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ぶっきらぼう魔女は育てたい  作者: 桜乱捕り
11年目

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354/358

349話、最早、効く物はあらず

 敗北宣言にも聞こえる返答をしてきたが、フラウの淡い瑠璃色をした同心円眼には、燃え滾った不屈の闘争心が漲っているように見える。


『それじゃあ、私の勝ちってことでいいか?』


『ハッ! そんなワケねえだろう。ただ無闇やたらとでかいだけの魔法じゃ、お前に遊ばれるだけだと分かった。なら今度は、この戦いにおいての原点回帰。色々試してみて、お前に効きそうなもんを探し当てるまでよ』


 この戦いにおいての原点回帰。それは、どの場面を差すのだろうか? 初手の小手調べ。小手調べで力量を正確に測られて、師弟関係を勝手に結ばれた魔法の競り合い。

 その次。高高度へ移動した私は、『永久とわの大石柱』を利用して掌握領域を大規模展開。フラウの言葉を鑑みると、掌握領域の大規模した辺りが該当しそうだ。

 もし、そうなのであれば。本体はまた身を潜め、私という化け物を安全圏から観察し、看破し得る可能性を導き出そうとしているのかもしれない。


『原点回帰ねぇ。かくれんぼをするのは、もう飽きたんだけどな』


『そうか。なら今度は、鬼ごっこやろうぜ! 鬼役は、もちろんあたしだ』『いしにえの流動を封ずる基部にして、意思ある者に惨苦さんくの試練を与える絶対零度。その流動を赦さぬ形無き者に告ぐ』


 遊び内容を勝手に変え、鬼役を自ら買って出たフラウが、流れるまま詠唱を始めた。私が覚えている限り、さっき破壊した『氷河の覇者』、もう既に再召喚された『誠実な中立者』を除いた『氷柱の管理人』、『天()みる瞬寒鳥しゅんかんちょう』、『フェンリル』の三体。

 この三体は『気まぐれな中立者』を多重召喚される前、引っ込ませて待機させているはずだけど、新たな詠唱を唱え出したということは。


『“氷河の右腕”、“氷河の左腕”、“氷河の右脚”、“氷河の左脚”、“氷壊砲”、“氷竜の楔”、“極界蟲”、“負温の語り部”、“舞氷華”に告ぐ。指示は追々出すから、一旦出てきてくれ。契約者の名は“フラウ”』


 新たな召喚獣の名を唱え、召喚を終えた矢先。おぞましい数の、銀白風を吹かす蒼白の魔法陣が出現し。視界に映っていた変わり映えしない景色を、等しく隠していき。

 その無数に出現した魔法陣をも遮る、思わず乾いた笑いを送りたくなるような、気色悪い数の召喚獣が溢れ出してきた。

 前後左右、どこを見渡せど筒状の壁と化した召喚獣達よ。目測の距離からして、おおよそ一km弱。夜空に浮かぶ星とこいつら。はたして、どっちが多いんだろうな。


「ははっ、蠢く壁って初めて見たぜ」


 私を媒介し、瞬間移動してきたのであろうベルラザさんの呆れ笑いが、左側から聞こえてきた。


「これに似たようなことを、さっき私はやってたんですよね」


「それに加えて、氷属性魔法の制限も掛けてたんだ。生きた心地しなかっただろうな、フラウは」


 その生きた心地がしなかったフラウは、『氷河の覇者』本体を落としてきたり、『気まぐれな中立者』を飽和召喚し、私を包み込む形で二度追い詰めて看破した。

 そう、二度だ。フラウは私を敗北寸前まで追いやるのに、二度掛かった。ならば、このどうしようもない状況で、私がすべきことは一つ。

 たった一度、一撃で全てを葬り去ることじゃないだろうか。イフリート様が愛用する、あの潰えし火属性魔法で。


「ベルラザさん。一体一体相手するのは流石に億劫なので、魔法陣ごとぶっ飛ばしちゃいませんか?」


「奇遇だな。実は私も、そう思ってた所だ」


 私の提案に即乗ってくれたベルラザさんが、口角をニタリと上げた。


「で、やり方はどうする? 徐々にか? 一気にか?」


「フラウに観察されたくないので、一瞬でやりたいです」


「一瞬か。……となると」


『おお、いいぞいいぞ。派手にぶっ放しちまえ』


 一瞬という選択に、私がどの魔法を使おうとしているのか、イフリート様が察したらしく。やや弾んだ声量で許可を出してきた。


『待機中の全召喚獣に告ぐ。お前達も出てきてくれ』


 先の十体に加え、待機していた三体の召喚獣を呼び寄せ、蠢く壁に厚みを与えていくフラウ。これで、出てきた召喚獣は合計十三体。

 とはいえ、これから一掃してしまうので、どれだけ呼び出されようとも問題にはならない。目視で捉えるのも困難だった『天凍みる瞬寒鳥』ですら、今だったら難なく避けられるだろう。


「それでは、ベルラザさん。互いの強化も兼ねたいので、私達の拳を合わせて放ちましょうか?」


「それいいな! ただし、拳を合わせる方は手加減してくれよ? お前と私の中でも、かなりの差が出来ちまってるだろうからな」


「わ、分かりました。注意してやります」


 ……危ない。ベルラザさんの緩い注意喚起が無かったら、全力で拳を合わせていた。よし。なら、力は三割。魔法は全力で放つようにしよう。


『全召喚獣に告ぐ。アカシックとベルラザを、全力で叩きのめしてくれ』


「来るか。面倒臭くなる前に、やっちまうぞ」


「はい。では」


 完全に蚊帳の外へ締め出していたフラウが、召喚獣達に指示出しを終えるや否や。ベルラザさんのすぐ背後に、蒼白の魔法陣が複数浮かび上がり。

 薄白い膜を纏う、巨大な氷鉄拳や凶脚が飛び出して来るも。それより早く、私は小麦色をしたベルラザさんの華奢な拳に、私の白々とした拳を合わせた。


『『グラスティックノヴァ』』

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