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親友に裏切られ婚約者をとられ仕事も住む家も失った俺、自暴自棄になり放置されたダンジョンで暮らしてみたら可愛らしいモンスターと快適な暮らしが待ってました  作者: 空地 大乃
第四章 モンスターバトル編

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第186話 乱入者

「さて――これで今日は終いかな」


 伊達が腕を組み、そう口にすると周囲から残念そうな声が聞こえてきた。


 まだ挑戦したい冒険者が多いのか、それとも純粋にこの見世物をもっと楽しみたいのか。おそらくは両方だろう。


 だが賞品の魔石がなくなった以上、終わるのは仕方ないのかもしれない。


「ふざけんじゃねぇぞコラ!」


 その時、怒号が俺たちの耳を打った。集まっていた人垣を掻き分け、屈強な男が三人現れる。


「こっちは勝てそうなメンツ揃えてわざわざやってきたんだ! それが終いだと? 納得できるか!」

「そう言われてもねぇ。見ての通り、この兄ちゃんたちが成功したから魔石はもう無いのさ」

「そんなの納得できるか! あんな腑抜けたぬいぐるみみたいなモンスター連れてる連中が成功だと? 絶対おかしいだろうが!」


「ワンワン!」

「スピィ!」

「マァ!」

「ゴブゥ!」

「モグゥ!」


 現れた男たちの横暴さに、モンスターたちも一斉に声を上げる。

 胸を張って抗議するモコたちを見て、俺の中にも怒りが込み上げた。


「みんな俺の大事な仲間で、友だちだ。お前らが何を言おうが、皆の力があったからチャレンジに成功できたんだ。勝手な憶測で馬鹿にするな!」

「あん? なんだと?」


 思わず口に出てしまったが、後悔はなかった。男の一人が俺に腕を伸ばす。しかしその手は、中山が素早く掴んで止めた。


「俺の仲間になにするつもりだ? 事と次第によっちゃ黙ってないぞ」

「そうだな。俺だって同じ気持ちだ」


 中山の腕から発せられる圧に、熊谷も鋭い視線を加える。一触即発の空気が漂った。


「まったく……見る目のない連中やな」


 そこで声を上げたのは神奈だった。チッチッチと人差し指を振りながら割って入る。


「あんさんら、この子らを侮ってるけどな――むしろ“ちんまりさ”が勝ちを呼んだんやで」

「そんなわけあるか!」


 怒鳴り散らす大男に、神奈は一歩も引かない。むしろ眼光を鋭くし、真っ直ぐに見上げた。


「うちは根拠もなく適当なことを言う阿呆が一番嫌いや。確かに主催の男は強かった。まさに伊達や。せやけどな、それでも見落とすもんはあるんよ。背が高いぶん小さなモグラの動きまでは把握しきれんかった。しかもモグは土を掘るだけやない。掘り返した土が足場を崩しやすくして、あんさんらが笑って“ぬいぐるみ”呼ばわりしたそのモンスターが、勝機を作ったんや」


 言葉に周囲の観客も「なるほど」と頷く声を漏らした。そう、神奈はチャレンジ前に助言してくれていた。攻撃を一発でも当てれば勝ちというルールなら、モグならば勝ち筋を掴める――と。


「やれやれ、耳が痛いね。確かに俺も、そこはちょっと油断したかもな」


 伊達も苦笑いを浮かべ、素直に認める。


「ざけんな! 口からでまかせ言いやがって! どうせ仕込みだろう! 卑怯者が!」


「――あん? てめぇら、俺がそんなくだらねぇ真似をすると本気で思ってんのか?」


 その瞬間、俺の背筋をぞわりとした感覚が駆け抜けた。

 伊達が放つ圧力は尋常ではなく、空気そのものが重くのしかかってくる。観客たちも息を呑み、中山や熊谷も動きを止め、顔をこわばらせていた。


「そこまで言うなら、特別にもう一回受けてやってもいい。だがそのかわり――今度は俺も反撃させてもらうぞ。それでいいな?」


 低く響く声。

 その言葉だけで、場の温度が数度下がったように感じられた。


「ぐっ……く、くそが! お前ら行くぞ!」


 伊達の迫力に気圧されたのか、三人組は舌打ちをしながらもそそくさと退散していく。


 次の瞬間、張りつめていた空気が解け、他の見物客が一斉に歓声を上げた。伊達も朗らかに笑って応じ、場は一気に和やかさを取り戻した。


 それにしても――今の迫力。

 やっぱり伊達は、とんでもない強さの持ち主だった。そう考えると、よくチャレンジを成功できたものだと、胸の奥が熱くなる。

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