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抜剣少女は魔術教師に恋をする  作者: みこ


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85/110

85 青空の下で(2)

 どうしたもんかなぁ。


 エマは、そんなことを思いながら、手綱を握る。

 後ろでは、珍しくヴァルとチュチュが笑いながら話をしている。

 少しは、気が紛れるといいけど。

 

 エマは、学園でのことを思い出す。

 シエロくんは、最近チュチュの事を妙に見ている。

 それも、チュチュには気付かれないように。

 それに、チュチュがメンテといるのを見た時の様子は、あまり嬉しそうなものじゃない。


 普通じゃないと思うのだ。

 どう見ても嫉妬してる。

 どう見ても、好きだとしか言いようがない。

 それなのに。


 年齢の差とか、教師と生徒だからとか、そんなことを気にしているんだろうか。

 けれど、少ないとはいえ、貴族同士の政略結婚の話も、年の差婚の話も聞くことはあるし。


 そんなことを気にしているというよりはむしろ、恋愛自体から離れようとしている気がするのだ。


 理由はなんとなく、過去のトラウマにあるような気はするけど。


 ちょっと素直になるだけで、シエロくんは幸せになるし、チュチュも幸せになるし。

 ついでに、シエロくんをずっと心配しているヴァルの心も軽くなる。


 それに、あの調子ならきっと、年相応の人を好きになったとしても、なにかと理由を付けて身を引いてしまうだろう。


 ……だったら、チュチュはピッタリだと思うんだけどな。


 あんなに二人でずっとそばに居て。

 お互いを好きになったのなら、それでいいと思うのに。


「二人とも〜そろそろ着くよ?」

 後ろに声をかける。

「はーい」

「ああ」

 二人の声を確認する。


 小さいながらも綺麗な街が見える。

 商業で栄えただけあり、小綺麗にまとまった街だ。

 小さいながらも教会の鐘が、街の象徴のように見える。


「アタシ、エマを迎えに来た以来だよ」

「俺も」


 三人で、眩しそうにその街を眺める。


 屋敷の前に着くと、一家総出で出迎えてくれた。

「きゃーっ」と言いながら、小さな少年二人がエマにまとわりつく。

「おかえりなさーい!」

「ただいま、ピエリス!ニール!」

 エマがそのまま、家族一人一人に挨拶していく。


「チュチュリエ・コンスタンです。この度は、突然お邪魔いたします」

 チュチュがお辞儀をする。

「ジークヴァルト・シュバルツです」

 ヴァルは、名乗るだけ名乗ると、

「じゃあ、俺はこれで」

 と去りかけたのだけれど。

「お待ちください」

 と、声が掛かった。

 父だ。


「失礼ですが、シュバルツ家のご子息では?まさか、伯爵のご子息をなんのもてなしもせずに帰せませんよ」


 父の言葉は、ごく丁寧なものだった。

 言葉は丁寧だったけれど、なぜか、棘があるように聞こえる。


「ありがとうございます。では、お言葉に甘えて」

 そう言うヴァルの額には、なぜか汗が浮かんでいた。

新キャラ登場です。

ちびっ子仲良し二人組です。

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