★先に手を組むもの
クロードは街の方でローザの魔力を感じ、何が起きているのか調べようと玄関へ向かっていた。
「クロード! いるんだろ!」
扉の外からラファールの切羽詰まった声が聞こえ、クロードは玄関の扉に駆け寄った。
「何があった?」
扉を開けると同時にクロードは問いかける。
「聖女様がここに来る。俺がクロードを匿っていることがバレたんだ」
走り続けたラファールはわずかに息を切らせながら答えた。
「あいつを撒いたのか?」
「一応。けどこの森に来るのは時間の問題だ」
まだこの時点ではローザは森に辿りついていない。今頃、ローザは街でラファールを探している。
「どうしてそんなことになったかは聞かないことにする。どのみちいずれはローザと戦わなきゃいけないんだ。早まったところでたいして変わりはない」
「俺も一緒に戦う。理由は聞かないでくれ、今は説明してる時間がない」
「分かった。戦力は多いに越したことはない」
クロードは結局何の策も練っていないが、時間を貰ったとしても策を練ることはできないだろう。王族付魔法剣士になる予定もなかったクロードはローザのことをほとんど知らない。昔から仲が悪いウォレス家とカッツェ家が友好のために縁談なんてことは考えられなかったし、華やかな場所があまり好きではないクロードが貴族主催のパーティーに出席することも少なかった。実はクロードがローザに会った回数は両手で数えられるほどしかない。
「とりあえず俺が聖女様を引きつける。クロードは隙をついて聖女様を襲ってくれ」
「ああ」
確かに隙をつくのはオレの方が向いているかと考え、クロードはラファールの提案にのった。
「ここで時間を稼げば、父が聖女様を捕らえに来るはずだ」
「この地の領主が? そういうことか」
どうやってラファールの父が自分の居場所を知っているのかは分からないが、ローザをどんな理由で捕らえるのかは分かった。
(王の勅命であっても王都以外での殺生は領主の許可が必要……許可なくオレを殺そうとしているのを見ればローザを捕らえることができる。オレたちは領主が到着するまで時間を稼げばいいのか。殺すことはできずとも時間稼ぎくらいはおそらくできるだろう)
クロードはこの先の明るい未来の可能性を見出した。
「ラファール、危険だと判断したらすぐに逃げろ。ローザは火の魔法を得意とする。お前の方が不利だ」
ローザが火の魔法と得意とするということはロベールから聞いたことがある。ローザに関することはほとんどロベールから聞いたと言っても過言ではないだろう。
「ああ」
ラファールは頷き、ローザを出迎えに屋敷から離れて行った。




