85 青空の下で(2)
どうしたもんかなぁ。
エマは、そんなことを思いながら、手綱を握る。
後ろでは、珍しくヴァルとチュチュが笑いながら話をしている。
少しは、気が紛れるといいけど。
エマは、学園でのことを思い出す。
シエロくんは、最近チュチュの事を妙に見ている。
それも、チュチュには気付かれないように。
それに、チュチュがメンテといるのを見た時の様子は、あまり嬉しそうなものじゃない。
普通じゃないと思うのだ。
どう見ても嫉妬してる。
どう見ても、好きだとしか言いようがない。
それなのに。
年齢の差とか、教師と生徒だからとか、そんなことを気にしているんだろうか。
けれど、少ないとはいえ、貴族同士の政略結婚の話も、年の差婚の話も聞くことはあるし。
そんなことを気にしているというよりはむしろ、恋愛自体から離れようとしている気がするのだ。
理由はなんとなく、過去のトラウマにあるような気はするけど。
ちょっと素直になるだけで、シエロくんは幸せになるし、チュチュも幸せになるし。
ついでに、シエロくんをずっと心配しているヴァルの心も軽くなる。
それに、あの調子ならきっと、年相応の人を好きになったとしても、なにかと理由を付けて身を引いてしまうだろう。
……だったら、チュチュはピッタリだと思うんだけどな。
あんなに二人でずっとそばに居て。
お互いを好きになったのなら、それでいいと思うのに。
「二人とも〜そろそろ着くよ?」
後ろに声をかける。
「はーい」
「ああ」
二人の声を確認する。
小さいながらも綺麗な街が見える。
商業で栄えただけあり、小綺麗にまとまった街だ。
小さいながらも教会の鐘が、街の象徴のように見える。
「アタシ、エマを迎えに来た以来だよ」
「俺も」
三人で、眩しそうにその街を眺める。
屋敷の前に着くと、一家総出で出迎えてくれた。
「きゃーっ」と言いながら、小さな少年二人がエマにまとわりつく。
「おかえりなさーい!」
「ただいま、ピエリス!ニール!」
エマがそのまま、家族一人一人に挨拶していく。
「チュチュリエ・コンスタンです。この度は、突然お邪魔いたします」
チュチュがお辞儀をする。
「ジークヴァルト・シュバルツです」
ヴァルは、名乗るだけ名乗ると、
「じゃあ、俺はこれで」
と去りかけたのだけれど。
「お待ちください」
と、声が掛かった。
父だ。
「失礼ですが、シュバルツ家のご子息では?まさか、伯爵のご子息をなんのもてなしもせずに帰せませんよ」
父の言葉は、ごく丁寧なものだった。
言葉は丁寧だったけれど、なぜか、棘があるように聞こえる。
「ありがとうございます。では、お言葉に甘えて」
そう言うヴァルの額には、なぜか汗が浮かんでいた。
新キャラ登場です。
ちびっ子仲良し二人組です。




