星間
『今!まさに!世界初の挑戦が始まろうとしています!月への、無動力単独飛行!人類の宇宙史の新たな1ページが、誕生しようとしているのであります!!』
...ラジオがうるさい...
「それ...止めてください...」
「宇宙服を着れば聞こえなくなりますよ。」
頭から宇宙服を被りながら、ふと思う。俺はこんなに怖いのに、なんで人々は笑顔なんだ...?
「はい、チェック完了です。それじゃあ、外、出てください。」
宇宙空間に出ても、遠くに星が見えるばかりだ。
『ガー これ!こ ガー 宇宙船 ガー り込んで! ガガー そうすれば ガー 出発でき ガーガー』
「オーケイ。」
今度は別のカプセル状の乗り物に入る。...乗り物と書いたが、俺は棺桶と呼んでいる。電気もない、動力もない...宇宙船というよりただの箱だ。
『ガー 幸運を祈るよ。』
ハッチを閉められた。これでもう、逃げることは不可能...。あとは、座して生か死か、抽選の結果を待つのみ...!
『射出角度、異常なし。パージ!』
金属の擦れる音が聞こえた。
「内部気圧良し。通信機、異常なし。」
『了解、射出します。』
後ろに引っ張られる感覚がして、見る間にISSが遠ざかるのが窓から確認できるようになった。
『射出後角度、異常なし。通信は良好か?』
「イエス」
『了解。発信機も...異常なし。これからは緊急時以外の会話はない。幸運を祈る。』
ひとまず安心だ...!これで角度を間違えていたりしたら、地球への帰還まで困難になる。...あとは...三日間このカプセル内で生活するのみだ。
「まったく...明かりもないなんてな...」
このカプセルには発電設備がない。よって、照明も生命維持装置もない。酸素はどうするかというと、大量の酸素ボンベを積んでいるため、そこから少しづつ弁を開いて供給する。なお、気圧が高くなり過ぎた場合、小さな換気口を開放し排出する。
「方向は...今回はこっちだな。」
空気を出す時には注意しなければいけない。少し出すだけでもカプセルの進路が大きく変わってしまうことがある。それを防ぐため、カプセル内のあちらこちらに換気口が設置されていて、進行方向と逆向きに排出する。だからぶっちゃけて言うと動力はあるのだ。
「暇だなぁー...!!......わああああぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
どれだけ叫んでも、文句を言う人はない...!一般には楽園に見えるだろう。だけど、救助も来ないってわけだ。
「っはぁ...何...しようかな...」
兎にも角にもやることがない。ゲームはおろか、スマホを使うことも音楽を聴くこともできない。
そんな中での生活が今、始まった。
これは、途中までちゃんと短編としてつくってたけど、諦めた物です。




