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26 何度も頭が腐っちゃったし?

 翌日勇者の死亡が発表された。

 当然だけど結構な騒ぎになってしまった。でも悲壮感とかは全然なくて、関係ない世界の話のような感じだね。


 原因などの発表も午後には追加された。

 死因は精霊の箱庭がなくなっていること。

 そして勇者様がたは明日復活するから安心せよとの御触れが出た。


「国から出るんだよ、御触れが」


「たかが勇者の死。寿命でなければ問題ないでありますのに」


 やはりズブズブの関係か。

 ダンジョンの儲けを勇者特権で掠め取って儲けてる感じかな?

 もしかしたら深い階層も独占してたりするのかもしれない。


 復活が早いのも驚きだよな。

 ゲーム的というか。


「僕の復活が遅かったのは特殊性ということかな?」


 転生とかしてるしね!


「エリュシオン様は古き魔王ですからな。最近の軟弱ものとは違うのであります!」


「へへ、ありがと」


 なお、民衆からは特に喜ぶ声は上がってなかったけどね。

 その答えは傲慢貴族だから、といったところでしょう。


 冒険者とかの話も漏れ聞こえてきたけど「そのままくたばってろカス」だったのが笑えるところですよ?


「わざわざ様子を確かめる必要もなかったかな」


「まあよいではありませんか。エリュシオン様とお出掛け。ンフフ」


 ボソッと言っても聞こえるんだって。

 リゼッタが悦んでるならいいけどさっ。


 しかしコレはアレだな。

 魔界では人里に寄らなかったから分からないけど、もしかしたら魔族より勇者のほうが人族からのヘイトが高いのではって、そう思える事件だったね。


「シオン様が起こした事件であります」


「はっはっは、なんのことかねリゼくん」


 正直、ちょっと安心した僕もいる。


 ゲームで復活してたからって、現実になってる今がどうなるかなんて分からないしさ。勇者がクズみたいなヤツらだったから、やっちゃってもいいでしょってなってたけど……。


 でもその程度に平気な気分なのは、僕が転生したせいなのかもしれないよなあ。

 だってゾンビだもの。

 何度も頭が腐っちゃったし?


 そう考えると異世界スゲェな!

 腐っても生きてるってどんなだよ。

 スペックが高いからか?


「リゼはゾンビになったときって、普通に思考能力がある?」


「はい。ただ……話すには労力を使うと言いますか……」


「あー、同じ感じかな? なんか凄い頑張る必要があるよな、声を出すのに」


 リゼッタも魔王クラスのキャラって感じなのかもな。

 ずっと使うキャラのはずだし。


「ダンジョンに戻る前にケーキを買っておこうか」


「貿易の要所ですからな。色々あって迷うであります」


「種類多めに買ってさ、美食魔法で再現するつもりなんだ」


「おお、それははかどりますなっ」


 今は内装だけだけど、隠れ家カフェもホントに隠れ家にしちゃうかな?

 森の中の泉の側に植物に覆われた図書館っぽいのを建ててさ。

 ちょっとお散歩デートしつつカフェに向かう。


 ……いい気がする。

 凄くイイ。


 帰ったらさっそく取り掛かるか。幸いにも生きのいいコアが3つ手に入ったことだしな!

 そしてサプライズお散歩デートをする!


「僕は居住区に手を入れるから、リゼッタには続きを頼みたい」


「お任せあれ!」


 リゼッタには引き続きダンジョンの階層づくりを頼んだ。宝箱の配置とか魔物の配置、部屋割りや通路の構築なんかをね。

 テンプレがあるとはいえ、調整は必要だ。


 誰もいないのに魔物や宝箱を出すのは無駄だからな。

 そういう設定とかもしておくのさ。

 上の階に人が来たら起動する感じ。


 すぐ湧かせるのもコストが高くなるからね。ジワ湧きさせるのだ。

 なおこの仕事分担は、僕の作業というか欲望丸出しの隠れ家カフェを誤魔化すためのものであります。


 正直に言えば新しい階層を作る必要はないんだよな。だってまだ10層も攻略されてないんだし。まあ代わりの勇者が来たら攻略が進むかも? っていうフワッとした念のため行動というか。


「ふう、オヤツ食べながらにチェンジしようよ」


「いいですね! コーヒーを入れて来ます」


「お願い」


 僕はテーブルに片手でつまめるような甘味を……美食魔法で作る。そういえばケーキとかは買ったけど、そういうのは買ってなかったな。

 チョコとかクッキーを用意。


 一口バウムクーヘンなんかは魔法だから作れるな。

 手作りは難しそう。


「なんでありますか! なんでありますかっ!?」


 バウムクーヘンは見たことないオヤツだったようで、リゼッタのテンションが急上昇してる。


「いっぱいあるから好きに食べてよ」


「わぁっ……ありがとうございます、エリュシオン様! 私は果報者でありますな」


 嬉しいビックリ笑顔と、美味しいビックリ笑顔。

 同時に堪能できて、僕も思わずニッコリ案件だ。


「お、よかったよかった。好みが一緒なの、なんか嬉しい」


「安心できるでありますな」


 その分、新しい発見というのが少なくなるかもだけど。

 そこはまあ2人で探せばいいでしょう。

 ゲームっぽい異世界の食材だからな。


 魔力味という第2のうま味成分が足されてるから、僕にしてみれば新鮮な美味しさなんだよね。


 リゼッタは魔界の住人だし、大自然味に苦しんでたようなので、人族のご飯にはすぐ感動してるよ。そしてくやしいのぅ期はもう終わったようだ。さすがに毎回毎回悔しかったら、慣れるってことでしょうな。


 文化力じゃ勝てないってさ。


「プレイヤーがいなかったら無理か」


「どうかなさいましたか? エリュシオン様」


「いや、僕と同じような魔王がいたらさ、魔界の文化も保たれてたのかなって」


「古き魔王たちですか……確かにそれはあり得た未来かもしれませぬ」


 あ、プレイヤーの魔王と、この世界の魔王ってそういう認識なのね。

 時代が進んでるせいもあって、使えるゲームの情報が少なくなってるのがなあ。それでも生産系で有名どころの精霊の箱庭、行ってみる価値はあると思う。


 残ってたら成長したコアが手に入る、かもしれない案件ってことさ。

 ※ただしワル勇者に限るって付くけどな。民衆からのヘイトが高いからたぶんワル勇者だと思うが。

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