第3話【アオイ】
――病院帰宅道中
「怒られないためにはどうしたらいいと思う?君。」
「俺に言わないでくださいよ...」
俺とおじさんは今、病院帰宅道中で会議をしている。
議題は「どうすれば看護師さんの説教を受けずに済むか」だ。
いやまあ病院から抜け出して冒険者ギルドに行ったわけだし俺らが悪い。
そしてその会議の結果導き出された結論は
「潔く諦めよ。」
だった。
―――病院内部-病室
「貴方達はもうすぐ退院なだけでまだ退院してないんですよ?なので冒険者ギルドとかに行くのは
やめてください。あと勝手に抜け出さないでください。」
「「はい」」
――3日後
「ハクトさん。貴方は今日で退院です。お疲れ様でした。」
「ありがとうございました!!」
今日が俺の退院日。おじさんと話していてとても楽しかった。とはいってもおじさんは先々日に退院してるけどね。一応退院したらココに来いとかメモもらってるからそこに行くつもりだ。
そういえば俺、なんで入院しているんだ?
そもそも俺は向こうの世界で倒れ死んだだけでこっちの世界では特に何もないはず...
俺の記憶がないだけかもだけど。ちょっと看護師さんに聞くことにするか。
「看護師さん、そういえば俺ってなんでここに入院しているんですかね。記憶がなくて...」
「了解です。ではあなたが入院した理由についてお伝えしますね。通報者さんによると貴方は...」
どうやら俺は魔物が多く生息する森の中心で倒れていたらしい。中心部というわけでかなり魔物がいるはずなんだが俺の周りには一切いなかったらしい。どういうことだろう。俺は【不死鳥】というスキルを持っているが、能力は死んだら10回まで強化して復活できるという内容だ。能力の中には一切魔物を寄せ付けないという感じの能力はなかった。この世界には【加護】とかはなさそうだし、今度どこかのあるだろう図書館で調べてみるか。もしかしたら加護とは別の何かがあるかもだし。
「なるほど...そういう感じだったんですね。ありがとうございました。それでは、さようなら!」
「はい。さようなら。」
俺は退院した。これから向かうべき場所はおじさんと待ち合わせしている場所。どうやらそこはおじさんの住まいがあるところで、名前は【アイザン】というらしい。
―――アイザン町-中央噴水広場
「えっと...ここでいいかな...?」
「おっ、来たか。君。」
「あ、おじさん!よかった...」
「そういえば、互いに自己紹介してなかったね。俺はエバンだ。よろしく。」
「俺はハクトといいます。よろしくお願いします。」
「へぇ、ハクトか。珍しい名前だな。」
「そ、そうなんですかね...?」
「あぁ。ハクトと同じ雰囲気の名前はほとんど聞かない。」
「同じ雰囲気ってなんですか...」
「雰囲気は雰囲気だ。」
「えぇ...」
「そうそう、ハクトに用事があってきてもらったんだった。」
「用事?なんですかね」
「ハクト、君冒険者になるつもりだろう」
「そうですが...」
「ならば、一人紹介したい人間がいるんだ。」
「え?」
「こっちにきてくれ。町はずれの森に行く。」
―――アイザン町郊外-導きの森
「この子だ。」
エバンさんが紹介してくれた子は、瞑想をしているように見えた。黒く長い髪に青のノースリーブの服、腰には二丁の短刀しまうベルト、ズボンは動きやすくするためか少し大きめのズボンを着ている。可愛い。
「...?エバンさん、そちらの黒髪の人間は何なのサ。」
「この子はハクトという。」
「...ハクト...」
「えっと、初めまして、ハクトです。」
俺には少し、この子がハクトという名前を聞いて動揺したように見えた。まぁ、気のせいだろう。
「で、なんの用なのネ?」
「アオイ、君にハクトの冒険に付き添ってほしいんだ。」
アオイ、というのか。なんか懐かしく俺の名前と同じような雰囲気を感じる。もしや俺と同じ世界から転移してきたり...なわけないか。
「ン...ダメ...とは言わないけド...」
「えっマジですか」
「マジなのサ」
「本当か。ありがたい」
「私はとあるコトが聞ければいいかラ。」
「とあるコト?」
「ハクト、こっちに来てくれル?」
「はい...」
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「ハクト、単刀直入に聞くわ。貴方、私と同じ世界から転移してきたわね?」
さっきのは演技だったのだろうか、話し方が変わった。なぜ演技をしていたのかはわからない。
にしても、やっぱりアオイも俺と同じ世界から来たってわけか。
「...そうですよ。」
「やっぱりそうだったのね。なんとなくそんな気がしたのよ。」
「それで...ほかに聞きたいことは....?」
「そうね。じゃあ、あなたの本名を教えて。」
「俺の本名は...」
「...?どうしたの?」
あれ?俺、自分の本名を忘れてた?
「俺の本名は和泉博人です。」
「そうなのね。私は高梨葵っていうの。よろしく。」
「あぁ...よろしくお願いします...」
「そんな堅苦しくしないで。タメ口で結構よ。」
「わかった...」
「それじゃあ、戻りましょう。」
――――――――――――――――――――――――――――――――――
「お、聞きたいことは聞き終わったか?」
「えぇ。それじゃあ、私は今日からハクトのパーティに入るワ。」
「そうか、ハクトのこと、キッチリみてやってくれ。」
「えぇ、任せてほしいワ。」
「それじゃあ...よろしく...」
「よろしくネ。ハクト。」
こうして高梨葵が仲間となってくれた。
本人曰く、アサシン的なことがが得意らしい。アサシンとか、ロマンだろ。カッコいい。
「ハクト、アオイ。君たちはまずはアイザン町北部にあるバラスト国へ行くといい。あそこなら
戦闘訓練場だったり市場とかもある。初級冒険者が結構集まる場所だ。」
「なるほど、ありがとうございます!えっと...バラスト国に行きたいんだけど、アオイはいいかな」
「バラスト国ね。わかったワ。行きましょう」
「よし。ならせっかくだし明日出発するのはどうだ?バラスト国はもうすぐ開国記念祭がある。」
「へぇ、開国記念祭ね...行ってみたいわね...」
「興味があるの?じゃあ早く行こう。」
「えぇ。あ、勿論ハクトも連れていくわヨ?」
「えっ」
「当然じゃないノ。」
「はい...」
「ハハッ。出会ってすぐなのに仲がいいんだなあ。」
「...そんなわけないじゃないの」
「ん~...」
「まぁいいか。とりあえず今日はもう休め。明日出発だからな!」
「はい!」
「わかったワ」
俺の次の目的地はバラスト国。
出発は明日。
そのためにも、今日は宿で休んで体力を回復することを決めた。




