ヒトか魔獣か
イィィィーン
眼の前が真っ赤に染まり 爆発音を聞いた後 意識を飛ばしていたかも知れない 耳鳴りがする 重い身体と意識を取り戻すために頭を振る
小さな身体を気力で起こし モモは、瓦礫の山となった周囲を探す
鬼に堕ちても母という存在になってくれたスズカを…悲しいのか何なのか痛みや恐怖以外で流したことのない涙がモモの知らない感情によってとめどなく流れる
モモ「おかぁさん…おかぁさん…」
血だらけの手で瓦礫をどかす
モモ「ひとりにしないでょ」
瓦礫の中心部えと近づいていく ここ数日で 嗅ぎなれた血の匂いが濃くなっていく 抱き合う2つの影が見える
スズカ「モモ…」
笑顔で振り向くスズカ
モモ「おかぁさん」
必死で駆け寄るモモ
スズカ「来ちゃダメ」
ドサッ スズカが地面に倒れる
白「グルルル」
殺気をはらんだ眼で モモを睨みつける白の魔獣
モモ「お母さんから離れろボクが相手だ」
スズカ「やめて…」
重いガラダを引きずり白の魔獣の足にすがりつき懇願する
白「グルルルオオオぉ」
いまの白太郎には 届かない
母と子のお互いを愛くしみ合う心も声も
モモ「ウォぉお」
モモは、ありったけの魔力をまとい白太郎に刀を斬りつける
黒鉄の鬼の魔力で弾かれると思いきやガードした右手にモモの刀が食い込み切り裂く
モモ「やった」
しかし白太郎は、そんな傷などまったく意に介さず ケモノ左手でモモの身体を掴み 容赦なく地面に叩きつける
モモ「ごふっ」
その口から血を吐きながらも刀を杖代わりに立ち上がろうとするモモ
ドン
立ち上がろうとするモモの背中に衝撃と激痛が奔る
白「グルルル」
白太郎がモモを踏みつけ動けないようにする
モモ「グフ」
痛めた内臓に白太郎の踏みつける足がさらに損傷を与える
スズカ「やめてっ」
スズカがスダボロの身体から血を流しながらも白太郎の胴にしがみつき モモから引き剥がそうとする
しかし白太郎は、スズカを難なく振りほどきスズカの頭を掴み軽々と持ち上げる
モモ「やめろょ」
伸ばした手に持った刀が白太郎の魔獣の仮面にわずかに届き ほんのかすり傷をつける
その瞬間
白「ギッ…や めろ」
魔獣の本能にのまれた白太郎の意識が戻る 眼の前にいるのは、最早敵じゃない お互いを思い合う母と子じゃないか 何やってんだ オレの方がモンスターじゃないか?
『殺せ いつか お前の 大切な者を 傷つける』
そのいつかの時でいい
『あれだけ 命を奪ったのに かわらないだろう?』
ああ その罪は お前じゃなくオレが背負うさ だから そろそろ返せ
白「返せっ」
ドッ ガシャン
白太郎は、ヒトの右手で思い切り魔獣の仮面を叩き割る
血を吹き出す白太郎の額と右手
白「わるかった」
モモから足を外し スズカをモモの隣に静かにおろす




