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話がなかなか進みません。なんででしょう(汗)そんな事を呟きつつも相変わらずの短め投稿。スローペースですみません。
買い物をすませ、家に着いた俺は、バナナを前に考え込んでいた。
届くはずのないバナナを持っていたハル。
確かに、棚の上に置いていたはずのスマホ。
どうやって、手にいれたんだ?
チラリと布団に転がってすやすやと眠っているハルを見る。
スーパーから帰る道すがら撃沈した為、そぅと転がしたのだ。
バナナは誰かが元の位置に戻さず、たまたま、ハルの手を伸ばせば取れる位置に置かれてた。で、身を乗り出しどうにかゲット。
スマホの時みたいに、こじつければ説明でき無い事でもない。
たまたま。偶然が重なって……。だけど……。
「なぁ〜んか、すっきりし無いんだよなぁ」
つぶやいて、ガシガシと頭を掻き毟る。
だけど、幾ら考えたって正解なんて見つから無い。
モヤモヤは、俺の中に居座ってなかなか退場してくれなかった。
ハルは今日も元気にハイハイ移動する。
目的の物目掛けてバンッバンッと床に手のひらを叩きつけ、いい音を鳴らしながら進んで行く様子は中々の迫力だ。
てか、追いかけられてるの俺なんだけどね。
無表情に迫り来る赤ちゃん。
怖いんだが。
せめて嬉しそうに笑顔で……ってダメだ。 ハルの笑顔じゃ怖さが増すだけな気がする……。
「昨日まで母さんと一緒に過ごしてた時は、特に後追いなんてしなかったのに……。やっぱり、アキに似てるから気に入ったのかしら?ズルいわぁ〜〜!!」
トイレのドアまで追いかけてくる様子に、パートから帰ってきた母さんがブーイングしてくる。
ズルいって言われてもなぁ……。
トイレに入ると扉バンバン叩かれるんだぞ?
トイレくらいゆっくりさせてくれよ。
「寝てる間に置いてかれちゃったから、どこにいるか気になるのかしら?」
何気なく呟かれた言葉に俺の心が抉れる。
ごめんなぁ、あんな姉貴で。
足元で両手を伸ばして抱っこを主張するハルを抱き上げてやるとニコッと笑われた。
なんか、ニヤッが減ってきてる気がする。
正直面白かったから少し残念な気がするけど、リラックスしてきてるのかと思えばやっぱり嬉しい。
「抱っこ好きなのか、ハル?」
「アダァダッ」
問いかけると何か返事をするハルが可愛い。
ヤバい。うちの子チョット目つき悪いけど、メッチャ可愛い!!
ほっぺすりすりして愛でていると、母さんが呆れたような眼を向けてくる。
「心の声だだ漏れだから。まさかユキがそんなに叔父バカになるとは思わなかったわぁ」
「いや、だって可愛いじゃん。たまに変な所もあるけどそれすら可愛いってゆうか、さ」
「あ、うん。大丈夫。聞かなくてもいいから」
今日見つけたハルの可愛い所を熱く語ろうとした俺の言葉をぶった切って、母さんは台所へと消えていった。
その際可愛そうな物を見る眼を向けられたけど、何でだ?
「変なばあちゃんだなぁ〜ハル」
「ばあちゃん呼び禁止!」
速攻で物が飛んできた。危なっ。
ハルを庇いながら和室へと逃げ込む。
「ハルにとってはそうじゃんなぁ〜。往生際悪い」
腕の中で大人しくしているハルに語りかけるとコテンッと首を傾げられた。
多分ハルは言われてる言葉のほとんどの意味が分かってなくて、でも、自分の名前が呼ばれて相手がコッチを見てくれてる事は分かる。そして、それだけで充分満足なんだろう。
まっすぐにコッチを見つめてくる瞳が可愛くてたまらない。
だから、ハルに会ってから何度目かの同じ疑問を持ってしまう。
「こんなに真っ直ぐに自分を求めてくれる存在なんて他に無いだろうに。手放せるなんて訳分かんねぇよ、姉貴」
それとも、俺がまだ知らない恋だの愛だのはこれすらも凌駕する程素晴らしい物なのか?
眼を合わせたまま、額を合わせるとハルはジッと見つめてくる。それから、存在を確かめるようにペチペチと俺の顔にふれ、ようやく満足そうにニヤリと笑った。
そうそう、コレだよ。とでも言いたそうに。
「充分幸せなんだけどなぁ〜?ハル〜?」
「あぐぅ」
ぎゅっと抱きしめれば、力が強すぎたらしくハルから変な声が出た。
思わず噴き出せば、笑われた事が分かったらしく不機嫌そうな顔でばちんと俺の顔を平手で押しのけてきた。
そして、「降りる」とばかりにジタバタと暴れ出す。
「落とすって」
慌てて床に置けば、への字口のままバンバンと足音の(手音か?)高く去っていった。
赤ちゃんにもちゃんとプライドはあるみたいだ。
「ハル〜悪かったって。機嫌直せよ」
結局、ハルの機嫌は袖の下のバナナを渡すまで治る事は無かった。
あぁ、夜ご飯前に完食させちゃったよ。
母さんが怒るかな?
読んでくださりありがとうございます。
幸人は安定のデレっぷりです。
この人、たとえお姉さん帰ってきても離れられないんじゃ無いでしょうか?




