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だいぶ間があいてしまいました。すみません。少しでもほのぼのしていただけたら幸いです。
と、言うわけで、やってきました水族館。
チケットは、隆太の親関係で譲って貰ったのがあるとかでタダ。
ありがとうございます。
ちなみに、俺たちが隆太と合流してからはナンパは無くなった。やっぱり赤ちゃん連れだと、声かけにくいよな。
決して、俺が足引っ張てるとかでは無い!……はず。
でも俺、逆ナンなんてされた事無いし。
………イケメンなんて滅びてしまえ。
水族館はまだ早い時間だからかそこそこの混み具合。
入ってすぐの所に、大水槽が鎮座している。
見上げるほどに高く横幅も広いそれは、県内随一の大きさを誇っているらしい。
大きなサメが悠々と横切り、小さな魚たちは群れを作って複雑な模様を描く。色とりどりの鱗がキラキラと輝く様子は、竜宮城もかくやと思わせる。
「あ〜、あうぅ〜」
ハルが興奮した様子で水槽の方を指差した。
ギリギリまで近づけば、ベビーカーから身を乗り出すようにして水槽のガラス触ろうとする。
「そうだな〜。お魚いっぱいだなぁ」
ベルトをしていても転げ落ちそうな勢いに負けて、ハルをベビーカーから降ろし、水槽の前に立たせてやる。
「おっ、おっ、おっ」
水槽に手を付いて上手に立ち上がったままガラスに顔を押し付けるようにして中を覗き込んでいた。
バンバンとガラスを叩き、何かを主張しているようだ。
「そっかぁ。ハルはお魚さんが好きか〜」
夢中なハルをほのぼのと見守ってると、隆太が噴き出した。
「大成から聞いてたけど、本当にメロメロなんだ。普段とは大違いだ」
くすくすと笑われ、なんだか恥ずかしくなる。そんなに締まりの無い顔してたか?
思わずペタペタと自分の顔を触って確認していると、更に笑われた。
なんでだ?
「いつも、あんまり表情変わん無いからさ。俺が話しかけるのも、実は迷惑がってたりするのかなぁ、って思ってたりしたんだけど」
「へ?そんな事無いけど?」
むしろボッチを気遣ってくれていい奴だなぁって、思ってましたが?
表情?変わってなかった?
そういえば、突っ込みも心の中でひっそりとして、声には出してなかったかも?
ダメじゃん、俺。
「ユキ、人見知りだし会話苦手だもんなぁ。本当は、おしゃべりなのにな。顔がなまじ整ってるだけに、黙ってると無駄に迫力あるし。中身は単なる天然君なのに、損してるよな〜」
密かに落ち込んでると、大成がフォローしてくれる。………フォローか?それ?
「そう?じゃぁ、たくさん話しかけるし俺にももっと慣れてよ」
大成の微妙な台詞に突っ込むべきか悩んでると、隆太が更に微妙な事を。
俺は野良猫が何かかい!
2人の笑顔がなんか居心地悪い。
「……はる、あっちにラッコいるみたいだから行くぞ〜」
結果、その場からの逃避に走る。
水槽に張り付くハルを抱き上げ、パンフレットで確認した通りにラッコの水槽まで進む。
現在、赤ちゃんラッコがいるらしく、楽しみにしてたのだ。
水族館なんだから、ちゃんと魚見ろ?
見るけど、その前にイベント「ラッコのえさやり」
これは外せ無いっしょ。後はイルカやペンギンの芸とかね。もちろん、そっちも時間チェック済みだ。
後ろからベビーカーを押した大成と隆太がのんびり付いて来るのを横目で見ながら足早にラッコの元へ。
まだ、時間が早いからか、あんまり人がいない。ラッキー、水槽の前、ゲットだ。
ラッコは、赤ちゃんをお腹に乗せてのんびり波に浮かんでいた。可愛い。
「ハル!赤ちゃんがいるぞ。かわいいなぁ〜
」
ガラス越しに赤ちゃんラッコとハルが見つめあってる姿が可愛くて、だけど、抱っこしてるから写真撮れない!
内心身悶えてると、大成が俺のポケットからスマホを勝手に抜き出し、写真を撮ってくれてた。
グッジョブ、大成。
しばしラッコと見つめあってたハルが身体を捻るようにして、俺の首にしがみついてきた。
スリスリといつも俺がするように頬を寄せてくる。
「どうした?ハル?」
さっきまでご機嫌だったのに訳がわからない。
戸惑ってると、隆太が呟いた。
「お母さん思い出して寂しくなったんじゃないか?」
言われてみれば、その通りだ。
仲睦まじいラッコ親子に自分の母親を思い出しても仕方がない。
「ハル、姉貴帰ってくるまで、俺が一緒にいるからな」
代わりになんてならないだろうけど、何度目かの約束を口にしてぎゅーっと抱きしめ返す。擽るように鼻先をボッチをほっぺに擦り付けると、ハルが我慢できないようにキャッキャッと笑った。
「ベタベタだな」
「すごいだろ?」
後ろで何か聞こえたけど無視だ。
ハルが笑ってくれるならなんでも良いのだ。
「さ〜、ハル。次はどこに行く?」
「あう!」
俺の呼びかけに、ハルが元気よく手を挙げた。
水族館の中にある魚の見えるレストランで食事をした所で、ハルの電池がきれた。
ベビーチェアに座りスプーンを持ったまま舟を漕ぎ出したハルを3人で笑いをこらえながら見守る。
そぅと食事の皿を引いた所で、ハルの頭が前に落ちてきて、机にぶつかる寸前で隆太が手でキャッチした。
そのまま、背もたれを倒したベビーカーに移せば、スヤスヤ夢の世界だ。
「子供ってマジで飯食いながら寝るんだな」
熟睡してるハルを覗き込んで隆太が笑う。
普段、子供と接して無いとわかんないよな。
「遊びながらも寝るぞ。この間積み木にダイブして泣いてたし」
「マジで?」
この間目撃した場面を教えてやると目を丸くしてから、ククっと喉の奥で笑った。
起こさ無いように気を使ってくれてるんだ。
本当に良いやつだ。
「悪かったな、急に連れて来ちゃって」
「いや?お陰で幸人のいろんな顔が見れて楽しいし」
イヤミか?
いや、にっこり笑顔は無邪気でイケメンスマイルに周りの席の女の子が騒めいてる。
「……俺のいろんな顔なんて、別に面白くも無いだろ?」
「そう?楽しいけど?」
呆れていえば、あっさりと返される。変な奴。可愛い女の子なら兎も角。
「いやいや。赤ちゃんにデレデレな男子高校生はなかなかに面白い生き物だと思うよ?」
奥の席でスマホをいじってた大成が参加してくる。
うっさい。お前は大人しく壁と同化してやがれ。
「ユキ、今酷い事考えただろ。そんな意地悪する子にはこれあげないぞ〜」
ニヤリと笑いながら、今まで弄ってたスマホの画面を見せる。そこにはウトウトしているハルがいた。
「ゴメンナサイ。動画クダサイ」
勢い良く頭を下げてお願いする。
プライド?ソレオイシイ?
「写真もあるぞ〜」
ラインでじゃんじゃん送られてくるデーターに顔がほころぶ。
水槽をじっと見つめるハルや、イルカのジャンプに笑顔のハル。天使だ。天使がいる。
画面をスクロールしているとカシャっとシヤッター音が。
「お題。携帯を見てニヤける男子」
「速攻消しやがれ」
手を伸ばし、携帯を取り上げようとする俺に逃げようとする大成とで小競り合いが起きる。
争う俺たちに終止符を打ったのは呆れ顔の隆太で。
高く上げられていた大成の手からスマホをヒョイっと取り上げ、イジる。
「公共の場で騒がない」
「「はい。ゴメンなさい」」
ぽいっと返されたスマホとともに冷たい視線が降ってきて、大成と2人、素直に頭を下げたのだった。
「で、ちゃっかり写真のデーターは取ってんだな」
「夏の思い出に必要だろ?」
「…………自分の写ってないのまで?」
「…………ハル君可愛かったな」
「…………おう」
読んでくださり、ありがとうございました。




