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16 マルチコアのつよつよダンジョン、イケるね。

「ははっ! 守りはお任せください!!」


 僕がダンジョン作成の開始を宣言したら、リゼッタが嬉しそうに護衛を宣言してくれた。


「うん、お願い」


 念のためにテントに被せるように防護魔法をかけておく。魔力の放出も抑えるようにしておこう。

 高濃度の魔力が漏れたら、様子を見るために魔族が寄って来そうだしね。


 しかし……初めて使ったこのテント、もういらなくなりそうだなあ。


 だってダンジョン作ったら、基本的にダンジョン内で生活することになるし。

 キャンプしたくなったときに使うくらいしかないというか、本来の使い方になるというか。


「さて──同じ仕様かな?」


 僕のステータス画面からダンジョン作成を選択、マップ画面が開いた。

 これは地図魔法で参照してるものだから馴染みあり。

 うん、ゲームと同じように指で操作できる。


 旗を立てる場所、神の峡谷をタップした。

 ゲーム時代にはできなかったことだけど、現実になった今ならイケると思う!

 どうだ?


「おお、やっぱ大丈夫だ」


 僕の視界に心臓を捧げるかの選択肢が出ているからね。


「リゼッタ! ダンジョンができたら僕だけ転移する。すぐダンジョンコアを操作して呼ぶから、この場所で待ってて」


「ははっ! お待ちしております。ああ……いよいよですね」


 恍惚感激リゼッタのスクショを心にキメて、僕はシステムに心臓を差し出した。

 ピラミッドダンジョンの野良コアとは違うのさ。

 魔王の新鮮な心臓は、無限の可能性を感じさせるパワーを出してるよ。


 たぶん。


 もう神の峡谷っていう宇宙空間の中に行っちゃったからね。

 しかも裏世界の。

 ここからじゃ感じられないのだ。


 さまよう僕のパーツくんたちみたいに、リンクは切れてる。


 ゾンビに感謝かもだ。痛くないし、再生してるし、ダンジョンを何個も運営できるんじゃないか?

 いや、何個も運営するより……マルチコア、イケるくね!?


 デュアル? クアッド? オクタ?

 ゾンビ──なんという可能性の塊っ!

 マルチコアのつよつよダンジョン、イケるね。


「あ、そろそろだ。先に行ってる」


 高いところから下を覗くような吸い込まれる感覚。


「はい!」


 ダンジョンができたようで、僕はできたてのダンジョンに転移する。

 移動先はコアルーム。


「この辺りもゲームと同じ挙動だな」


 ダンジョンコアにタッチしてメニュー画面を開く。コアの操作はタブレットをいじるのと大差ない感じ。

 さっそくリゼッタを呼ぼう。


 仲間のページから、1人だけ記入されているリゼッタを選択。

 召喚をポチる。


「このリゼッタ、魂尽きるまでエリュシオン様の御側に」

「ありがとう」

「ははっ!」


 臣下の礼を取ったままの状態で現れたけど……?


「え? その格好で待ってたの!?」

「狙っておりましたので!」


 ニコニコしながら、こういうイベントを待ってたって教えてくれた。


「エリュシオン様もお好きでありましょう?」

「う、うん」


 確かに僕も好きだけど。

 好きだけど、ニコニコしてるリゼッタのほうが破壊力高いよ?

 臣下の礼のポーズだと上目遣いになるじゃん!


 お好きでしょ? って首もかしげてるじゃん!

 つまり可愛すぎて僕は死ぬ。

 ゾンビでもね!


「しかしテントは持って来れませんでした。申し訳ございません」


「リゼッタ用のマジックバッグ、作りそびれたままだからなあ。仕方ないよ。それほど惜しいってものでもないし、いいさ」


「空飛ぶテントでありますが?」


「……運のいい人が使えばいいさ」


 テントは捨てる羽目になったけど、わざわざ探して回収するほどでもない。

 人のいない適当に選んだ魔界の森の奥地だからね。


「マップにマーカーも付けてないし、もう場所も定かじゃないから」


 このことでリゼッタにマジックバッグを作ることにした。

 バタバタしてて、リゼッタの装備も作れてない。

 あとでまとめて作ろう。


「まずは生活環境を整えないとね」


 ダンジョンとしての設計はあとになるな。ゲームだったら生活環境とか関係ないけど、現実になってるからな。


「大事でありますな!」


「これから暮らす場所だしな!」


 居住区を充実させるのは必須であるっ。

 リゼッタと一緒にご飯を作ったりしたい願望はまだあるのだしっ。


「リビング、キッチン、お風呂と寝室は必須でありますな」


「うん。使いやすい感じに仕上げたい」


「あ、い、一緒に゛料理、でありま゛すね?」


「そ゛、そう、ソレ゛っ。ソレやり゛たい」


 ぼ、防護魔法展開ッ!


「危なかった。まだピラミッドパワーがなしの状態だから気を付けないと」


「はい。ありがとうございました、エリュシオン様。家を建てるときのような相談でしたので……心が弾んでしまったのであります」


「あ、あんまりドキドキすること言ったらダメだって」


 家を建てるときとかっ、そんなの結婚してるヤツじゃん。

 推しと?

 推しと夫婦!?


 そんなの達人の極じゃよッ!?


「ふふふ……そ゛うですね、エリュシお゛ン様」


 余裕そうな表情を浮かべてるけど、真っ赤だしゾンビが顔出してますよ?

 もちろん僕も。

 なので新築ダンジョンには腐臭が漂った悲しみの極じゃったんじゃ。


 清浄魔法を起動して、落ち着くまで待つ僕たち。

 悲しいけど慣れっこさ。

 ゾンビにはね……。


 セーフエリアの機能に清浄魔法付けよう。

 これは重要事項だ。


「エリュシオン様、そのぉ……あの隠れ家カフェも欲しいであります」


「うん。娯楽施設は大事だからね」


 おねだりされちゃったら、叶えちゃうしかないっしょ。


「しかし、素敵時間を過ごすには必要なものがあります!」


「ピラミッドパワーでありますな!」


「そのとおーり!」


 ダンジョンの設計は大事である。


「予定通りピラミッド型にするのは決定なんだけどさ」


「なにか気付きがありましたか?」


「うん。大型にすると効果が高かったでしょ?」


「はい、テントで試したとき発見しましたな」


「我々に必要なのは、高出力なピラミッドパワーを発するダンジョンなんだ。つまり大型化狙いになる」


 うんうん頷くリゼッタ。

 彼女も僕と同じ思いなのが嬉しい。

 だ、だってイチャイチャするための、ハイパワーピラミッドだもの。


「ゾンビを生かして、マルチコアのダンジョンで解決できるんじゃないかと思ってね」


「んエッ!?」


 リゼッタもビックリし過ぎると変な声出るんだなあ。

 そんな気付きもあったよ。

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