93 本気なの?(3)
「きっもちわるっっっっ」
執務室に入った瞬間聞こえた、自分を罵倒する声を、レーヴは聞き逃さなかった。
「ゴールディ……?今、私の事を『気持ち悪い』とか言いましたか?」
「言ったわよ!!気持ち悪いのよ!このロリコン男!!!」
「ははっ」
レーヴは笑うと、
「人聞き悪いですね……」
と、抗議するでもなく言う。
「確かに、あの、純粋そうな子があからさまに尻尾振って来てくれるの、あんたのどストライクかもしれないけどね!?私の可憐なリナリちゃんを囲おうとするのやめてくれる!?」
レーヴは、ニコニコしながら、自分のデスクへ向かった。
「何が“私の”なんでしょうかね。あなたの“どストライク”でもあるかもしれませんが、尻尾振ってる相手が私である以上、あなたに勝ち目は無いんですけどね」
「そもそもやり方が汚いのよ!!囲い方が……!!」
「囲うだなんて失礼ですね。あの人と一緒に仕事がしたいと思っただけですよ。別に恋愛感情でどうこうなんて思っていません。まあ、今は必要以上に一緒に居るかもしれませんが。リナリさんが成長して、年相応の人と恋愛することになった時……。その時が来たら、手離す覚悟も出来ています」
そこで、レーヴは渾身の悲哀の表情を作った。
「手離す気なんてないくせに……」
「さて、何のことでしょう」
なんでもない顔をして、レーヴはお茶を入れ、優雅な顔をして一口、口をつけた。
「すっとぼけないで!!あなた……!私のリナリちゃんと……」
ゴールディがワナワナと震え出す。
「お、同じお部屋に泊まったらしいじゃないの……」
絞り出すような声だ。
「ははっ」
と、またレーヴが笑った。
「あんな小さな子を一人で泊まらせるなんて、危ないでしょう?もちろん、何もありませんでしたよ?」
「当たり前じゃないの!!あなたの魂胆はわかってるのよ!!?危ないことが理由なら、わざわざ報告書に一部屋で泊まりましたなんて、書く!?同じ部屋で起きた時の様子なんて書く!?」
「事実ですからねぇ……」
「裏がないならこんなことは書かないのよ!?普通は!!……私のリナリちゃんが噂話に疎いのをいい事に……!!周りでなんて言われているか知ってる!?あなたと私のリナリちゃんが噂になってるのよ!?そういう関係だって……!そんな噂がたった女の子に、まともな恋愛相手が出てくるわけないじゃない……!!」
「ふぅん……」
「そのわっるい顔!!ほんと腹立つ!!」
「他人のモノを欲しがる負け犬の遠吠えですねぇ。かわいそうに……」
「そのうち、なんでもない顔して、私のリナリちゃんを自分の部屋で寝泊まりさせたりするんでしょう!?やり方が汚い!!」
「いい加減、“私の”って言うの、やめて貰えます?程々に不快なので」
「ヒトがアピールできないの知ってて、ドヤ顔やめてよね!!うわぁぁぁぁん」
結局、ゴールディは泣きながら執務室を出ていった。
さて、リナリちゃんの恋愛話はここで終わりになると思います。
攻略対象としてのこのインテリメガネのヒロインはもちろんリナリちゃんです。
ゴールディさんは好きになった子が必ずこのインテリメガネのそばにいるという酷い腐れ縁。




