これ、すごく便利!」


琥珀は感心したように耳をぴくぴく動かした。


「やっぱり萌香の力って特別なんだね。」


恭子も腕を組みながらうなずく。


「端末が特別なんじゃない。」


「お前のユニークスキルが端末を取り込んだんだろう。」


「こんな話、聞いたこともない。」


萌香は左腕の端末を何度も操作し、嬉しそうに笑う。


そして封筒の中を確認する。


まだ十万円以上の現金が残っていた。


「これなら、しばらくは安心かな。」



現在の所持金


現金


100,200円


(十五万円-端末代49,800円)


《転送リュック》


所持ポイント


12,836Pt


(探索者端末と連携済み)



萌香は左腕の端末を見つめながら、満面の笑みを浮かべた。


「よーし!」


「これで商売の準備は、また一歩前進!」


異世界へ来て初めて手に入れた、自分専用の情報端末。


その小さな画面には、新しい人生への可能性が映し出されていた。

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