33 目をつむってお風呂に入ったら、開眼したってことは……一旦変態か。
精霊の箱庭がない状態の勇者たち。
復活勇者が人工精霊を使ってなかったのは、それが原因だったようだね。単純に傲慢してんのかと思ってたけど。
出すまでもない、みたいなさ。
しかし人工精霊がいなければ戦闘力が落ちるのに、ダンジョンへ潜ってるのはなにか理由があるのかもな。
強くなったあとで作るつもり?
なにかしらのアイテムも使ったりして強化可能とかなのかな?
ゲームじゃないからコアの強化方法があるのかもしれない。
真面目にダンジョン攻略しているのはそのせいか……?
「うーん、勇者のことを考えても答えは出ないかな」
「私たちが知っている情報など、過去のものとなってしまいましたからね。ですがエリュシオン様、勇者どもの力量などたかが知れておりますゆえ、心配される必要はないのでありますよ!」
「そう……だね。うん」
箱庭が強化されるなら、こっちにとっても有益なんだしいいか。
勇者がダンジョンで稼いで箱庭強化。
精霊も強化されてダンジョンに落とすDPも増える。
WIN-WINってことなのさ。
持ちつ持たれつはゲームのコンセプトどうりってことで。
「復活勇者の箱庭が復活したら、公園勇者のガーデンコアをもらおっか」
「そうでありますね。無駄のない稼ぎかたになりますよ!」
今は待ちのターンかな。
公園勇者にもマーキングしてあるから、調べれば住処はすぐに判明するしね。
「ついでだから公園勇者の家も知っておこうか。えーっと確か……あそこら辺」
復活勇者と、そこそこ近い場所にあったからね。分かりやすいよ。
「目印がありますな」
「精霊の樹は隠さないと目立つからね」
隠していないというのは、長いこと魔族が攻め込んでないからだろうね。これは傲慢勇者を育む魔族の作戦なのかもしれないっ。
なんてな。
「帰ろっか」
「はい」
「そういえば出入口用の家も使えるようにするか?」
掃除しただけなんだよね。
と、新居を眺める。
もったいないよな、やっぱり。
「ダンジョンのほうが色々と便利でありますよ?」
「ちょっとした不便は……その、さ、新婚さんムーブにスパイスをくれる気がする」
「さすがエリュシオン様。素晴らしいアイデアであります!!」
といっても便利系のシステムを積んだ家だから、ダンジョンよりチョイ落ちくらいの不便さなんだろうけど。
一緒に洗いものするだけで楽しいしな!
食洗器……あったけど。
ま、まあ乾燥だけ任せればいいのだ。
「ダンジョンの映像をこっちでも見れるようにすれば、酒の肴にもなるかな」
「そんなこと可能なのでありますか?」
「ダンジョンコアに送られる映像を受信すればいいからね。たぶんできると思うからやっちゃうよ」
「せっかくですからここで軽く飲み直しますか?」
「ああ、そうら゛ね。そ゛う゛し゛よ゛う゛か゛」
久し振りの創作魔法で、僕たちはゾンビになった。
カナシイ確定演出ってヤツさ……。
このゾンビ化を避けるには、作るものがなくなるか、ゾンビじゃなくなるしかないっぽいんだよな。
やっぱり可能性はダンジョンになるね。
「て゛きた」
「お疲れさまであります!」
追跡魔法と組み合わせて、ダンジョンコアの映像も映せるようにした。
「せっかくだし新居の機能も使ってみよう」
「は」
電子レンジみたいなものでナスのピリ辛は温め直した。
「ンマイ! 次は一緒に作ろう。時短とか効率とかじゃないということを知ったよ。恋人との過ごしかたって」
「これからいくらでも作れるでありますよ! 時間も、料理もっ」
「アンデッドだしね、僕たち。ゾンビにかんぱーい」
「乾杯でありまーす」
時間は無限だ。
たぶんだけどね?
「ゾンビにならずに生活すると、ゾンビ化解除セットは老いをトレースするんだろうかっていう疑問も出てきた」
「どうなのでしょう? 元々私たちの寿命は長いほうでありますし」
そういえばこのゲームのデスナイトはアンデッドタイプじゃないんだっけか。ドラゴンの呪いを受けたうえで、使いこなす暗黒騎士系という設定だったはず。僕にいたってはたぶんハーフエルフかな? って感じ。ゲームでも言及はなかったと思う。
プレイヤーキャラだから、あんまり設定はないはずだ。
異世界パワーで馴染んだキャラが僕ってことだね。
神。
リゼッタに好かれる感じになったので、ガチで神がいると思う。
「なんだか楽しそうでありますね? エリュシオン様」
「うん。最初の目的はただの出入口用だったんだけどさ、リゼッタと過ごすための新居って考えたらフワフワポカポカしてくる。ギルドの受付嬢には感謝しかないね」
「はい! もうお風呂も入っていきましょう。し、し、新婚さんでありますし! ジェットバスとやらも体験しましょうぞ!!」
「そ、だね。うん。実験も大事だ。目をつむってれば平気かもだし!」
「頑張りましょうッ」
水着なんてすぐ作れる。
だけど……僕たちは前に進むのだ。
「前向きなゾンビがいたっていい」
「当然であります」
ゾンビ化したとてっ。
「僕たちの未来のために!」
「はい。未来のために!」
なんか2人して変なテンションになってしまってるけど……やることは一緒に裸になってお風呂に入ることである。
「3重にしたピラミッド型防護魔法を展開。ゾンビ化に備えるため、中心点は僕たちに設定!」
「了解! ミッションスタートでありますな。ささ、エリュシオン様。お召し物をお預かりいたしますっ」
「うひゃいっ!?」
「元気いっぱいでこのリゼッタ、嬉しく思いますッ!!」
加速のスキルまで使って僕を脱がすリゼッタ。
しかも元気いっぱいの僕の僕をッ。
「み、見た?」
「ま、まだ見ておりません! ひ、ひっか、引っ掛かったゆえ、分かったのでありますッ。ビョインって!!」
なにおぅっ!?
しっかり把握されてしまってるじゃあないか。
「な、なんか僕だけえっちなヤツに思えてきた。けどまあ間違ってないか」
「私に興奮なさっているという事実が、私にも刺さるのであります」
「目、目、目を閉じてるせいで、リゼッタの服脱ぐ音がなんか余計にッ」
シュルファサだけなのに、僕はアレコレ想像してしまって……。
「あ゛」
ゾンビ化した。
「だめた゛っ゛たか゛あ」
「わ、私はまだ耐えているであります。せっかくですので……その……ごごっ、ご覧になりますか!?」
「う゛っ゛、ん……い、い゛や゛! いつ゛か゛……ちゃんと……いつか゛ちゃんと2人で……したいから我慢する!」
「ぁあ゛……エリゅ゛シオん゛さ゛ま゛。わた゛し゛の全てを゛捧げるて゛ありま゛す゛」
僕だけズルは、リゼッタへの裏切りになると思ったんだ。
ホントは凄い見たいんだけどね。
こ、恋人になったとはいえ、推しには誠実でいたい。
ここは幸いにも最新のお風呂。
脱臭は完璧さ!
僕たちは半ゾンビのまま入浴した。
あと心眼とかいうスキルが2人とも生えた。
目をつむってお風呂に入ったら、開眼したってことは……一旦変態か。
2人とも。




