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親友に裏切られ婚約者をとられ仕事も住む家も失った俺、自暴自棄になり放置されたダンジョンで暮らしてみたら可愛らしいモンスターと快適な暮らしが待ってました  作者: 空地 大乃
第四章 モンスターバトル編

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第196話 鬼輝夜との合流

 釣りは相変わらず好調だった。

 クーラーボックスを開ければ、午前中だけで十分すぎるほどの釣果が収まっている。


 アジ、サバ、ベラ、そしてモグが格闘の末に釣り上げたタコまで――。

 潮と日差しに恵まれた、まさに絶好の釣日和だ。


「姉貴か。あぁ、今はハルさんと一緒だ。ちょっと釣りに来ててな……こっちに? あぁ、わかった。ちょうど一度戻ろうと思ってたところだ」


 帝がスマフォを耳に当てたまま、短く応じる。

 通話の内容から察するに、相手は鬼姫だろう。


 通話を終えた帝が、こちらに向き直った。


「姉貴たちも近くにいるらしい。様子を見に来るそうだ。昼時だし、一度港に戻ろうと思うがどうだ?」


「もちろん。俺たちは帝の判断に従うよ」

「ワン!」

「ピキィ♪」

「マァ~」


 モンスターたちも賛成の声を上げる。

 社員の三人も異論はないようで、揃って頷いていた。


「ちょうどいい。戻ったら、釣った魚で昼にしよう。停泊所の近くに、自由に使える調理場がある」

「なるほど……そこまで揃ってるのか」


 帝の話に感心する。

 調理用の包丁やまな板も常備されているらしい。


 とはいえ、全部任せきりというわけにもいかない。

 俺たちも手伝うつもりだ。


 そうして帝の操船でクルーザー《DAIKI号》は港へ戻り、桟橋に接岸した。


 下船したそのタイミングで――低く唸るようなエンジン音が近づいてくる。


「見計らったように来たな」


 帝がそう呟いた直後、ナナハン二台が港に滑り込んできた。

 二台ともニケツだ。


 停車し、ライダーたちがヘルメットを外す。


 鬼姫が軽く頭を振ると、金色の長い髪が陽光を受けて揺れた。

 黒を基調としたライダースーツ姿が、相変わらずよく似合っている。


「ハルさ~ん! やっほ~い!」


 鬼姫の後ろから降りたタマが、元気よく手を振って駆け寄ってきた。


 ――いや、駆け寄ってきたというか、距離が近い。


 体にフィットしたライダースーツが、はっきりとボディラインを強調している。

 特に胸部の存在感が、いや、違う違う。俺は何を考えてるんだ。


「ふぅ~……今日は暑いですよねぇ~」


 タマがそう言いながら、首元のファスナーを少し下ろす。


……なぜ今、その動作を!?


 理性が警鐘を鳴らす。


「それにしても、揃いも揃って暇そうだな」


 帝がそう語りかけると鬼姫が腕を組み返事する。


「今日はたまたまだよ。昨日はしっかり依頼をこなしてきたからね」


 そんな会話の横で、タマが再び俺の隣にぴったりと立つ。


「今日はアキちゃんは一緒じゃないんだね?」

「あ、あぁ。道場で鍛えてもらうって言ってた」

「へぇ~……そうなんだぁ~」


 タマが意味深な笑みを浮かべる。

 気のせいか、その目の奥に小悪魔が見えた。


「かなり釣れてるな」


 鬼姫がクーラーボックスを覗き込み、感心したように言う。


「えぇ。午前中だけでこの量ですわ。午後も期待できますよ姉御!」

鯛蔵(たいぞう)、相変わらず元気だな」


 そんなやり取りを横目に、鬼姫はふとクルーザーへと近づいた。


 船体に刻まれた文字に、そっと手を伸ばす。


「……元気そうで何よりだな。DAIKI……」


 優しく語りかけるような声だった。

 懐かしむような、どこか遠い目をしているのが印象的で、俺はそれ以上踏み込まなかった。


「ハルさ~ん。午後から、私にも釣り教えてくださいよ~」


 その声と同時に、タマが俺の腕に絡みついてくる。


――やばい。本気でやばい。


「そ、そうだ帝! 昼の準備が必要だろ? 俺たちも調理するから、早めに行こうぜ!」


 ほぼ反射的にそう言い、俺は帝の腕を掴んで歩き出した。


「……あ、あぁ。そうだな」


 帝も状況を察したのか、特に突っ込まずについてきてくれる。

 モンスターたちも後ろからぞろぞろとついてきた。


 とにかく――料理だ。

 魚を捌いて、火を使って、頭を冷やさないと。


 そう心に決めながら、俺たちは港の調理場へと向かった。

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