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雑記  作者: 飯田橋 ネコ
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先が見えるとき

 子供の頃。夜寝てる時に見る夢は、次の日に起きることの予告編だと思ってました。実際、たいてい夢で見たことが翌日か数日後には現実に起こり、夢で見た通りの展開を迎え、わかっているのに夢で見た通りのしくじりをしてしまうという流れが、幼少期にはデフォでした。


 年齢を重ねるにつれ、夢は数年後に起きる大きなイベントを見せてくれるようになりました。大きな自然災害や旅客機の墜落事故などが、そこに居合わせていると思われるヒトの見ているに違いない光景と、感じているに違いない心象と、朧気な知識の断片の寄せ集まったイメージの奔流となって、夜明け前のワタシをしばしば叩き起こしたものでした。


 ごく稀に、昼間、寝ていない時にも、急に先が見えるときがありました。


 小学二年で訪れた公民館で道に迷って舞台裏に出た挙句、将来の職場はここに違いないと確信したり、小学六年のそつぎょう遠足で初めて行った西武線の駅舎を見て、オトナになったらここに住むことになるのね、とわかったり、大学一年の4月に新歓飲み会で見かけた違うコースの女の子と、いろいろあった挙句に家庭をもうけることになるだろうことが見えていたり。


 学校や職場などの仲間や同僚のふとした人間関係が、とつぜん見えてしまうこともありました。このヒトとこのヒトはつきあって数年後に結婚するけど別れる、とか、このヒトは今から奥さんじゃないヒトに会いに行くために携帯いじってる、とか、このヒトは会社辞めるのを課長の次にワタシに打ち明けているけどそのことに気づいちゃいけない流れなんですね、とか。


 みかけと言動からキモヲタで鈍いオトコと思われがちなワタシですが、書いてるものを見て頂ければお分かり頂けるように、わりに少女漫画脳なわけです。


 でくのぼうか何かだと思われたのか、“なんとなくハナシ聞いてくれる奴”的な扱いだったのか、今となっては定かではありませんが、これまで実にたくさんの方(なぜか殆どが女性)が人生の悩みなどを滔々と語ってくださいました。一人暮らしの部屋に連れ込まれて夜通し語り明かされたり、飲み屋でサシでクダまかれて会計全部払わされたりする日々。ハナシが終わってすっきりした表情で去ってゆく彼女たち。残されたワタシは、あたりまえのことですが“なんとなく”ではなく100%で聞いてまして、その日の残りの大半を、脳内に注ぎ込まれた様々な負の渦巻きのやり過ごし方を考えることに費やしてきました。


 相手のおかれた状況は様々でした。同年代に始まり、年下から遥かに上の世代の方々まで。同じ高校、同じ学科、違う学科、違う学校、たまたま喫茶店で隣に座っただけの姐さん、なぜか年に2〜3回街中で偶然出会う多摩美の子、などなど。


 将来のヴィジョンや、いま付き合ってる相手のコト。社会への悪口雑言や、自分自身への嫌悪。その細かい内容について改めて文字にするのは流石に憚られるのですが、今になって思うとホントに様々な物を詰め込まれたワケです。


 夢と同じで、そういうもんだと思っていたワタシは、社会人になり、それまで過ごしていた女子校的な環境から遠ざかることとなり、そうした記憶も遠い過去のものとなっていったこの十数年。


 フタをして封印していたはずのものが突如として姿を現し、毎朝6時にワタシを叩き起こしているのだとすれば、いろいろと説明がつくようなつかないようなそんな気がします。


 まぁ、全部作り話ですけどね。

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