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親友に裏切られ婚約者をとられ仕事も住む家も失った俺、自暴自棄になり放置されたダンジョンで暮らしてみたら可愛らしいモンスターと快適な暮らしが待ってました  作者: 空地 大乃
第四章 モンスターバトル編

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第201話 釣果と夕食

 陸に戻った後は、鬼輝夜のメンバーと別れ、帝の車でダンジョンまで送ってもらった。


「わざわざ送ってもらって悪かったな」

「俺が誘ったことだからな」

「いや、でも楽しかったし、誘ってもらって良かったよ。また一緒に行こうぜ」

「――そうだな。たまにはこういうのも悪くない」


 帝が小さく笑う。

 そんな様子を見て、俺も自然と頬が緩んでいた。


「ワンワン!」

「ピキィ♪」

「マァ♪」

「ゴブッ!」

「モグゥ~!」


 モンスターたちも「また遊びたい!」と言わんばかりにはしゃいでいる。


「皆にも随分懐かれたな」

「……柄じゃないんだがな」


 そう言いながら、帝がクーラーボックスを俺へ差し出してきた。


「これは?」

「今日の釣果分だ」

「いやいや、楽しませてもらっただけで十分だって」

「そう言われてもな。こっちだけでも食いきれない。ボックスは今度会った時に返してくれればいい」


 そう言われてしまうとな。


「わかった。ありがたく受け取っておくよ。これもしっかり返すからな」

「あぁ。じゃあまた今度な」


 そして帝たちは車に乗り込み帰っていく。

 帰り際、社員の三人が窓を開け、笑顔で頭を下げてくれた。


 本当に、話してみたら皆気さくでいい人たちだったな。

 それにしても――結構なお土産まで貰ってしまった。


「……今度、か」


 帝とも随分打ち解けられた気がする。


「よし! せっかくだし、この魚を使って今日の夕食にするか!」

「ワンワン!」

「ピキィ!」

「マァ!」

「ゴブゥ!」

「モグッ!」


 魚料理と聞いて、皆のテンションも一気に上がった。


 今日の釣りの余韻が残ってるんだろうな。

 俺もなんだか楽しくなってくる。


「じゃあ少し休憩したら始めるか」


 そうして一息ついた後、俺たちは調理の準備にかかった。


「さて、何を作るかな」


 クーラーボックスを開ける。


 中にはアジ、サバ、ベラ、それに少し大きめの魚も入っていた。


 刺身も考えたけど、昼に港で結構食べたからな。夜はまた別方向にしたい。


「よし。今日は徹底的に魚づくしで行こう」


 まずアジは南蛮漬けにすることにした。

 三枚に下ろして軽く塩を振り、片栗粉をまぶして揚げる。


 ジュワッと油の弾ける音が響き、香ばしい匂いが広がった。


「ワンワン!」


 モコが尻尾をぶんぶん振る。

 完全に待ちきれない顔だ。


「まだだぞ。熱いから危ないしな」


 次にサバは味噌煮だ。

 生姜を利かせ、甘辛く煮込んでいく。


 鍋の蓋を開けると、味噌と魚の香りが一気に立ち上がった。


「ピキィ~♪」


 ラムが鍋の周りをぴょんぴょん跳ねる。


……近い近い。


「ラム、火傷するぞ」


 マールは野菜の下処理を担当してくれていた。

 器用に葉物を仕分けたり、洗ったりしている。


 ゴブはもう完全に助手ポジションだ。


 俺が指示する前に必要な調味料を持ってきたり、皿を並べたりしてくれる。


 魚のウロコ取りもお手の物だ。


「ゴブゥ」

「お、助かる。ありがとう」


 ゴブがどこか誇らしげに胸を張った。

 そしてモグ。


「モグ~!」


 モグは……何故か大根を抱えていた。


「いや、それどこから持ってきたんだ」


 どうやら畑から採ってきたらしい。

 せっかくだから大根おろしに使わせてもらうことにした。


「今日は和食だな」

「ワン!」


 さらに魚の骨やアラを使って潮汁も作る。


 煮込むほどに旨味が溶け出し、透き通ったスープが出来上がっていく。


 これは絶対美味い。調理を進めるうちに、テーブルにはどんどん料理が並んでいった。


 アジの南蛮漬け。

 サバの味噌煮。

 焼き魚。

 大根おろし添え。

 潮汁。


 そして白米。


「……なんか旅館みたいになったな」


 思わずそんな感想が漏れる。


「ワンワン!」

「ピキィ!」

「マァ~♪」

「ゴブッ!」

「モグゥ!」


 皆も待ちきれないようだ。


「それじゃ、いただきます!」


 夕食開始。

 まずはサバの味噌煮を一口。


「うん、美味い」


 脂の乗った身に味噌がよく絡んでいる。

 生姜も効いていてご飯が進む。


「ワン!」


 モコは焼き魚に夢中だ。

 骨を避けながら器用に食べている。


 ラムは潮汁が気に入ったらしく、ぷるぷる震えながら飲んでいた。


 マールは南蛮漬けがお気に入りみたいだな。


 ゴブは味噌煮をじっくり味わい、モグは大根おろしをそのまま食べていた。


「いや、それ辛くないか?」

「モグゥ!」


 平気らしい。

 そんな皆の様子を見て、俺は思わず笑ってしまった。


 釣りをして、皆で料理して、こうして一緒に食べる。なんだかすごく贅沢な休日だった気がする。


「……また行きたいな」


 ぽつりと零す。


「ワン!」

「ピキィ♪」

「マァ♪」

「ゴブゥ」

「モグ~!」


 皆も同じ気持ちみたいだ。

 そんな賑やかな声に包まれながら、俺たちの夕食の時間はゆっくりと流れていくのだった――。

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