第2話【転移】
心地よい感覚だ。
何か柔らかいものにのっているらしい。
寒くはないし熱くもない。
とても丁度良い。
と、ここで自分の身に何があったかを思い出した。
目を開いた。周りには病院の風景が広がっている。
どうやら俺は死んではいなかったようだ。よかった。
とりあえず起きたのでナースコール(らしきもの)を押したら看護師さんが来てくれた。
その時俺はとあることに気付いた。
(看護師さん、一体なんて言ってるんだ?)
ここは確かに病院。
俺の推測が正しければ俺の国の病院なはず。
少なくともほかの言語も少しは知っている。だが俺の頭の中にあるどの言語とも当てはまらない。
どんな言語でもと、ほかの言語と少し発音などが似ていることもあるが、まったく、どの言語とも似ていない言葉だ。
どういうことだ?
そもそも、なんでほかの国(仮)にいるんだ?
そこで、中二病である俺は思った。
(ここ、異世界なんじゃないか...!?)
そう思ったからには早速実践。
手を宙にかざして心の中でステータスウィンドウが出るよう念じた。
そしたらなんとびっくり。ステータスウィンドウが出ちゃいました。
そしてステータスウィンドウの右下にあった項目に気付いた。
なんと、異世界転生系では恒例の”魔力”なるものが存在していた。
(やはりあるのか...!!魔法!!)
早速誰かに魔法を聞きたかったが、そもそも言語を話せない+病み上がりのため、今日明日は寝て食べて言語を学び過ごすことにした。すごく魔法を使いたい気持ちはあるが、我慢だ。
――二日後
なんだか不思議な感覚だ。
徐々に看護師さんたちが何を言っているかわかってきた。
言語を聞いてるだけで、意味は知らないから、おそらく俺はこの世界に適応してきただろう。
言語を学ぶとか言っておきながら学んでないからよかった。
とにかく、今日は魔法を使う!というわけで病室から出て同じ患者さんの人に聞いてみた。
「あの、そこのおじさん。ちょっと聞きたいことがあるんですけどいいですかね...?」
「ん、なんだ?」
「実は自分、魔法の使い方がわからなくて。何か知っていたら教えてもらえると嬉しいです。」
「なるほど。ならばついてこい。村に伝わる伝統魔法を教えてやる。」
「ありがとうございます!」
―――病院内部-裏庭にて
「まず、今から教える魔法はさっき言った通り、ウチの村に伝わる伝統魔法【エスケープ】だ。」
「【エスケープ】ですか...魔法ってどうやって発動するんですかね。」
「魔法の発動条件はただ魔法の名前を叫ぶだけだ。」
「なるほど...ではやってみますね。」
「【エスケープ】!!」
...
何も起こらない。
「な、何も起こらないんですけど...」
「君、魔力自体はあるかい?」
「魔力なら一応あります...」
「となると”魔法への適正”がないか、スキルかなんかによって封じられてる可能性があるな。」
「え”っ...」
「まぁでも、スキルのタイプならそういう系統はかなり強いタイプが多いからな。」
「え、スキルってどこで見れるんですか...?」
「ステータスウィンドウを開いてから、下にスクロールするとスキル一覧が見れるぞ」
「あ、ありました。なんか【不死鳥】と書いてあります」
「そうしたら、そのスキルを押せば詳細とかも見れるぞ。」
「なんか【死ぬ度に蘇生され自身が強化される。この効果は10回まで。】って書いてあります」
...バカ強くないか...?
「おぉ、それは結構希少なスキルだな。死んでも蘇生できるとか、すごい便利だな。さらに自分が強化されて復活するだなんてな...。」
「これ、結構強いってことは...。」
「多分、スキルによる魔法の制限だろうな。だが、魔法が使えないと言われてもおかしくない性能をしているから問題はないと思うぞ。」
「マ、マジですか...!?」
「マジだ。」
死んでも復活するんだったら冒険者適正とか結構あるんじゃないか⁉昔剣道とかやってたし剣ならある程度いける...!!
「これなら冒険者とかも行けたり...!」
「冒険者適正はありそうだぞ。」
キタ!冒険者!!異世界といえばこれだよな!!
「冒険者になるなら、やっぱり剣ですかね!!」
「そうだな、魔法が使えないなら剣系統か槍系統が無難だ。弓系統とかは近づかれると魔法で対抗しなきゃいけないし、大剣系統は身体強化系魔法がないとだめだ。振る速度が遅い。」
なるほど。俺が思っているよりもこの世界の武器は大変なようだ。確かに弓は遠距離が普通だし、大剣はとにかく重い。多分。俺が持ったら引きずらないと運べなさそうだ。それはそうと、レイピアやロングソードとかあるのだろうか。」
「君、良ければ俺が冒険者登録を手伝おうか?」
「いいんですか⁉体とかの負担は平気なんですか?」
「どうせもうすぐ退院するし平気だろう。」
「ありがとうございます!!」
―――冒険者ギルド道中
道中がちゃんと整備されている。インフラとかはちゃんとしているようだ。
そういえば、この世界には元素や属性なるものがあるのだろうか。
「そういえば、元素的ななにかってあるんですかね。」
「元素か?そりゃあるぞ。水、火、土、草、雷、風がある。その中で、攻撃特化なのが火と雷と土で、回復やサポートに特化しているのが草で、そして攻撃特化かつ一応サポートも可能な水、風。これだけ聞くと水と風が最強に見えるかもしれないが、流石に火だったり草だったり特化しているやつには断然劣る。初級冒険者にはお勧めのバランス型といったところだ。」
なるほど、これは面白そうだ。雷とか使ってみたいな。そういえば、武器に元素付与とかできるのだろうか?
「もしや、その元素を武器に付与することも可能だったり...?」
「あぁ。もちろん。ただ元素付与に関しては武器を作ったときにしかできない。ただ、その武器を使い続けていればいずれ、武器自体に自分の力が馴染んで、元素が変わることもあるがな。ちなみに武器に元素付与して、使用するとき、自身の元素相性と良かった場合、通常よりも強い効果を出せる。」
元素相性...だと?なんだそれは、雷だったらかなりうれしいんだが。
「元素相性、ですか。それってどこで見れますかね。」
「元素相性は冒険者登録をするときに検査できる機会があるからそれでやるといいさ。折角だから聞こう。君は何の元素がいいかい?」
「俺なら雷ですね!凄い憧れてるんです‼」
「雷か、いいじゃないか。雷は使い方次第ではかなり強い部類だからな。敵をしびれさせてスタンさせることだったり、自身を中心に周りに雷を落とすことだって可能だ。」
なんだそれ、強そうすぎないか!?いや、強すぎないか!?!?
「マジですか!?そんなに雷って強いんですね!!では火元素とかは一体どうなるんですかね...」
「火は、相手を閉じ込める炎の渦を出したり、フェニックスを出したりとか...」
フェニックスを、召喚...!?
「え、ちょ、火属性がいいです!!」
「君のスキルも【不死鳥】だからピッタリだな。」
「かっこよくないですか!?神ですか!?」
「ほらほら、そんな雑談している間についたぞ。冒険者ギルド。」
どうやら元素に夢中になっている間にギルドに着いたらしい。おじさんには感謝でいっぱいだ。更に冒険者登録の手伝いもしてくれるときた。聖人だよね本当。
―――冒険者ギルド内部ー冒険者登録所にて
「こんにちは...あの...冒険者登録をしたいです...」
俺がこんなに緊張している理由。それは簡単だ。
受付のお姉さんが美人すぎる。あまりにもタイプ。なのでとても緊張している。
「はい、冒険者登録ですね。今、登録に必要なものを準備しますので少々お待ちください。」
あぁ、こっちの世界に来てよかった。
この人に会えたことが今のところ一番うれしい。可愛すぎる。死ぬ。
もしや、異世界にはこんな美人がたくさんいるのか!?なんと素晴らしい世界なんだろう。
「お待たせ致しました。準備が完了しましたので、こちらへ来てください。」
おっと、もう準備ができたようだ。というか、冒険者登録って何をするんだ?
―――冒険者登録所内部‐冒険者登録室
「まずは、こちらの赤い水晶に手をかざしてください。」
なるほど、赤い水晶に手をかざすんだな。なるほど。青い水晶は何に使うのだろうか。
水晶に手をかざしてみるとステータスが一気に浮かび上がってきて、コピーされた。冒険者カード的なのに書く?のか?にしてもこの水晶、高そうだしかなり便利だな。手をかざすだけでステータスをコピーするとは。
「お次はこちらに立ってください。証明写真を撮ります。」
立った。写真を撮られた。それだけだ。
「それでは、今度はこちらの、さっきとは別の青い水晶に、手で触れてください。」
青い水晶はこのためか。
と、手で触れた瞬間青い水晶は紅く輝き無数の赤い光の糸が自分に流れてきた。
急に輝く風が出るわでビックリした。
「これで検査は終了です。お疲れさまでした。少々お待ちください。」
これで検査は終わりか。結果が楽しみだ。
―――冒険者ギルド‐冒険者登録所
「お待たせ致しました。冒険者証明書が発行できましたので、こちらにお名前を。」
冒険者証明書か。国を通るときとか必要な奴だよなこれ...多分。
さてと、名前を書くか...。ここはきっと...ハクト・イズミでいいよな。
「書けました。」
「それでは、これにて冒険者登録は終了となります。お疲れ様でした。」
「ありがとうございました」
これにて冒険者登録は終了。にしてもあのお姉さん美人だったな...せめて連絡先とか聞いておけばよかったかもしれない。あとあの水晶、かっこよかったなあ...輝いてブワッて風が来て光の糸が流れてるのめちゃカッコよかった...
―――冒険者ギルド帰宅道中
「おーい、君。冒険者登録は無事に出来たかい」
「あ、無事にできました。ありがとうございます!」
「お、そうか。なら元素相性も確認したか?」
ヤバい、受付の方に気を取られててすっかり忘れてた。それほどヤバくないけど。
「忘れてました...確認してみます!!」
「なら俺も一緒に見るとするか」
俺はカバンから冒険者証明書を裏にして取り出した。
そして表にした。
「「!!」」
「火元素じゃないか!やったな!」
「はい!よかったです!」
そう。元素相性がよかったのは火元素だったのだ。
と、喜んだはいいものの、少し疑問が出てきた。
「そういえば、病院抜け出したわけですけどこれ戻ったら...」
「...あ...」
「ですよね...」
俺とおじさんは、喜びと同時に、確実に帰ったら怒られるということを思いながら帰った。




