21 儚げ清楚美人はえっち。
勇者が来るならちょうどいいので、追跡魔法を作って追うことにした。精霊の箱庭へ案内してもらおう。
追跡魔法は地図魔法と組み合わせることでマップに表示できるようにして、解除は任意にできるようにっと。
そうだ、投影可能にもしたらリゼッタと一緒に見れるな。
創作魔法を起動して5分ほどで完成。
お試しで今潜ってる冒険者に付けてみよう。
「ちょっと実証実験のために追跡魔法を付けてくる」
「お供します」
「そう? すぐ済むけど」
「護衛とは常に行動を共にするものであります」
「ちょっとのことだし、なんか悪い気がするんだけどなあ。単純に僕と一緒にいたいだけなら嬉しいけどっ」
とか冗談めかして言ったら、リゼッタの顔がカーッて赤くなった。
「あ……」
「い、いじわるでありますな? エリュシオン様は!」
「う、嬉しいことだからよいことなのだもんねっっ」
僕たちは追跡魔法を付けるという謎のデートをした。
スマンな、選ばれし冒険者たち。
魔王の戯れと思って諦めてくれよなっ。
ちなみに追跡魔法はイイ感じに成功した。
プロジェクターみたい使えるよ。
「しかしちょっと困ったな」
「どうかなさいましたか? エリュシオン様」
「えーっとね──」
勇者はDP的にオイシイので来て欲しいが、一般人を追い出す状況にされるのは困るということをリゼッタに相談する。
ホント困ったちゃんだな、勇者の特権意識。
「痴れ者など退治してしまえばよいのであります」
「うーん……それもありな手か? 箱庭のコア、取っちゃえばどうせ死ぬんだし」
リゼッタも言っていたけど、魔王も勇者も減る様子がなかったということ。
デスペナありで魔王も勇者も復活するんだと思う。異世界転生した僕は特殊な例だとしてもさ。
「ってことは撃退して追い返す。これはダンジョン側の意志として見せようか」
いわゆるヘイト買いだね。
そのうえで追跡してからの、箱庭にあるガーデンコア奪取。
復活の勇者、ダンジョン攻略再開。
「と、上手くいってくれたらいいんだけどね」
「はい。その流れが一番でありますな」
ところで、と真剣な表情のリゼッタからのおねだりがありましたよ。
「エリュシオン様、万が一がありますので本気装備でよろしいですか?」
デスナイトの装備に着替えたいということだった。問題を起こすであろう勇者の監視中だしな。もっとお遊びのおねだりだっていいんだけど、リゼッタの実直で真面目な部分が出たね。
「もちろん」
町娘Verだとお仕置きデスナイトたちに混じったら変だからなあ。
「手伝っていただけると幸いであります」
「え?」
「鎧は1人で付けられませんので」
そ、そうなの!?
じょ、女子の着替えを僕が!?!?
「わ、わかたっ」
どもった。
でも緊張するんだから仕方ないだろう!
鎧の身体に付けるパーツ、ブレストプレートのベルトが左右にある。
これを留めるのが僕の任務だ。
鎧下を着てるから、薄着なわけじゃない。
だっ、だけどむにゅが、むにゅんところがむにゅってて。
「エリュシオン様……あんまり見られると恥ずかしいのでありますが……」
「ハッ!? ご、ごめん」
「で、ですが魅力的だと思われているのなら、この上ない誉れであります……私の尊き御方」
「い、いつだって魅力的だよ、リゼッタは」
リゼッタを仲間にするために、僕はゾンビでゲームを始めたんだからさ。
でもリゼッタってば想像より攻めの姿勢が強い。
ついちゃっかり手の感触を楽しんだり、僕を盗み見て堪能したり。
に、肉食系儚げ清楚美人騎士めぇッ。
今も私の、とか言っちゃってるよ!
私の尊き御方だってッ!
チラッと視線を向ければ、リゼッタもこっちを見てる。
はにかんだ笑顔がステキでござっ。
「エリュシオン様より賜るひとときの幸せ。この上なき悦びであります」
「い、いけない、これ以上はいけない幸せだからいけないってば」
「ははっ! ……でもいつかは…………」
ぼそっと言っても高性能な身体能力の僕には聞こえてんの!
「ちょっ゛と耐え゛ら゛れなかった゛」
「エリュシお゛ン様はえ゛っ゛ちでありむ゛ぁ゛すな」
リゼッタも絶対えっちだよね!?
ゾンビってるじゃんか!
前回もえっち前に2人してゾンビタイムに突入したしなっ!
儚げ清楚美人はえっち。
決定だ。
しかも僕だけ……僕にだけの…………ハウッ……これは尊き死だな!!
「エリュシオン様のゾンビが長いであります。叡智はそっち方面にも……?」
とか聞こえてしまって、僕は動揺しつつも冷静になるよう努めた。
ガチ努め
。
「じゅ、準備は万端だな」
「は、はは! あとは勇者を待つのみであります」
そうだ、罠を張ろう。
待ってる一般人の前にハイポーションを出してあげることにした。
もちろん勇者が旨味を得ようと寄って来たときにな。
「来ましたな」
「人工精霊を見せつけて権威を振りかざしてるのか」
分っかりやすいなあ。
草生えちゃうよ?
「音声もありにするか」
監視映像は勇者に密着だ。
「報告では旨味のあるダンジョンという話だが、はたして我ら勇者の旨味になりえるのだろうな? 庶民レベルでは生かす必要性を感じぬが」
「私は楽しみよ? 愚民どもに人気らしいの。貢物が増えるに違いないわ」
「俺にはそれのなにが楽しいのか分からんな。俺の力を増してくれるダンジョンだけに存在価値がある」
「フン、せいぜい冒険者共に働いてもらうか。あれらが供物となりダンジョンも成長しよう」
うわあ、すごおい。
ナチュラル見下し界隈だぞ。
「こんなヒドイの初めて見た!」
「権力に溺れ、腐ったようでありますな」
ゾンビに言われちゃあ勇者もおしまいだね。
「よし。あの祈りながら待ってるおじさんのところに、ハイポーションを出すか」
「勇者の人となりを見ますか。やはりエリュシオン様はお優しい」
護衛も雇ってるようだし、お金持ってる商人かなって感じのおじさん。
ホント、ずうううっと待ってる。
ずうううっと祈ってる。
僕は魔族で魔王だから、金持ちの商人なんて厄介な敵になるんだけどさ。
元々人間ってのもあるし、願いを叶えてあげたくは……なるなあ。
というか、祈る先が魔王でいいのかね?
もしかして教会関係もさあ、貴族向けにしかサービスを行わなくなってたりするのかなあ。
勇者を見てるとありそうだ。




