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材力無双 ~大学で材料力学を教え、定年退職した俺が異世界で無双する〜  作者: 機械工に苦しめられし者
第一章 定年、そして村編
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18話 回復魔法?

最初こそ村人たちは驚きの声を上げるばかりだったが、しだいにオガタに感謝を述べる列が出来上がっていった。


「本当にありがとう。オガタさんとやら」

「いえ、大したことはしてませんので......」


こんなに多くの人から感謝されるのは生まれて初めてだったので、少し照れ臭かった。



「ダン! 目を覚ませ!」

「あなた、お願いよ......」


「ん?」


列のはずれに横たわった男と、それを囲む人だかりができていた。

どうやら先程のメタルプレートに絞め上げられていた男性がまだ目を覚まさないようだ。


(いけない、しめ落とされたまま適切な処置をしていなかったな)


人間は頸動脈が狭まると脳に供給される酸素が足りなくなり気を失ってしまう。多くの場合は、速やかに処置をすれば回復が期待できる。しかし、あの男性はかなり強い力で長時間宙吊りの状態にされていた。そして、見たところオガタよりも高齢なようだ。


(まぁ、今の私はとても若いのだが)


「失礼、少し私に診させていただけますか?」

「え? ええ、もちろんです」


村人たちに通してもらい、ステナに抱えられたまま男性の傍まで近寄った。

横たわった男性の喉には痛々しい痣が残ったままだった。


「応力集中サーチ!」


全身の血流を観察すると、喉の部分で明らかに滞っているのが分かる。


(これは......、血種か。血流が滞っている原因だな。アレを試すか)


オガタは、ダンの喉元に掌を置く。


「とりあえず強制転位で血種を分解。そして、体内の傷口に......」

「【《古代(エンシャント)スキル》析出強化(プリシピテーション)】!!」


【《古代(エンシャント)スキル》析出強化(プリシピテーション)】は先程の戦闘で新たに使えるようになったスキルだ。

析出強化とは、通常の結晶の中にナノレベルの微細で硬い結晶を作り、この微細な結晶が転位の動きを阻害することで材料を強化する方法だ。この強化法が用いられる物で代表的なのはアルミニウム合金の一種であるジュラルミン等がある。車のボディや金属バットの材質として目にしたことがある人もいることだろう。

つまり、この理論を人体に用いることで怪我した部分の再生から強化まで行えるとオガタは考えたのだ。


「うん、完璧だ」


析出強化をかけた後を応力集中サーチで観察してみると血種が完全になくなり、血管内の傷も塞がっていた。


「何をしたんですか?」


ダンに寄り添っているリンが心配そうに聞いてくる。


「安心してください、ほら」


リンにダンの方を見るように促す。

ダンは目を覚ましていた。


「あなた! よかった、本当に......、ありがとう、ありがとう......」

「リン、俺はいったいどうして......」


老夫婦はお互いを抱きしめ合った。懐かしい光景を見ている気分だ。


「おい、みんな! ダンさんが目を覚ましたぞ!!」

「オガタさんが助けてくれたんだ!」

「い、いえ、そんな」


オガタは益々、村の人気者になるのだった。

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