code 038:
こんなプログラムを作りたいです
「このコンソール画面に表示してんのは、定期的に集めてくるOSの情報やら設定やらだから実は表示する必要はないんだよね。デバッグ用に表示させてただけだし」
コンソールを閉じながら結弦が言う。
というか、さっきのコンソール画面を使えって言われても詩織ぐらいしか使えないし。
「それからこっちが本体プログラム」
そう言って、また結弦がキーボードを操作しはじめた。
次に表示されたのはウインドウの中にテキストボックスやボタンがいくつか配置されているもの。
「ここのリストボックスに作ったプログラムのソースコードを入れてやると、勝手にコンパイルしてリスト化する」
そう言って、ドラッグしていたファイルをリストボックスにドロップする。
数秒たつと画面に『OK』と書かれたウインドウが表示されて、その後リストボックスにファイルが追加された。
「それからエラーがあるプログラムをドロップすると……」
今度は別のファイルをリストボックスにドロップした。
同じようにウインドウが表示された。
されたんだけど……。
「なんでエラーが出てきたときの表示が『直しやがれ!』の一言なのよ……」
「竜崎がやれやれうるさくって」
「あんたが原因か」
「うお!?や…やめろ!くるしい……」
お仕置きに竜崎の首を絞めてやる。
「だ…だって、その方が面白いだろ…?」
「おもしろくないから!逆に腹立つだけだから!」
「うぉ!!ごめんなさい!!もうしません!!」
さすがに顔が青ざめてきたから離してやる。
「げほっごほっ……、北園容赦なさ過ぎるぞ…」
「自業自得よ。それで今の機能はこれだけ?」
「いや。一応もうひとつ」
カチャカチャとキーボードを操作する音。
その直後、エディタが画面に現れる。
「これで登録したプログラムの条件起動とかを編集するようにした」
「どういうこと?」
私が聞くと、何かのファイルをそのエディタで開く。
出てきたのは……プログラム?
「たとえばここに『Run file="testfile"』『IP ping=true』って書いて実行する。すると」
「すると?」
「指定したIPアドレスと接続できたらこの『testfile』っていうプログラムを実行する。こんな感じでいろいろ編集できる」
「へ~。それじゃあ、これから俺たちがこのプログラムを作ればいいのか?」
いつの間にか復活して画面を覗き込んでいる竜崎の質問。
「そう。単純なプログラムを片っ端から作っていけば、それを組み合わせて複雑なプログラムが簡単に作れるって訳」
「関数みたいなものだね」
私の隣で画面を眺めていた詩織がつぶやく。




