表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
秘める聖女と優しき逃亡者  作者: 黒羽、冥月 霜華
40/45

★膨れ上がる感情

 クロードは腰に差している刀を抜き、ローザのレイピアを受け止める。ローザの背後に領主と兵たちがこちらの様子をうかがっているのが見えた。


「ローザ、オレはその賭けにのってやる。ラファール、領主さんたちも手出しするな」

「一人で戦う気か!!」

「頼む、下がっててくれ」


 真剣な表情のクロードにラファールは渋々領主たちのところまで下がっていった。それを確認したクロードは力でレイピアを押し返し、後ろに下がった。


「もう茶番は終わりにしよう。お前はすでに気づいているんだろ、オレがロベールじゃなくてクロードだって」

「最後までロベールとして戦ってくださるのではなかったのですね」

「ああ、そのつもりだった。ロベールみたいに冷静にお前の相手はできなそうだ」


 クロードの瞳には強い感情が宿る。


 憎悪。


 彼の感情に呼応するように闇の精霊が集まり、彼の持つ刀の周りを揺らめいた。


「お前を裁けるのはお前自身だけ? 笑わせるな、お前の魔法が発動する前にお前の息の根を止めてやる」


 膨れ上がる憎悪。強い負の感情に導かれ、闇の精霊だけではなく闇の聖霊までもがクロードの周囲に集まってくる。


「集いし闇の精霊と聖霊たち、黄泉へと誘え。(トート)()(トア)!」


 闇の精霊と聖霊の半分が一カ所に集まり、徐々に門のような形に変化し、そこへ吸い込もうとする力が発生する。



   ***



 クロードに言われ戦いから身を退いたラファールは、ローザとクロードの戦いを見守っていた。


「なあ、俺たちも加勢した方が……」

「やめておけ、ラファール。相性が悪い」


 領主にそう言われ、ラファールは黙ることしかできなかった。相性が悪く、敵わないことはすでに分かってしまっている。何もできないまま二人を見守っているとラファールは暖かいモノを感じた。


「……父上」

「どうした?」

「あれ」


 ラファールが指差す方には、先ほどクロードが呼び出した火の鳥の残骸。小さな火の粉となってわずかだが残っていたのだ。それらが今、一つの場所に固まっている。


『我が名の下に集いし火の精霊と聖霊たち、我が姿を模れ。精霊(ガイスト)()(フランメ)


 ラファールたちの頭の中に声が響く。クロードたちの方を見るが、彼らはこの声に気づいていないようだ。


 頭に響いた声に呼応して火の粉は静かに大きな火へと変化し、徐々に人の形へと変わってゆく。そして、最後には火が飛び散り、中から人が現れた。長い赤髪に、飛び散った火が甘えるかのようにまとわりつく。


「嘘だろ……」

「あなたは……」


 ラファールと領主は火の中から現れた人物を見て唖然とする。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ