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赤ちゃんと高校生男子の日常。  作者: 夜凪


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少し時間が飛びます。


疲れて眠るハルを眺めながら、まだ見ぬハルの父親の事を考える。

父さんや母さんの話では、しっかりした人の様に聞こえた。

だけど、本当にしっかりした人ならば、そもそも18の未成年を親公認とはいえ連れまわすか?

あまつさえ、手を出して、結婚するか?

いや、手だけ出して別れるなんて言語道断なんだけど。


旦那恋しさに追いかけていった姉を帰さないのはなんでた?

どう考えても、今のハルに母親という存在は不可欠だと思う。

それとも、子供に興味が無い?


大成のお姉さんは、姉貴が「家出」して以来、交流が無くなっていたそうだ。

大成から話を聞いて、今度帰ってきたら是非連絡くれと言ってたと、大成がどこか青ざめた表情で言っていた。

心配していた分、この馬鹿げた結末に幸人並みに怒っているみたいだった。

大成の姉は大家族の長女らしく優しくも厳しい、時には鉄拳制裁も辞さない人だ。

帰ってきた際は是非、連絡してやろう。



うにゅうにゅと何かつぶやきながらハルの手がパタハパタと動いた。

何か探す仕草に、そっとその手を握って背中をトントンしてやると、眼を瞑ったままニコッと笑った。

その、安心した表情に切なさと怒りが湧いてくる。


2人とも人の親でいい大人だ。

何か理由があるのかも知れない。

まだ学生で子供の幸人に言えないことも多いんだろう。

だけど……。

俺を子供扱いするなら子供らしく、めい一杯文句を言ってやろう。言葉の喋れないハルの分まで。で、なければ、ハルが可哀想だ。


そう決めたら、少し心がおちついた。

その日まで、心の中で文句を考えつつ、ハルと楽しく暮らしていこう。

少なくとも、ハルと会えたことは、今回の事で1番の大きなプラスで喜びなのだから。


「ハ〜ル、大好きだぞ」

寝顔にそっと囁けば、ハルがもう一度ふにゃりと笑った。






ハルと過ごす夏休みは着実に過ぎていく。




たまに力を暴走させるハルが引き起こす騒動に振り回される以外は概ね平和と言える日々だった。


そんな中で、幸人とハルの最近ハマっている遊びといえば……。


「ハル〜、そのボールちょうだい」

少し離れた所から呼びかけられて、ハルはじっと手の中のボールを見つめてから俺に向かってボールをぽいっと投げた。

不器用な赤ちゃんが投げたボールはすぐに地面に落ちそうになって、しかし不自然に軌道を変えて浮かび上がった。

そのまま、ふよふよと宙を飛び、俺の広げた手の中にぽとんと落ちる。


「すごいな〜、ハル」

褒めるとハルはニヤリと笑いドヤ顔をする。

こっちに頂戴と手を出すハルにボールを転がしてやると、ぱしっと上手に手で止めた。

それから、もう1度、ボールが宙を飛ぶ。


何をしているかといえば、ボール遊びにかこつけた、ハルのガス抜きだ。

どうも、幼いからなのかそういうものなのかは分からないけど、1度に使える力は限られているみたいなのだ。

今みたいなボール遊びなら30分もすればガス欠になり、その後数時間は力が使えなくなる。


だから、外出予定がある場合は、その前にせっせと力を消費してから出かける様になった。

外で何気なく力を使われ青くなったのはいい思い出で(ちなみにその過程で隆太にもばれた)この方法を編み出してからは、そんな失敗も無くなった。


「ハル〜、もう1回」

しかも、使えばコントロールも上達するらしく、暴発する事も少なくなった。

ただまっすぐ飛ばすだけではなく、くるくる回してみたりジグザグしてみたりと、実に楽しそうだ。


ちなみにハルの使える力は今の所テレポートとPK、そして、空中浮遊。

どうも、ハルの中で急ぐときはテレポート、そうでないときは空を飛んでくる、と区別しているらしい。

初めて、ハルがにこにこしながらふわふわと手を伸ばしながら宙を浮いて腕の中に飛んできた時は、可愛さにテンションが上がった。

周りに自慢できないのが少し残念だ。



そして、ハルがうちに来てもう1つの成長。

「ゆ〜」

ボール遊びに飽きたらしいハルが、叫びながら俺に両手を伸ばして抱っこをねだる。

「ゆ〜」

「は〜い」

抱き上げてやりながらも、顔がにやける。

そう。ハルが喋るようになったのだ。

初めての言葉は「ゆ〜」。

俺の事だった。

感激のあまり、泣くかと思った。

しばらく、意味もなくお互いの名前を呼びあっていたら、母さんに呆れられた。


1つ言葉が出てきたら、語彙はどんどん増えていった。

母さんは「ば〜」父さんは「じ〜」他にも絵本を見ながら「ぶぅ」「なぁなぁ」「あんあ」など。

母さんが「言葉覚えるの早い」って言ってたし、うちの子天才かもしれない。




そうして、気づけばハルが我が家にやってきてからひと月が経とうとしていた。











読んでくださり、ありがとうございます。

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