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抜剣少女は魔術教師に恋をする  作者: みこ


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92/110

92 本気なの?(2)

 レーヴが、にっこりと微笑む。

「引き継ぎは、順調ですか?」


 泣きそうで、気まずくて、困らせてしまいそうだったから。

 リナリは、

「す、いません」

 それだけを言って、レーヴのそばをすり抜けると、一人、部屋の外へ出ていった。

 足早に廊下を歩く。


 そう、もう引き返せないから。


 だって、ずっと憧れてたんだもん。


 やっとここまで近付けたんだもん。


 理由もちゃんと言わずに、諦めた方がいいなんて言われたって。


 ……やっぱりゴールディさんもラビラントさんの事が……、好き、なのかな。

 あたしが行ってしまったら……、二人っきりなんだ……。


 怖い……。


 心の中に、二人っきりで仲良さそうにしている二人の姿が浮かぶ。


 思わず泣きそうになる。

 このまま、誰にも会わなければいい。


 けれど、そんな気持ちとは裏腹に、リナリに後ろから声がかけられた。


「リナリさん」


「…………!」


 ラビラントさん……。

 どうして追いかけて来たんだろう。

 そんなに……、怪しかったかな。

 今、顔を見られるのはまずいのに。

 気付かないフリをして行ってしまおうか。


 足を早めたところで、また後ろから、

「リナリさん!」

 と声をかけられた。


 このまま……無視するわけにもいかない。


 くるり、とリナリが振り向く。

 いつもの顔でいないと……。


 出来るだけ笑う。

 けれど、どうしても目を合わせる事は出来なかった。


 レーヴのローブが、近付く気配がする。


「え、と。何かご用ですか?」

 出来るだけ、いつもの声で。


「はい」


 ……用事?

 こんな時に、この人の口から、ここを出る話なんて聞きたくないのに。


「ちょっと、こちらへいいですか」


「はい」


 仕方なく、ついていく。

 話をしなければ、学園に帰れないのは事実なのだから。


 大人しく付いて行くと、執務室の近くの部屋に入って行った。

 中は、本がたくさん積まれている部屋で、それほど明るくはない。

 この図書館は、窓はあれども明るくない部屋は沢山あるのだ。


 真ん中に置いてある大きなソファには、へしゃげたクッションと、床まで落ちたブランケットが置いてあり、ここで誰かが寝ていたことが窺えた。


「…………」


「ここは、私が使ってる部屋なんですよ」


 そう言って、どう見ても誰かが寝ていたはずのソファを勧められる。

 ……ここが、ラビラントさんが使っている部屋???

 プライベートルーム???

 え、ここ、座っちゃっていいの?????


 ちょこん、と座ると、目の前にあったかそうなココアを出される。


「そんな顔で外を歩かせるわけにはいきませんから」

 困ったように笑われて、やっぱり顔を見られていたことに気付いた。

「すいま……せん」


「何か良くないことでもありましたか?」

 そう尋ねてくれるラビラントさんが、しゃがんで目線を合わせてくれたので、やっぱり子供扱いなんだと、そう思った。

「明日……ここを出て行ってしまうと思うと、寂しくて。やっと慣れて来たのに」

 そう言うと、ラビラントさんが笑う。

「そうですよね。せっかく慣れて来たのだから。それを無駄にしたくはないですね。まだ、ここの職員になりたいという気持ちはありますか?」


「も、もちろん!」


 がばっと顔を上げたリナリに、レーヴは目を潤ませる。


「よかった。じゃあ、また声を掛けさせていただきますね。司書の仕事も、まだ覚えることがありますからね」


「……はい!」


 それは、なんでもない、上司と部下の会話だった。

 けど、また会えるって未来が約束された気がして、すごくすごく、嬉しかったんだ。

さて、次回でリナリさんエピソードも終わりですかね。

ラストに向けてGOGOですね!

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