20 小悪魔だろうが、学生服だろうが、ボンテ―ジだろうが、ゴスロリだろうが。
僕はリゼッタに似合うアクセサリが欲しいので、小物類の売ってる露店を巡ることにした。いいのがあったらマジックアイテムにするつもり。
資金はたっぷりだもの。
「気に入ったのはどんどん買ってもいいんじゃないかな」
「私もシオン様のを選ぶであります」
ゲームみたいにアクセサリ枠なんてものに縛られないからね。
付与されたものによっては、干渉して効果に影響が出たりとかするし、見た目の問題はあるけども。
リアルになったから、いっぱい装備することが可能になった。カッコ悪く見える場合は隠せばよしってことで。
「クッ、小癪にも私好みのものが多い」
ボソッと文句を言うリゼッタ。
おのれーおのれーって言いながら買い続ける手の動きに、迷いはない。
欲しがりさんだ。
魔族はなあ……プレイヤーじゃなきゃオシャレアイテムが髑髏の首飾りとかだし。
どう足掻いても人族のほうが上だよ。
諦めが肝心さ。
「リゼ、声に出てるって」
「おお、これは申し訳ございません」
ガンガン買ってるせいか、ウチの露店にも来ないかなーみたいにコッチをチラ見しつつ待ってる露天商も多い。
だが、残念だったな!
「そろそろ服を見に行こうか」
「はい!」
弄んじゃったぜ。
買い物はアクセだけではないからね。
普段着も必要だ。
なぜか複数持ってる初期服というか、あのダサい肌着はちょっと。
かといって服飾魔法で全部作るのも違うと思うんだ。
し、ししっ、下着とかもあるし!
そういうわけで必要なのだ。
「清浄魔法が効いてるって言っても、さすがに着っぱなしは問題だからな」
「着る服を選ぶのもきっと楽しいであります」
「普段着くらいは作っておいてもよかったかも?」
「なにかとやることがありましたから、仕方のないことでありますよ。シオン様」
「か、かな?」
シオン様って言われて気付いた。
手を握ってない。
そして握ってないから、普通に話せてるということにも。
不甲斐ない!
中学生でも……もっと自然に恋人つなぎくらいしてそうな気がする!!
「あ」
「あ、あっちの店も覗いてみよう」
「はい!」
ちゅーの壁を超えさせてもらったんだから、これくらいは僕からしないと。もっと魔王らしく、傲慢したまえ僕。まあ今は心臓を2個捧げたデバフのせいで、ちょっとちっこい魔王くんになってんだけどさ……。
まだ治らぬぅん。
もうちょっとって感じはあるけどね。
「シオン様、見てください。浅ましき者どもがこしらえたとは思えぬ見事な刺繍」
「す、凄いな」
「は」
流れるように人族を貶めつつ褒めるリゼッタに、ビックリなんだよ!?
「気に入ったのは試しちゃえばいいよ」
「では少し失礼して」
「うん」
いくつかの服を手に、試着室に向かうリゼッタ。
心は穏やかに。
しかし裸待機の心構えで待つ。
町娘Verがはかどるぜ!!
「ど、どうでしょうか……?」
モジモジしているリゼッタ。
どこかに消えちゃうんじゃないかってくらい、儚げになってる。
「あ、あの?」
「僕は今……猛烈な感動に打ちひしがれている」
好みはもちろんあるだろうけど、リゼッタはなに着ても似合うんだろうな!
小悪魔だろうが、学生服だろうが、ボンテ―ジだろうが、ゴスロリだろうが。
これは心のステージで着せ替えしよう。
「僕の天使はさすがです」
「シオン様!?」
「はっ!? う、うん、リゼに凄い似合ってるよ! 買いだねっ」
「では次はお楽しみの時間であります」
「ほほう?」
倍の時間を使って、僕の服を吟味された。
ヴァンパイア時代の貴族風と、ショタ系が好みのようです……。
短パンは許してくれィッ! って思ったけど……リゼッタに着せたいなって思いましたとさ。
ショタ系ファッションは、女の子が着たほうが似合うのではないだろうか?
そんな気付きを得ながらのデートは、夕方になったので切り上げることにした。なんかあっという間の出来事だった気がする。
「商業ギルドに寄ってから帰ろう」
「そういえば新聞を買うのでしたね」
新聞を買って戦争の情報を仕入れようと思ってさ。
ゲーム時代のは勇者の箱庭育成具合というか、どこそこの野菜は効果高いとか、あそこの畜産はバフがどうとか、そういう情報が載ってたりしたからな。
他にはあそこのダンジョンでアレが出たとかのレアドロップ情報なんか。こっちの情報は、僕たちには不要だね。
とはいえ、ゲームのときはそうだった、ってヤツだ。
今はどうかな?
勇者の行動とか冒険者の活躍などが載っている情報誌とかなんだろうか?
特に箱庭情報が欲しいんだけどね。
新聞を買ってると若干ざわついてることに気付いた。声を拾うと攻略に乗り出したとか言う話をしているな。
「有名パーティがウチの攻略を始めるらしいぞ」
「ほぉ?」
わーるい笑みを浮かべて頷き合う僕たち。
有名パなら、さぞかしDPを落としてくれるのでしょうなっ!
侵入者が高い魔力を有していると、こっちも儲かるシステム──
それがダンッッ、ジョォーーーーンヌァッ!!
「急いで帰ろうよ」
「はっ。見たいでありますしね」
家路を急ぐ僕たちの前に現れたのは、冒険者ギルド員だった。
「ギルドカードを拝見いたします」
いつの間にかダンジョンの入り口で状況を説明してるようだった。出たときにはいなかったんだがな?
ま、当然偽装の指輪と偽造カードを使ってシレっと入るんだけどね。
どうやら面倒なことが起きてるようだ。
出入口ゲートで監視しているギルドの職員に、カードを提示する。
「お2人共にBランクですか。それなら探索も問題ありません。攻略階層の更新を期待しています」
なにもかもが偽情報の僕たちだから、無意味な許可ですな。
そして明日から勇者が攻略しに来るらしい。
ほほー?
「それからご存知かと思いますが、優先権は勇者様方にあることをご注意ください」
そのために、わざわざ出張ってきているみたいだな。
「無用の争いを避けるため仕方のないことですので」
「分かってる」
分かってないよ、ホントはね。
まさかの勇者特権増加でしたな。
「フン、賢しらなマネを──」
「リゼ」
「はっ、口が過ぎました。申し訳ございませぬ」
勇者への優遇措置が裏目に出たんだろうな。
特権意識で腐ったみたいだね?
勇者。




