間話12黄金郷の主、侵入者は許さない
暗闇と黄金の微粒子が舞う地下深廊。
仲間のコブラが放った断末魔を感じ取り、一人の女性が暗闇の中で目を見開いた。
「……殺された? 私の可愛い子を、あんな無残に」
その声は震えていた。悲しみではなく、煮えくり返るような猛烈な拒絶と殺意によって。
「許さない。絶対に許さない。私だけの、私とこの子たちだけの黄金郷に、汚らわしい足で踏み入るなんて……。殺す、殺すわ、一人残らず!」
彼女が身に纏う黄金の装飾品が、激しい感情に呼応してジャラジャラと不気味な音を立てる。
その殺気に当てられ、周囲に潜んでいた無数のゴースネたちは、主の逆鱗に触れぬよう一斉に身を竦ませた。
「行きなさい。侵入者の首を、あの子の供え物として持って来なさい。やり遂げた子には、滴るほど純度の高い金をたっぷり食べさせてあげるわ」
彼女の命令と共に、コブラたちは音もなく砂の中、あるいは壁の穴へと消えていった。
「殺す……私の金は、私のものよ。誰にも、一粒だって渡さない……」
女の独り言に答えるように、砂の底から地響きのような音が響く。
そこには、砂漠の生物とは到底思えない、異形の巨大な影があった。
針のような突起に覆われた醜悪な巨体。その頭部からは、四本の煙突のような肉の突起が天に向かって突き出している。
「ウヴァ……ウヴァ……ッ」
突起物から黄金の粉塵を排出しながら、その怪物は砂を割り、ゆっくりと、しかし確実に侵入者たちの元へと移動を開始した。
それはまさに、黄金に憑りつかれた狂気の象徴であった。




