第12話 ポイントチャージ
翌朝。
朝食を食べ終えた萌香は、昨日ブラックプリンスで受け取った封筒をテーブルへ置いた。
中には札束。
八万円。
琥珀はまだ信じられない様子で見つめている。
「こんなにお金があるなんて……。」
「探索者になって初めて見たニャ。」
萌香は笑いながら封筒から五万円を取り出した。
「まずは実験。」
「ポイントを増やそう。」
「本当にできるの?」
「たぶんね。」
萌香は五万円をリュックへ入れた。
すると――
ピロン♪
頭の中へ電子音が響く。
⸻
《転送リュック》
現金 50,000円を確認しました。
ポイントへ変換しますか?
YES/NO
⸻
「やっぱり!」
萌香は迷わず【YES】を押す。
リュックが淡く輝き、五万円が光となって吸い込まれていく。
⸻
変換完了
50,000円
↓
50,000Pt
⸻
【魔法取り寄せ】
所持ポイント
11,836Pt
↓
61,836Pt
⸻
「すごい……。」
琥珀は思わず声を漏らした。
「お金がポイントになった。」
萌香は満足そうにうなずく。
「これで仕入れ資金ができた。」
「今日は次の商売を試してみよう。」
リュックを開き、商品検索を始める。
⸻
【魔法取り寄せ】
製菓材料
・製菓用ブラックチョコレート(1.5kg)
3,500Pt
⸻
「業務用チョコレート。」
「これなら高級ホテルや洋菓子店で使えそう。」
「まずは二箱だけ。」
「市場調査だね。」
「取り寄せ。」
ボフッ。
ボフッ。
大きな段ボール箱が二つ現れる。
箱には、
『製菓用ブラックチョコレート 1.5kg』
と書かれていた。
⸻
3,500Pt × 2
-7,000Pt
⸻
【魔法取り寄せ】
所持ポイント
61,836Pt
↓
54,836Pt
⸻
琥珀が箱を持ち上げる。
「重い!」
「一箱一・五キロもある。」
萌香は笑う。
「業務用だからね。」
「家庭向けじゃない。」
「でも売れるかな?」
「恭子さんなら分かるよ。」
琥珀はうなずいた。
「ブラックプリンスなら、高級ホテルや料理店にも卸してる。」
「まずは姉さんに相談しよう。」
萌香は箱を一つ抱えた。
「じゃあ行こう。」
「市場調査開始!」
「おー!」
二人は笑いながら部屋を飛び出した。
向かう先は、魚人街最大級の食材店。
ブラックプリンス。
魚人街一の女商人、鱶田恭子が、この業務用チョコレートにどんな値段を付けるのか。
萌香は少しだけ胸を高鳴らせながら、魚人街の市場へ向かって歩き始めた。




