28 題してッ!『妖魔封師 スノー❅ナイト』
こんにちは。こんばんは。
この作品は、性的表現。不適切。不快な表現が多々出て来るものと思われます。お読みになる方は、ご注意ください。
あと、ご容赦ください。
今回のお話は、前回からの続きとなります。
最後まで、お楽しみいただけたら幸いです。
「夜乃さん。夜乃さん?」
どこか、ぼやけた意識の中で友達の・・・友達?の声を認識した。
そうして、呼びかけてくる声に導かれるように、私は閉じていた目を開いた。
「あ、起きましたね! 修学旅行の目的地にもうすぐ到着しますよッ!」
私の数少ない友達の一人、玉谷筒美さんが大きな声で現状を教えてくれる。・・・けれど、修学旅行?
えーっと、修学・・・旅行?
「修学旅行ですか?」
その言葉に酷い違和感を覚えた私は、思わず聞き返していた。
ついさっきまで、私は・・・・・・どこに居たっけ? 車に乗って移動して・・・。
ざざぁん
わずかに部屋が揺れる。
地震のような揺れではなく、下から力強く持ち上げられてゆっくりと下る僅かな浮遊感を覚える。
「ああ、夜乃さん起きたのね?」
私の数少ない友達の一人、竜宮恵子さんが心配そうに歩み寄ってくると、その後ろから担任の先生もやってくる。
「あら? 夜乃ユキトさん。起きられましたね? 立てますか? ほら、せっかくの機会ですから、外を見てみるといいですよ」
担任である安納先生に手を引かれると・・・日光を照り返す波がキラキラと綺麗な景色が視界に入ってきた。
「フェリーに乗ってすぐにダウンされたので心配しましたけれど・・・波に揺られて吐き気があるようなら、ここから吐いても大丈夫・・・だと思います」
「いえ、さすがにそれは・・・トイレに行きますから」
仮に・・・外へ向けて吐いたりしたら、風に乗って誰かに掛かってしまうかもしれない。
いろんな人に迷惑をかけてしまう可能性がある以上・・・緊急事態でもない限りは、しっかりとトイレで吐くことにする。
「あー・・・安納先生」
「あら? スルメイ先生・・・どうかされました?」
学校では、隣の教室の担任を務めているベテラン教師のスルメイ先生がやってくる。
これに、安納先生は貼り付けたような笑顔で応対し、その言葉には研ぎ澄ましたような棘が仕込まれているように思えた。
「えー・・・いや、もうすぐ『えいろく島』に到着しますから、忘れ物など無いように注意を促してください」
「はい。では、すぐにやりましょうか」
下船の準備を促してくれる。
みんなが荷物をまとめ始めたのを見て、スルメイ先生と安納先生は二人で今後の予定を確認し始めた。
「もうすぐ到着、楽しみですね! これから行く離島『えいろく島』は、平安の末期に悪い鬼が逃げ込んで、コレを追いかけた陰陽師が討伐したっていう伝説があるらしいですよ!」
「え? パンフレットによると『妖魔封師』が悪鬼を封印した。って書いてあるけど?」
「おそらくは陰陽師の派生でしょう! オリジナリティを出すための小細工ですね!」
「いや、言い方・・・」
「のんのんのーん! 観光地としてのアピールをするなら、一風変わったアプローチは必要です! そんなエロゲのタイトルになりそうな『妖魔封師』なんて実在するわけないですってッ!」
「・・・はぁ、まぁいいわ」
「ほれほれ~。早く広げてた荷物を片づけないと~」
二人で修学旅行地となる『えいろく島』のパンフレットを確認しながら話に熱中しているところを、修学旅行で一緒の班になった運尾真澄さんが声を掛けて中断させる。
・・・ずっと無口だったから、居るのを忘れていた。
「運尾さんはどう思いますかッ!?」
「ん~。全部、霊能力者でよくな~い?」
「「あっはっはっはっはっはー♪」」
・・・ん? なんだろう。なんだか突然、違う人になったような喋り方を?
≪本日は、当フェリーをご利用いただきまして、誠にありがとうございます。まもなく、当フェリーは『えいろく島』に到着いたします。お降りの際は、お忘れ物などございませんよう・・・ご注意ください≫
アナウンスが聞こえたことで、私たちは持ち物の最終確認を行う。
これから修学旅行で訪れる島・・・『えいろく島』は、玉谷さんや竜宮さんが言う通りでパンフレットにも書かれているけれど、平安時代の末期頃に『悪鬼』が逃げ込んだ地。
コレを『妖魔封師』という陰陽師?が討伐するべく島にやってきたものの、討伐することはできずに封印した。とか、ガイドブックに載っている。
この『悪鬼』の封印を守るために建てられたのが『えいろく神社』であり・・・年に一度、陰陽師が悪鬼を封じた日に『再封印祭り』というお祭りが催されるとのこと。
今回の修学旅行は、この離島で暮らす人々の生活を学ぶことを目的としている。
けれど、みんなが楽しみにしているのは、綺麗と評判の海水浴場での自由時間だったりする。
もちろん、私も楽しみです。
▽
フェリーを降りて、各クラスの担任の先生方が生徒らに集まるように言う。
そして、同行している学年主任さんから注意事項を改めて全員に伝えられ、そうしてお世話になる旅館へと移動した。
到着した旅館は、老朽化により昭和時代の終わりごろに建て直されたらしく、令和の今となっては所々に補修された様子が見られる。
また、観光客の増加に伴い、コンクリート製の別館を増築したらしい。
この別館が、私たちの修学旅行にて泊まる施設になる。
階段を上りながら、私たちは海水浴場での自由時間にすることを話していた。
二泊三日の荷物を抱え、竜宮さん、玉谷さん、運尾さんと泊まる四人部屋を目指して移動する。
「よぉ、ユキト」
三階にある私たちの部屋を目指し、階段を上っていると・・・すでに自分の部屋に荷物を置いたのだろう男子グループから一人が私に声を掛けてきた。
とても、嫌な声だった。
「海水浴場での自由時間は、俺と一緒に泳ぐぞ。分かってるな?」
とても不愉快になる見下しながらの笑みに、私の怒りゲージにエネルギーがチャージされる。
この男子は、隣のクラスに居る不良男子くんで、入学式が終わったあとで急に私を呼び止めたと思ったら「俺の女になれ」と一方的な命令をしてきた。
もちろん、私は断ったけれど・・・私の意志など関係ない。というように、彼氏面をし続けて来る。
「は? なんでお前なんかと夜乃さんが一緒に泳ぐんです? 意味わかりませんねッ!?」
玉谷さんが前に出て、この怒りしか湧いてこない男子を睨みながら詰め寄る。
「意味わかんねぇのはおまえだッ! ブスッ!! 俺はユキトと話をしている! おまえみたいなキモオタブスに声なんてかけてねぇよ!!」
「夜乃さんはおまえの彼女じゃないんですよッ! なに勘違いしてんですか気持ち悪いッ!」
・・・私の入る隙間がないんですが。
と、私がオロオロしていると・・・不良男子くんが右拳を振り上げた。
そこに竜宮さんが素早く入り込んで、不良男子くんの右手首を掴むと捻り上げてから片足を蹴って膝を地に付けて転ばせる。
「さて、こいつどうしようか?」
「ここで手足をへし折って海に捨ててしまいましょうッ!」
「運ぶなら任せて~。得意なんだよね~」
「「人を運ぶのが得意なのッ!?」」
・・・あの、私が蚊帳の外になっているのですが。
あと、運尾さんて何者?
「そこのあなた達・・・問題を起こすなら島の漁船で強制退去になることは、忘れていませんね?」
安納先生が階段を上ってくると、私たちに忠告する。
けれど、竜宮さんと玉谷さんに絡まれている様子を目にして、少しだけ言葉を詰まらせていた。
「そんな話、初めて聞きましたがッ!?」
「さっき、学年主任が注意事項で話していたじゃないの」
「そうそう~。みんな、聞いてなかったもんね~」
「お、おい! いい加減に手を離せクソがッ!」
「うるさい。折るよ?」
「竜宮さん。折ったら強制退去です」
直後、竜宮さんは手を離して数歩下がる。
「クソがッ! 不意打ちとはやってくれたなッ!!」
悪態ついて、立ち上がった不良男子くんが拳を振り上げて竜宮さんへ殴りかかる。
「いい加減にしなさい」
安納先生が、不良男子くんの懐へと滑り込むように動くと、腕を鞭のように振るって拳を下顎に当てた。
と、不良男子くんは目を揺らして倒れ込む。
「おいおい? なにをさわい・・・あー」
騒ぎを聞いてやってきたスルメイ先生が現状を見ると、言葉を詰まらせて硬直する。
「スルメイ先生? あなたの担当生徒ですよ?」
「もうしわけない」
安納先生の殺気を込めた睨みに、スルメイ先生は冷や汗を浮かべながら謝る。
そして、不良男子くんの首根っこを掴むと、手足を引きずりながら連れて行った。
これに、彼と同じグループの男子たちも付き従って移動する。
私たちは、一息吐いてから安納先生にお礼を述べた。
「先生。ありがとうございました」
「いえ・・・毎度のこととはいえ、ああいう手合いは居なくならないから困ったモノです」
今日までにも、問題となる行動はいくつもやってきただろう不良男子くんだけど、それが問題として取り上げられることが無かったことを考えれば、普段は上手く隠しているということになる。
なら、この修学旅行で島からの強制退去は避けたいはずだけど、竜宮さんにしてやられたことが悔しかったのかな?
とはいえ、先生方が見たのは不良男子くんを力づくで土下座させている竜宮さんと玉谷さんという構図なので、今回の件で彼を強制退去させるのは無理だろう。とのこと。
「先生が居れば、あんなの怖くないですねッ」
「残念ですが、班別行動までは目を光らせておけません。あなた達も、十分に気を付けて行動してくださいね?」
そうして、私たちは荷物を部屋に置いて旅館を出た。
▽
パンフレットにも記載されているのだけど、この島の規則として・・・入島した日に神社へとご挨拶しないと不幸な目に遭う。という。
例えば、おサイフを落す。ピアスを片方無くす。結婚指輪を紛失する。などなど・・・地味に精神的なダメージが大きそうな事柄が発生しやすいらしい。
だから、島へ到着したら神社へ参拝するのが、この島のルールになっている。
そのために、私たちは荷物を置いてすぐさま旅館を出て神社を目指しているのだけれど・・・。
「はぁ・・・はぁ・・・ん、はぁ・・・」
神社へ向かう石畳の道を歩き、石材を積み上げた階段を上る中で・・・私は息切れしていた。
全身が重い・・・それに、身体の内側から鈍い痛みが広がって、体温が上昇していることで汗が出てくる。
「大丈夫ですか?」
玉谷さんが私の手を取って聞いてくれるので、私は笑顔を作って「大丈夫」と答える。
けれど、どうしたことか?
体はどんどんとツラくなっていき・・・風邪をひいてしまったのだろうか?
玉谷さんと運尾さんが手を貸してくれたことで、どうにか神社へと辿り着けた・・・二人とも、ありがとう。
そして、先行して待っていた竜宮さんが、パンフレットを片手に教えてくれる。
「まずはそこの門となる鳥居前で一礼するそうよ」
と、パンフレットに記載された『参拝ルール』という項目を見せてくれる。
「・・・メンドクサイですね」
「あ~・・・でも、財布とか落としたくないしね~」
ということで、私たちはパンフレットに記載されている通りに参拝の手順を消化することに。
先に来ていた同級生たちも、順番待ちをしながら面倒くさいと愚痴を溢しつつパンフレット通りに参拝をしていく。
この待ち時間に、私の体調は悪化していった。
すでに、全身へ痛みが響くようになっており・・・立っているのもツラい。
ベンチに座って、同級生たちの参拝が終わるのを待ち・・・そうして、私たちだけになったところで参道を通ってご神前へ。
玉谷さんと運尾さんに支えてもらわないと、歩くのもおぼつかなくなっている。
竜宮さんにパンフレットに書かれている手順を読んでもらい、私たちはその手順通りに拝礼を消化する。
そうして、最後に深いお辞儀をして拝礼を終えた・・・時だった。
[ほぉ・・・これは素晴らしい『光』だ]
何か・・・テレビなどで音声加工された時の野太い声が響くと・・・一陣の風が吹き抜けていく。
[長き眠りの果てに、ようやくと現れてくれたかッ! 現代の『妖魔封師』よッ!!]
何か、ゾワゾワとする嫌な圧が神社から周囲へと広がっていく。
同時に、私の胸元より唐突に光が発生して、私を中心に竜宮さん、玉谷さん、運尾さんを包むようにして光の膜のようなモノが展開された。
「え? なによこれ?」
「なんかのイベントかな~?」
「ふぅむ・・・コレはいわゆる『結界』ですねッ! 定番で言えば、突発的な邪気に反応した防衛本能が起動しているって感じですかねッ!」
竜宮さんが戸惑い、運尾さんがのほほんと感想を述べる中・・・玉谷さんだけが熱の籠った解説を始めてくれた。
「パンフレットに載っていた『悪鬼』封印が事実なのだとすれば、コレはおそらく長き封印が弱まったことで、封じられた悪鬼が目覚めたのですッ! しかし、そこにかつて悪鬼を封じた『妖魔封師』とかいう陰陽師みたいな感じに似た力を持つ者が現れた! それが夜乃さん!ってことではないでしょうかッ!?」
パンフレットを握り潰すほどに手に力が入り、それと同じぐらいの力説をしてくれる玉谷さん。
[あ、えっと・・・説明をありがとう。娘よ・・・」
これには機械加工された野太い声の人も、戸惑ってしまっているようで・・・。
[えーっと、ご紹介に預かりまして、私が平安時代の末期にこの地で封印された『悪鬼』である。長き眠りの中で、我が肉体は朽ちてしまったので・・・あ、違うな。えーっと、何ページだったっけ?]
[ウミ姉さん。もうこの辺は飛ばして、こっちから始めちゃえばよくない?]
急に機械加工されていた声が女性のモノに変わってしまうと、なにやら台本を確認しているような様子に変わった。
あと、別の女性・・・少々幼さの残る声の子が加わった?
[なるほど、テルの言うと通りね。それで行きましょう・・・おっほん。長き眠りによって我が肉体は朽ち果てたのだが、今日という日にやってきた新たなる『妖魔封師』よ。我が現代に復活するための新たな肉体を産む栄誉を与えよう! くっくっくっく]
・・・・・・・これは? つまり、島のお祭りに関する予行演習みたいな?感じなのかな?
それにしては、何かがオカシイ。
私たちのような修学旅行生にするようなことではない気がする。
「なるほど!」
この状況を、どのように解釈するべきか?っと、考えていたら・・・玉谷さんがさらに一歩前に出て握り潰したパンフレットを掲げながら叫ぶように力説し始めた。
「 かつて『悪鬼』を封じた『妖魔封師』の封印は月日の経過で弱まり! 肉体は朽ちてしまって残ったのは『魂』のみということですねッ!! だから、現代の『妖魔封師』に己の新たな肉体を産ませよう!っと、それが『夜乃ユキト』さんということですかッ!? なんだか、とってもエッチなゲームの導入みたいではありませんかッ!? そういう事なら、次は夜乃さんが戦闘コスチュームに『変身』する展開となるはず!! 話の様子から、どんなエッチなコスとなるやら・・・さぁ! 早く!! 夜乃さんを『変身ヒロイン』にしてくださいッ!!」
・・・。
・・・・・・。
・・・どうしよう?
・・・まずは玉谷さんに静かにしてもらうよう説得するのが先だろうか?
[ちょ・・・なんなのこの子?」
[うーん・・・オタク?]
[オタクってだけで、勝手に話を進められるものなの?]
[アドリブされると対応するのって難しいよね]
[巫女様の添え物として使うにしても、扱いづらいんじゃ台本通りに進められないわ」
[えーっと、さっきのアドリブで2ページ分はスキップしてるから・・・]
[あ、じゃあここから再開すればいいわね・・・おっほん。ふはっはっはっは! お前たちが何をしようと無駄よ。我が肉体は朽ち果てたが、朽ちた肉体は瘴気となって島を覆い、地も海も汚染済みである。この地に住まう人間さえもな! 新たなる『妖魔封師』よ。貴様に逃げ道などないぞッ!]
なにがなんでも、話を進めようとするようですね・・・。
すると、神社の奥。
詳しくはないけれど、祭壇の一番上に置かれた宝珠?と思われる宝石が光り輝いた時に〔そうはさせ〕までは聞こえた気がしたのだけれど・・・。
〔そうはさせ――――
「分かりましたよ悪鬼さん!! 昔から、変身ヒロインには変身を促すマスコットキャラというモノが居たりすることが多いですからね!! ここで、夜乃さんを変身させる魔法生物が登場するって感じなんですね! さっそくおいでくださいマスコットキャラ! そして夜乃さんをエロカッコいい『変身ヒロイン』にしてくださいなッ!!」
玉谷さんが眩しいほどに眼を輝かせて、それはもう熱の籠った解説をしてくれたので、色々と台無しになっている。
そして、私は神社の祭壇を再度確認する・・・と、祭壇横にマイクを手にした巫女服姿の女性がこちらを覗きこんでいた。
と、さらに二人ほど顔を出してこちらを覗きこんでくる。
〔なんなのあの子・・・さっきから台本を無視してアドリブばっかり・・・〕
[いくらなんでも、滅茶苦茶よね・・・男爵様は対処してくれないのかな?]
[あ、男爵さまから連絡。ちょっとヤボ用を片づけてた。ってさ・・・今、対処するって]
「ほげッ!!」
突然のことだった。
さっきまで目をキラキラに輝かせていた玉谷さんが、妙な声を発した直後に白目を剥いて動かなくなる。
同時に、竜宮さんと運尾さんも瞳からハイライトが失せて、マネキン人形のようになってしまった。
周囲を見回せば、不穏な空気も停止しており・・・状況の異様さだけが際立っていく。
{いやぁ、申し訳ありませんね}
そんな言葉と共に、神社の祭壇裏からひょいッと妙な恰好の男性が現れる。
〔あ、男爵さま・・・申し訳ありません。巫女様の友人ポジキャラに引っ掻き回されてしまい・・・〕
祭壇横からこちらを覗きこんでいた三人の女性は、全員が巫女服姿をしているけれど、その中でも一番大人びた姿をした女性が、頭に古い時代のカメラ・・・木製の・・・そう木箱にレンズ?を取り付けたようなモノを頭に被って、スーツ姿・・・いや、喪服に身を包んだ男性に頭を下げている。
{構いませんよ。私の方で野暮用ができてしまったので、自動に切り替えてしまったのが問題でしょう。イデスバリー光の抑制により、精神干渉への防御が弱まったとはいえ・・・そこはイデスバリー戦士。私の操作が弱まったことで抵抗を強めたのでしょう}
・・・イデスバリー。
そうだ・・・イデスバリーッ!
〔では、どの辺りからやり直しましょうか?〕
{ふぅむ・・・ちょっと失礼・・・あぁ、10ページ近くスキップしたのですねぇ・・・しかし、なかなか癖の強いイデスバリー戦士のようだ。巫女様の友人ポジで配置しましたが、背景キャラにしておけばよかったかもですね}
気をしっかり持て・・・私は、修学旅行になんて来ていない。
ここは、学校の行事で訪れた離島でもなんでもない。
[では、悪鬼の自己紹介辺りから撮影し直す。ということで、よろしいでしょうか?]
{そうですね・・・その前に、巫女様とお話をせねばなりませんね}
[・・・なぜです?]
{君たち、気付きませんか? 巫女様の様子・・・迂闊でした。彼女はかつてのイデスバリー戦士よりも『光』が強い}
〔・・・あッ! まさか、男爵様の洗脳がッ!?〕
{えぇ・・・絶たれました}
気づかれたッ!?
これ以上は様子を見ていられない。
だから私は、自身を守るため・・・このダンジョン・フィールドで戦うために『変身』した。
「イデスバリーッ!!」
変身を終え、即座に腰に提げた刀を抜き放って神社内に居る妖怪人と三人の巫女服姿をした女性らに、刃を向ける。
と、神社より三人の巫女と妖怪人が出て来る。
{命の巫女様・・・まずは自己紹介からさせてもらっても構いませんか?}
頭に古い木製のカメラ・・・いや、もっと分かりやすいイメージなら『映画〇棒』モドキの妖怪人という方がしっくりくる。
そんな妖怪人から、自己紹介をさせて欲しいと言われた。
「・・・ど、どうぞ」
ここで自己紹介を拒否したとしても、戦えるのは私一人・・・多勢に無勢であるのだから、事態が好転することを期待して時間稼ぎをする以外にできることがない。
{ありがとうございます。では、あなた達から・・・我が『エーロック・ビデオ』の主演女優と共演予定のあなた達から自己紹介をしてください}
・・・ぅん? 『エーロック・ビデオの主演女優』?って?
私が戸惑っていると、三人の巫女服姿をした女性らの一人が前に出る。
手に持っていたマイクの電源をOFFにして、一度咳払いした。
「改めまして。私は、男爵様直属の人造人間が一体。名を『星野ヒカリ』と申します。作品内では『妖魔封師 スター・ライト』役を担当させてもらいます。よろしくお願いします」
・・・??
一人目は長女?で、茶髪のロングヘアにスタイル抜群というまさに言葉通りの『美女』だけれど、男爵様直属のホムンクルス? 妖魔封師 スター・ライト?
「次は私です。ヒカリ姉さん同様、男爵様直属の人造人間が一体。名を『青井ウミ』と申します。作品内では『妖魔封師 ブルー・マリン』役を担当させてもらいます。よろしくお願いします」
・・・???
二人目は次女?って感じで、高校生の平均的な体形をしているように見える・・・けれど、この人もホムンクルスで? 妖魔封師 ブルー・マリン?
「最後。ヒカリ姉さん、ウミ姉さんと同じく、男爵様直属の人造人間が一体。名を『日向テル』と申します。作品内では『妖魔封師 サン・シャイン』役を担当させてもらいます。よろしくー」
・・・・????
三人目は三女?という雰囲気だけど、どこか気だるげな顔つきには幼さが見え、中学一年生か小学校高学年くらいに見える。
それが? やっぱりホムンクルスで? 妖魔封師 サン・シャインで?
{そして、ご紹介に預かりました男爵ッ! そう!! 何を隠そう、私こそが当ダンジョン・フィールド『男爵領』の領主にしてダンジョン・コア! 名を『エーロック』と申します。そして皆が私をこう呼びます。『エーロック男爵』とッ!!}
・・・エーロック・・・男爵・・・ですか。
・・・ど、どうしようか。
なんだかもう、理解が追い付かない情報の数がお出しされて、何から確認していくべきなのか。
いや、まず確認するべきなのは・・・。
「エーロック・ビデオ。ってなんですか?」
・・・いや、コレを一番に確認してどうするの? 私。
{ふふふ。さすが巫女様お目が高い。『エーロック・ビデオ。』それは、未だかつて人類が挑戦できずにある『実写ファンタジー』のオリジナル・H・ビデオの新ジャンル名となる予定のビデオでございます!}
・・・。
・・・・・つまり、自分の名前が入ったブランドを作りたいと。
・・・ん? 今、オリジナル・エイチ・ビデオって言った?
{やはり、小道具やCG等を使わず、全てを実物のクリーチャーで作り上げたい。という野望に目覚め時、私は気づいたのです。このダンジョン・フィールド『男爵領』ならば、それが出来るのではないかッ! 屈強なクリーチャーに蹂躙されるヒロインの姿も! 悍ましい触手モンスターに絡めとられるヒロインの姿も! 全部! ダンジョン内なら小細工無しで撮影できるんじゃないかッ!!っと!! 考え付いた時に目覚めた我が野望!! そのために整えました『男爵領』はッ!! 我が『エーロック・ビデオ』の撮影スタジオとして生まれ変わったのでございますぅぅぅ!!!}
・・・。
・・・・・・。
・・・・・・・・・。
「・・・・・・・・・エーロック・ビデオの主演女優って、つまり・・・」
{はいッ! 成人指定。18歳未満は見てはいけない大変エェェェロックなビデオの主演を!! 命の巫女たるあなた様にッ!!}
わ、私が・・・アダルトなビデオの・・・主演女優ッ!?
{題してッ!『妖魔封師 スノー・ナイト』で、ございますッ!!}
「んぐはッ」
{巫女様ぁぁぁぁぁあああああ!!!!!??????}
あぁ・・・なんて、ことだろう・・・。
わ、わたし・・・転生してから・・・こんなこと、ばっか・・・り――――。
次回は、人造人間だって憂鬱。を予定しています。
エーロック男爵は、ヨーロッパのとある貴族の古いカメラが付喪神となり、写真の悪魔になった。という設定です。
また、カメラという概念を持つ物ならばなんでも取り込めるので、常に最新鋭のカメラを取り込んで自己強化を図り、数多のイデスバリー戦士を好き放題撮影してはポイ捨てしたことで強くなった西洋悪魔。という設定です。
現在は日本に滞在しているので、日本風に『妖怪人』を自称しています。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。




