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長女の矜持
ありえないくらい綺麗な夕焼け空に、子供が下手くそな感じでブラシかけた的な雲がちょいちょい描かれ、西行きの飛行機の奴らが筋状の何かを刻みつける冬のある日。
“4時30分になりました……”
練馬区のヤツががなりたてる。今は日も短いから4時30分なわけだ。三女が昼寝してた布団片付けながらなんとなく同期してつぶやく。
“……おうちで遊んでたこどもたちは、はやくお家にかえりましょう……”
長女がいきり立ってる。なんか違うらしい。あ、おうちで遊んでた子はいまさら帰宅などできないということね。
言い直すとまたしても駄目だし。台詞のあとの後奏が飛んでるとの指摘。たしかにお姉さんの声のあとには“♪ちゃーらーらーらーらー”があったね。
筆者の仕事がまさか音響なんて口が裂けても云えない的な追いつめられ方をされ、やむなくヲタヴォイスで歌唱してみる。
「ちがう! カット! カット!!」
改めて言うが長女は年長6歳。




