第七十四話 学習能力ゼロ
少し内容を変更しました。
普通の体育授業風景から体育祭練習の風景へと変更しました。
球技大会の時と同じく体育祭近くの九月は授業が変則的になる。
実技授業が増え座学が減る。
体育祭に向けて練習する生徒を見ながら海原と話していた。
「相変わらず海原は見学なんだな」
「仕方ないですよ。夏が終わっても紫外線は相変わらずなので」
「混ざりたいとは思わないのか?」
「先輩と交じり合いたいとは思います」
「そっかぁ」
俺と健全な運動をしたいということだろう。
近いうちに屋内レジャー施設にでも連れて行こう。
「今度どっか行って運動しような」
「夜の?」
「健全な」
「夜の健全な運動......そんなのありますか?」
夜という単語と運動という動詞を混ぜてはいけない。混ぜるな危険。
「走り込みでもすればいい」
「いやらしさが足りないです。はっ! ビキニやバニーで走り込めば運動も出来て健全ですよ!」
「どこが?」
服着りゃいいって話じゃねぇんだわ。それなら下着でも許されてしまう。
そんな脳内ピンク野郎の妄想みたいな世界は嫌だ。
「どこかに行くのは賛成です。今度デートしましょうねー」
「はいはい。俺はそろそろ小畑先生の目が怖いから行く。紫外線には気を付けろ」
「はーい」
影を薄くしていたつもりだが横の太陽によって影が濃くなってしまっていた。
目があった俺は嫌々二年生の集団の元へ。
とは言っても俺が出場するのは二人三脚だけであって体育祭練習の授業は基本暇なのだ。
「逢引はよそでやれ」
「暇なんですよ」
「あんまり惚気けると個人的恨みで単位やらんぞ」
にっこりとした笑顔で教師以前に人として最低なことを言う小畑先生。
その額には青筋が浮かんでいる。
「後輩と仲良くやってるようで良かった。ま、海原ならお前のトラウマもどうにかしてくれると踏んでのことだったがな」
「それで俺がもっと拗らせたらどうするんですか」
「人間の記憶というのは実に曖昧なものだ。ここらをちょっと強くたたけば忘れる」
耳のすぐ下をトントンと手刀で叩かれたがそんなトラウマを忘れるほどの衝撃なら自分の名前すらも覚えてないと思う。
つまり物理的にどうにかしようとしていたわけか。
「仲良くやってるんで俺の首に添えてある手刀を収めて貰えませんか」
「授業をサボるいけない子には罰が必要だと思わないかね」
「思いません」
「私は必要だと思う。放課後職員室に来い。雑用を頼もう」
「来なかった場合は」
「ははは。選択権があると思っているのか?」
小畑先生の前ではありとあらゆる権利がはく奪されるようだ。
「他にも数人連れてこい。一人じゃ過労死するぞ」
過労死すると分かっているなら減らしてくれればいいのに。
とかそんな生きるための願いも通用しないんだろうな。




