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08 リゼッタ効果で『ちょこざいな』が可愛いものに感じた。

 僕は1人、コアルームに入る。

 中央に浮いてる半透明の結晶がダンジョンコアだ。形は成長によって色々。ここは野良ダンなので歪な形だね。


「巻き込むと、どうなるか分からないな」


 僕は壁際で茶屋魔法を起動する。

 この魔法は茶屋に通じる扉を作るもの。

 なので作る場所を問わない便利魔法なのさ。


 しかも安全な場所が確保できるし。


 だけど裏世界に茶屋とか不思議なことをやったから、そこへ繋がる扉を出すのにも時間がかかってしまう。

 魔法で作ってるしな、カフェを。


 ゾンビ化だけが問題だ。

 専用の吸魔の結晶を準備するのがベストかもな。


「ふう、やっと出た」


 やっぱり時間掛かったな。相当なコストが必要ってことだ。ただ作った場所は再利用できるから、別のお茶屋を作らなきゃ次からは扉分だけになるはず。


 というか、リゼッタが帰って来ないぞ?

 ボスのドロップが多かったのか?

 そもそもアイテム出てたっけ?


 そう思ってコアルームを出ると、王の間で骸骨たちと戦っているリゼッタがいた。


「は!? な、んでッ。身体強化!」


 リゼッタにバフを掛け、魔弾をばら撒いて掩護する。


「魔弾斉射──疾風──!!」


「申し訳ありませぬ、エリュシオン様ッ!」


 隙を突かれたってことだな。

 取り巻きのスケルトンナイトがいた。

 床に転がってる魔石的にも、動いてるのと合わせて10体ほど召喚されてたようだ。


「無事でよかったよ。今のうちに体制を立て直して」


 よし、取り巻きの処理は終わった。


「ありがとうございます!」


 それにしてもリポップが早すぎる。

 討伐していなかったってことか?

 でもコアルームには入れたぞ?


「そこのコアルームはトラップハウスだった?」


「可能性は高いであります!」


 なにか一定の手順を踏まないと、倒せない系のボスなのかもしれない。


「不自然なものはあるか、王の間を調べてよ」


「ははっ」


 その間、僕は魔弾でボスの動きを止めておく。

 四方から当て続ければ、連続したノックバックでボスをピンボールみたいに弾けるからな。


 クソッたれなことをしてくれたので、思わず効果音付きの魔弾を開発しそうになってしまったじゃあないか。ダカダカダカデュルルルルゥチーンチーン!

 ってね。


「あの、エリュシオン様。ボスのドロップだと思って、取ろうとしたけど取れなかったこの秤、もしかしてコレなのでありますかね?」


 玉座の横のテーブルに置いてある秤を、リゼッタは指さした。

 ピンと来たね。


「それだー! 傾きはどうなってる?」


「水平です!」


 これってアレだよな?

 神話の心臓の重さを量るヤツ。

 ウソついてたりしたら心臓の方に傾いて、神話の魔獣に食べられて復活不可能になるってヤツさ。


「ということは、ボスの心臓を秤に乗せればクリアな気がする!」


「エリュシオン様! 相手は骨であります!!」


 知ってるであります。


「魔石なんだろうけど……」


「この状態では調べづらいでありますな」


 弾かれ続けてるからなあ、このボス。

 タフなのはいいとして、どうするか。


「手足を破壊してみるか。ダイヤのドリル弾を喰らえ! 魔弾斉射──金剛──ッ」


 耐性があったって突破してやるさ。

 魔王の攻撃魔法なので、硬いってくらいじゃあ耐えられない。

 ゴリゴリ削っていく。


「エリュシオン様の魔弾、売れるようにできないのでありますか?」


 ダイヤの魔弾を、なんかやたらと売りたがるぞ?

 お、お金に苦労したのかな、リゼッタってば。


「できるけどゾンビになるかも。それに贋作みたいなも……いやいや、待て。さっきもこのパターンでボスが粉になったんだから!」


「あうゎ、そうでありました!」


 僕たちは必死こいてボスの魔石を探した。

 僕の役目は魔法を使いそうになったら、顔に魔弾をぶち込む役だったけど。


「ぬ!? エリュシオン様、口の中にあったであります!!」


「危なっ」


 口に攻撃してたらアウトだったな。


「クチオシヤァァァ」


 リゼッタが魔石を取ると、お馴染みだろう言葉を吐いて崩れるダンジョンボス。


「それを秤に乗せてみよう。羽根の乗ってないほうにね」


「はっ」


 どうだ?

 徐々に傾く秤。

 ボスの魔石側だ。


「ギャアアアアアアア──」


 王の間に響く声はボスのもの。


「おし、クリアッ!」


「わあっ! 見てくださいエリュシオン様、骨の粉が!」


「おおっ、凄っ!!」


 砂金に変わっていく!

 僕は服飾魔法で子袋を制作し、リゼッタがせっせと砂金を詰める。

 僕たちの眼球は完全にお金のマークだったね。


 取り切れないものは直にインベントリ。

 全部をインベントリに入れたところ、およそ23kgの砂金だった。


「大富豪であります!」


 だよな!

 た、ぶん?

 金なんて持ったことないし、分からない。


 でも23kgだしなあ。

 普通のお金持ちってくらいな気もする?


「まあ、儲かった……んだよな?」


「……あー、どうでしょう? ダンジョンということを考えれば……うーん」


 マジックアイテムでもないし、普通の金だし。

 なんなら扱い辛そうな砂金だし。

 うーん?


「だがしかし、であります、エリュシオン様。ダンジョンのコア自体に価値があるのではありませんか?」


「使い道は多いね。高濃度の魔石みたいなものだし」


 ただしその場合は、このダンジョンを僕のものにできないんだよな。まあ野良ダンだから変な拡張されてそうだし、ダンジョンの再利用はサイズ次第かな?

 無駄に広くても使い辛いからな。


「コアを奪うにしろ使うにしろ、損はしてないんだしいいか。それより問題はコアルームだよ」


「ここしかなさそうでありますものね」


「うん」


 トラップハウスだったんじゃないかって部屋のみ。


「確認のため自分が入ってみるであります」


「僕のほうが耐性高いんだし、それは僕の役目じゃない?」


 多少の言い合いはあったけど、結局は治せる魔法を使える僕が残ることになった。

 リゼッタ的には魔王にそんなことさせられないって感じだったけど。僕的には魔王の心なんて持ち合わせてないから、どっしり構えるムーブは難しいぞ。


「特になにもなかったであります」


「ギミックに気付かないと、砂金が手に入らないのがトラップだったかなあ」


「ちょこざいな!」


 リゼッタ効果で『ちょこざいな』が可愛いものに感じた。

 推しが言う古風な言葉、好き。

 もっとそういうのちょうだい。

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