表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/30

26 イデスバリーな地球人の良き隣人?

こんにちは。こんばんは。


今回のお話は、元々25話として作っていたモノとなります。

作っている途中で、先に妖怪人関係の説明を兼ねた話をした方がいい。と思い、順番を変えました。


最後までお楽しみいただけたら、幸いです。

 秘密結社メシア日本・東京支社。


 その中にあるメディカルセンターの病室にて、私は天井をジッと見つめながらベッドに身体を預けていた。

 まだ、身体のあちらこちらにセンサーなどを貼り付けられており、容体が急変した場合に警報が鳴るよう・・・ベッドの左右には医療関係のドラマで見た事のある機械がズラッと並んでいた。


 つい昨日くらいは、車椅子でメディカルセンター内を散歩できたというのに・・・どうしてこうなった?


 思い返せば・・・本当に短い期間で色々な事が起こり過ぎているため、もはや私は一つ一つを丁寧に思い出すのも大変だ。

 とりあえず、直近の出来事で考えると・・・。


 怪異の一種となる憑依霊。

 ウイスと呼ばれていた年若い男性に憑依していた霊を筆頭とする敵からの襲撃を受けた翌日・・・その男性が水死体となって発見されたことが発端となる。

 殺人事件として、警察が捜査した結果・・・私に事情聴取をするためやってきた。

 なんで!?っと、困惑したものの・・・どうやら彼はタクシーの運転手と私に関する話をしていたようで、ドライブレコーダーに録画されていたらしい。


 ・・・私がまったく知らないところで、事件は起きていた。ということを知った。


 憑依霊たちの襲撃により発生したダンジョン・フィールドにて負った怪我の治療中にあった私は・・・秘密結社メシア内のメディカルセンターから、外へ出る際に変身を解いた。

 これにより、ジワジワと傷が開いてしまい・・・。


 いや、原因はもう一つ・・・『食育戦隊 メシウンマー』計画・・・。


 警察の事情聴取を、東京支社の支社長である紅葉朱雀さんの機転で乗り切る事ができたのは、良かったと思う・・・のだけど。

 これによって、社員としての私の仕事内容は・・・『食育戦隊 メシウンマー』というヒーローショーの悪役『メシマンズー・ナイトメア』だった。


 憑依霊の夢毒による精神汚染から、自分の精神防衛のために構築されたヒーローショー『秘密戦隊 メシウンマー』を報告したことで・・・なぜか食品部門の新企画に採用されてしまったらしいぃ。

 なんで、そんな、ことになるの・・・。


 こうして、精神的ストレスと傷が開いたことで・・・私は血を吐いて気絶した。


「どうして、こうなったのかなぁ・・・」

「支社長が話を長引かせてしまったことが、一番の原因ですねぇ~」


 看護師さんと目が合った。

 いや、正確には私を覗き込んできた看護師さんと、目が合った。

 ・・・私は、ニコッと笑顔を作ってみる。


「お、おはようございます」

「はい。おはようございます。検温しますね~」


 慣れた手つきで私の状態を確認し、手にしているクリップバインダーを開いて、胸元のポケットにあるペンを手に取り、記録表?と思われる紙に書き込む。


「それにしても、災難でしたね。順調に回復していたというのに・・・」

「・・・はい、またこうしてベッドの上で機械に囲まれることになりました」


 刑事さんが去ったあと、すぐさま秘密結社内のメディカルセンターに運び込まれた私は、気絶している状態になっていたものの・・・一時的? いや、一瞬だけ意識が戻ったようで運よく変身することができたらしい。

 ・・・なんとなく『変身するんよー』という声が聞こえたような?気がしたけれど。


「ええ、本当に・・・ダンジョン・フィールドから生還した日に比べれば軽傷ですけれど、本当にあの時の状態は酷かったですからね」

「・・・らしいですね」


 ダンジョン・フィールド『霊園地』から帰還できたあの日・・・私が担ぎ込まれた時はメディカルセンターが大騒ぎになったという。

 ・・・モザイクを掛けないとテレビには映せないだろう具合だったらしい。とくに手足が。


「失礼を承知で言いますが・・・私、現行型のイデスバリーで良かったと改めて思いましたッ」

「・・・・・・ですよねー」


 私の身体から異世界人の使うイデスバリー特有の何か?が放出されている?らしく、それを『光』として認識しているために、どこに隠れていても怪異は襲い掛かってくる。

 大昔は、毎日が怪異との戦いだったというから、その『光』を抑制する措置が施された。

 今からでも、『光』を抑制できないものだろうか。


 ・・・そういえば、『霊園地』に居た狸妖怪人の のれん という妖怪は、私をどうするつもりだったのだろうか?

 霊たちと同じで、生者への転生を狙っていたのだろうか?



ばぁあん!!



「ッ!?」

 唐突に鳴り響く炸裂音・・・に似た音が室内に響く。

 これに驚く私は、すぐに病室の入り口へと視線を向けるのだけど・・・ちょっと体を起こすことができないので、何が起きたのか分からずに焦りを覚えた。


「ナイトメアさん! 夜乃ユキトさんッ! 突然のお見舞いに失礼しますこんにちはッ!!」


 あ、この声はラナタスカさんですね。

 うん。なにも焦ることは無いようです。


〔初めましてのこんにちはとこんばんはッ!? イデスバリーな地球人と良き隣人のヌイグルミなアバターで恐縮ですますおつかれさまですッ! キャジーもお見舞いに便乗しましたお邪魔しますッ!!〕


 だれッ!?


「そこの騒音二人。静かにオネガイシマス・・・ね?」

「・・・はい」

〔・・・はい〕


 あ、静かになった。


 看護師さんの威圧を受けて、大きな声が病室内に響いていたけれど・・・瞬く間に消える。

 と、ベッド横にあるリモコンを手にすると、リクライニングベッドを操作して私の上体をゆっくりと起こし始めてくれた。


「申し訳ありません。やっと退院できたのでテンションが上がり過ぎました」

〔申し訳ない。今、異世界で注目度ナンバーワンの新キャラクター『イデスバリー・ナイトメア』さんに会えると思ったら、テンションマシマシボイス大盛になっていましたことを謝罪します〕


 ・・・えーっと?

 リクライニングベッドのおかげで、上体を起こすことができたため・・・とりあえず、二人の姿を確認することができた。

 病室入口でしょんぼりとしているのは、二十代後半くらい?の女性と異世界人アバターのヌイグルミだ。

 

 女性は、とても溌剌とした雰囲気が良く似合う顔立ちをしており、髪型はショートヘア。

 特に身体を鍛えているようには見えないので、平均的な体形をしていると思われる。

 服装は、ジャージの上下セットで靴はスニーカー・・・運動前なのかな?と思うけれど、着こなしているように見えるので、まさか普段着?だったり?

 少なくとも、オシャレには何の興味も無い。という雰囲気だけは伝わってくる。


「ぅおッ!? なんだかゴッツい医療器械がベッド左右を陣取っていますね・・・まさかまだ、お加減がよろしくないのでしょうか?」


 改めて私の様子を見たラナタスカさん・・・ラナタスカさんだよね? 人間姿だからちょっと不安になるけど。

 とりあえず、ラナタスカさんは私を見て・・・私の身体に繋がっている配線などを見て、そしてベッド左右にある機械を見て顔を青ざめさせた。


「つい昨日に、ちょっと変身を解いて外に出たのですが・・・治り始めていた傷が開いてしまったので」

 私が、この状態になった理由を端的に説明する。

 と・・・。


〔ああ、確か水死体事件の捜査ということで、警察署の刑事が事情聴取?に訪ねてきたと聞きました。あなたにだったのですね? やはり! 取調室という密室で、それはもう非人道的な尋問をされたのでしょうか!?〕


 ・・・何を言っているんだろうか? このアバターさんは。


「キャジー。落ち着いて! 刑事が出向いて来たのであれば、表の会社に取調室などはありません! 刑事ドラマみたいな事は早々にできませんよ!」

〔なるほど! これはウッカリ八幡宮です! 〕

「いや、そこは八兵衛なのでは?」

〔え? そんな名前でしたか? 八幡宮 常清だったと思うのですが?〕

「むしろそっちの方が誰ですかッ!?」

 

 ・・・えーっと、そういうコンビなのかな? この人たち。


「あの・・・ラナタスカさん。ですよね?」


 なんだか二人で会話が止まらなくなりそうなので、私は確認するためにもラナタスカさんであるかどうかを尋ねる。


「あ。そうでしたそうでした。変身を解いた姿でお会いするのは初めてですね!」


 そうですね。


「改めて自己紹介させてください! イデスバリー・ラナタスカこと、『玉谷筒美たまやつつみ』と申します! 表向きの会社では、服飾部門にて衣装作りをしているんですよ♪」


 玉谷筒美さん・・・なるほど、バズーカ系の武器を扱うのも頷ける名前ですね。

 それに、服飾部門で衣装作りをしている・・・って? 失礼ながら、そうは見えない。

 

〔私も自己紹介をさせてください〕


 そういうと、なにやらヌイグルミアバターが妙な動きをし始めた。


〔我が名は『キャジー』ッ! 異世界より同胞をサルベージするべく、異世界調査隊に参加するバース・パーソン・プレイヤーッ! イデスバリー・ラナタスカの相棒であり、この度! 長期出張から無事に帰還し、めでたくバース・パーソンに復帰した異世界人なり!!〕


 ・・・それ、妙なポーズを取りながら言う事でしょうか?


「おお~! 決まりましたね! キャジーッ!」

〔やりました! やりましたよラナタスカッ! 中二病自己紹介の練習をしていてよかったですよッ!!〕


 二人は「わ~ぁ♡」な感じで抱き合って、積み重ねてきた努力が実った。という様子で感動し合っていた。

 そして、私と看護師さんは無表情で二人を見つめる。


「それで? 二人は何をされに来たのですか?」

「〔お見舞いですッ!!〕」


 ・・・。

 ・・・・・。

 ・・・そうでした。 


〔い、いやぁ~・・・あはは。申し訳ない。話題の新キャラクターであるあなたに、こうしてお会いできたことが嬉しすぎて、もうテンションがうなぎ登りの鯉のぼりになっていましたッ!〕


 テンションの上がり方が異常としか思えないですね・・・。

 いや、それよりも・・・。


「あの、話題の新キャラクター・・・というのは? 私、のことですか?」

〔その通りです!〕


 そうなんだ・・・えーっと、話題?


〔今、私たちの世界では! イデスバリー・ナイトメアさんの注目度が急上昇! ワード検索トレンド入り! 人気爆発バンババーン!〕


 変な薬を飲んでいたりしませんか?


〔あなたも説明は受けていると思いますが、我々バース・パーソンは異世界の一般人が参加しています。というのも、異世界調査隊による地球調査は人手不足で難航し、さらには同胞が地球にてイデスバリーしたことで怪異となり襲い掛かってくるために回収作業はひと苦労・・・〕


 ヌイグルミが、コロコロと表情を変えて力説し、握り拳を作って震わせる。


〔コレを打破するべく! 異世界調査隊が実行したのが、一般参加によるイデスバリー戦士の増員増強計画なのです! これにより、異世界人とのコミュニケーションが取れる者を審査し、一定水準に達したものにバース・パーソンとして参加する認可証が出るのです! 私も! これの第一次応募に全力を投じ! そして数千兆人の競合を勝ち残って参加したのでございますです!! 異世界! 行きたい! この想いを! 我がパッションセッショングッコンディション!!で挑んだ結果の大勝利ッ!!〕

 

「ラナタスカさん・・・」

「すみません。キャジーは興奮すると、ノンストップで喋り続けます」


 やっぱり、そうなんだ・・・。


〔仕事との両立は大変でしたが、これほどにやりがいのある趣味は無し! ゲーム感覚で地球人からしたらふざけているようにも見えるでしょうが、世界中にイデスバリー戦士を配置するための人員を雇用する事などできませんからね! この手法は画期的であり合理的! 思いついても実行するか普通!?って驚くばかりで賞賛然り! 運営凄すぎるでしょ!? この異世界調査隊はすでに数万年も続くロングベストセラーゲームなのですよ!? 伝説を通り越えて神話クラスのコンテンツなのです!!〕


 ・・・本当にずっと喋り続けている。


〔それというのも、地球人が100年で亡くなり、新たなイデスバリー戦士が再誕するのでキャラクターの入れ替えが割と早くッ! 時代によって特徴的な変身が見られるためにバリエーションには事欠かない! そして文明が見る見る成長していく様子は、育成ゲームにも通じているためになんだかんだで楽しいコンテンツは目白押し!! 次はどの子をイデスバリーしようかな?って、じっくり選ぶのもまたいいのです! 話が合う子と変身した姿を妄想し、設定し、そして共に怪異と戦い抜くことで深まる絆に感涙するしかないリアル!〕


 ・・・どうしよう。本当に、止める間がない。


〔仕事で席を外している間に起こる緊急クエスト! 気づけば我が相棒が怪異に食われていた時の絶望から突然の別れに慟哭不可避! 一時停止など存在しないリアルな日常が過ぎていく圧倒的なライフサイクルに没頭するプレイヤーは増加する! これが掲示板に書き込まれ、メディアに報じられ、第二次、第三次、第四次と応募者は増え続け、今や世界中にイデスバリー戦士は配置できたのですッ! それらを取りまとめるための秘密結社! かっこいい! 秘密結社! なんて甘美な響きをしているのかッ!!〕


 ・・・話が脱線しているけれど、どうしよう?


〔しかし! 怪異に襲われる原因が『イデスバリー光』にあることが判明し! イデスバリーが改良されると、それまでの人気に陰りが差したのです!〕


 ・・・話の流れが急に変わった?


〔怪異がイデスバリー戦士を探すための目印・・・『光』を抑制することに成功すると、それまでに頻発していた怪異による襲撃は次第に減少し、今やたまに発生するフィールドの対処で戦闘するぐらいとなってしまったことで、多くのプレイヤーが退屈を感じるようになりました〕


 ネットゲーム感覚で参加していた人達からすれば、クエストなどの発生頻度が下がると退屈にもなるか。


〔次第に、別のゲームへ移ったりする者が増え・・・異世界調査隊に『活動休止』の申請をせずに去っていく者は後を絶ちません。現在では、バース・パーソンが不在となった戦士は相当数になりまして・・・放置アバターの保管庫にはアカウント停止処理されたプレイヤーの数だけ保管されているのです〕


 ・・・そういえば、あまり異世界人のアバターとは会ってない。


〔しかし。しッかッしッ!!〕


 きゅ、急にテンションがッ!?


〔そんな異世界調査隊の現在にッ! まさに戦略兵器級の特大爆撃が起こりましたッ!! それがッ! イデスバリー・ナイトメアこと、夜乃ユキトさんッ!! あなたですッ!!! あッ! なッ! たッ! なのですッ!!〕


 わ、私ッ!?


〔あなたの異常な規模で生じたイデスバリー。これによって、イデスバリー戦士を見つけることができずに活動休止状態にあった怪異達が一斉に活動を再開させ! 世界中の怪異が、ここ日本を目指して大移動を始めているのです!!〕


 は?


〔同時に! 大移動に伴って発生しているウィアード・フィールドの対処には、世界中の秘密結社メシアが対応に追われており、緊急クエストが頻発しているのですよッ!!〕


 シェルさん!? そんなこと一言も教えてくれてないですよッ!!?


〔中でも!! 日本の秘密結社メシア! そう! ココでは!! 憑依霊たちが支社を襲撃するという前代未聞の事態まで発生している! 配信されている再現クエストをプレイしてみましたが・・・ヤバい! メッチャ興奮しました!! 各段に強い憑依霊が大暴れしていて、並みの戦士ではどうしようもないことに興奮を抑えられません!! 怪獣怪異の対処に追われて、上位戦力が出払っていたのもありますが・・・まさかイデスバリー・カマイタチが負けるとは!! ここ東京支社でも最上位戦力の一人だと言うのに! マジの激熱激闘に、我々プレイヤーは絶叫しました!! コレを待っていたんだッ!!! 〕


 ・・・。

 ・・・・・・。

 ・・・いや、当事者である私たちからしたら、命がけの戦いだったわけで。

 いや、いやいや・・・確かに、ゲームとしてみればキャジーさんのような反応になるのは否定できないことだけど。


〔ここからさらに一週間ほどで、またも東京支社は襲撃を受けた! 狙いはあなた!! そしてまんまと外へ連れ出され、発生する『ダンジョン・フィールド』!! こうしている場合じゃない!! 別ゲーを遊んでいる場合じゃねぇえ!! 多くのプレイヤーが! そして放置していたアバターへと再ログインを実行しッ!!! 『このアカウントは凍結されました』という一文にぅああああああああああああああああああッ〕


 ・・・。


〔ちなみに、私は仕事で長期出張することになったので、異世界調査隊のガイドラインに従って『活動休止申請』をしっかりと提出しておいたので、こうして復帰手続きはスムーズに終了し、この度! 復帰したのでございます!!〕

「よかったですね! キャジー♪」


〔バース・パーソンへのアクセス筐体が出張先まで持って行けたら良かったんですがッ!! 出来ないために三年も離脱してしまって、本当に申し訳なかったですッ!!〕


「キャジーッ!」

〔ラナタスカッ!!〕


 そうして、二人は堅い絆で抱きしめ合う・・・というコントにも見える。


「あなたのために三年分のアニメを録画し、コミケなどで同人誌を可能な限りで買い集めておきましたよッ!」

「ら、らら、ラナタスカーッ!! あなたって人はぁあ!!! 最高だッ!!!!」


 ・・・やっぱりコントをしてますよね?


 私は、看護師さんを見る。

 ゴミを見るような目で、二人を見ている看護師さんが居たけれど・・・私は見なかったことにした。


「と、ところで? 長期出張とのことですけど・・・どちらに行かれていたのですか?」


 私が、話を変えようと思って尋ねてみると・・・。


〔特に面白みのない話ですが、少し前に開拓された資源惑星にて・・・未確認人類種と思われる文明跡が見つかったので、その調査のために現地入りしていたのです〕


 そっちの方が面白そうなんですがッ!?

 開拓された資源惑星。もうこれだけで、多くの人がロマンを感じると思うのですがッ!?


 だけど、キャジーという異世界人には特に珍しいものではないようで・・・私がロマンというものを感じている一方で、資源惑星の話しをする声は冷めていた。

 地球と彼らの世界では、ここまで違っているようだ。


〔―――という具合に、発見された遺跡を保護したい協会と・・・資源採掘を進めたい企業で争いだして大変だったのです。その辺の調整がスムーズに済んでいれば、最短でも一年ほど終わるはずでしたのに〕

「地球でも似たような事は多々ありますねぇ~」

〔世界は違えど、人間のやることに大差はないようですねぇ~〕

「〔あははははははははははは!〕」


 ・・・。

 ・・・・・・それでいいのかな?


〔ところで、肝心な事を聞き忘れていましたッ!〕


 キャジーさんが思い出したように声を弾ませると、そして言う。


〔イデスバリー・ナイトメア。尋問中フィギュアの制作状況はどのようになっているのでしょうかッ!?〕



「んぐはッ」

ビーッ

びょびょびょびょびょびょ

ぶーぁぶーぁぶーぁぶーぁ

非常事態発生。非常事態発生。非常事態発生。

きゅあんきゅあんきゅあんきゅあんきゅあんきゅあんきゅあん



「ユキトさんッ!!?」

〔へぁ!? 吐血ッ!! ナンデトケツッ!?〕


 不意打ち過ぎて、身構えていませんでしたぁぁぁ・・・。 






「えーっと、ですね・・・キャジー。とても残念なことですが、くだんのフィギュア制作はシェルさんの一声で叩き潰されたのです」

〔ぁ――――――――ッ!!!!????〕


 病室の端で体育座りをしながら、ラナタスカさんの上に乗っているキャジーさんのアバターが・・・そして電池の切れた人形のように動かなくなった。

 けれど、次の瞬間にはブルブルと震動を始めたので・・・バイブレーションで号泣を表現しているのかどうかは、分からない。


〔なんということでしょうか・・・出張中の楽しみに携帯ゲーム機や地球産の漫画データを記録した端末に、異世界調査隊掲示板というネット掲示板を覗いたりしたのですが・・・その掲示板に書き込まれていたのです・・・『イデスバリー・ナイトメア。尋問中フィギュア』制作中。という情報が〕


 そんな情報が書き込まれていたんですか・・・。


 私の身体に繋がっているセンサーが一斉に反応したことで、医師せんせい方に増援の看護師さんが駆けこんできて、素早く措置をしてくれた。

 おかげさまで大事にならずに回復できたことを感謝した。

 

〔もちろん・・・その情報が書き込まれた頃は、まだ『イデスバリー・ナイトメア』という新キャラの情報は公式からも出ていなかったので、どこの支社に所属している『ナイトメア』だ?ってなっていたのですけれどね〕


 ん?


〔まさか、日本の東京支社にこれほどの美女が再誕するとは!〕


 んー?


「あの・・・私以外にも、その『ナイトメア』さんは居るんですか?」

〔居ますよ?っというか、有名な名前って被るんですよねー。人気なところで言うと、東京支社支社長の『イデスバリー・フェニックス』とか、同名の戦士は世界中の支社に居ます。100人以上は居ます〕


 そんなにッ!?


「逆に、イメージの悪い名前だとそこまで多くはありませんね。『イデスバリー・ナイトメア』だと、世界中で10人くらいでしょうか?」

〔そうですね。サキュバスやインキュバスと同様に希少な能力持ちの方が多いです。何せ、夢関係の能力者に多い名前ですからね〕


 そういえば、西洋の悪魔に『ナイトメア』っていうのがいるんだっけ?


「まぁ、一般的には馬怪人系のイデスバリー戦士になりますよね」

〔ええ、その通り・・・そういえば、夜乃ユキトさんは悪の組織の女幹部風な姿ですけれど、なぜに『ナイトメア』とお付けになったんですか?〕

 

「・・・悪夢を見ているとしか思えなくて、ナイトメア・・・と・・・」


 一番最初の状況を思いだすと、今でも悪夢を見ていたではないか?と思える。

 なにせ、訳も分からないままにリザドラルさんに出会い、怪物に遭遇し、変身し、怪獣が出現して、お養父とうさんが地蔵菩薩像で・・・こうして思い出してみると、本当に悪夢を見ていたとしか思えない場面転換をしている。

 そんな状況で、変身時の名前を決めるなんて・・・カッコいいヒーローやカワイイヒロインみたいな名前を思いつける人ってどれぐらい居る?

 私には、とても無理だった・・・。


「まぁ、ユキトさんのパターンだと、冷静に思考している場合でもなかったでしょうしね」

〔目まぐるしい状況の変化について行くのもやっとだった。と、考えれば・・・むしろよく思いついたものです。どんまい!〕


 ・・・ありがとうございます。


〔話が逸れてしまいましたので、ここらで戻しますが、夜乃ユキトさんに関する情報が開示されたことで、多くの同志たちが熱を上げました・・・久々の美女キャラ来たコレーッ!!〕


 あ、またテンションが・・・。


〔これはズル過ぎる! 怪異の活性化を促し、東京支社が憑依霊たちに二度も襲撃され、立て続けにダンジョン・フィールドの発生までやっているのに、美女と来たッ! すでに我ら同志は行動を起こしているのです!〕


 え? 私のフィギュアを購入するために日本へ来ているとか?


〔まずは、憑依霊の襲撃・・・つまりは『緊急クエスト』に参加できるよう、日本への出張や転属の申請が殺到したりッ! 怪異に捕まったあなたがエッチな事をされる同人誌の作成が始まっていたり! アカウントが凍結された者たちも、必死になって復帰を懇願していたりッ! なかには稼働中のアカウント売買や強盗事件まで発生している始末!!〕


 とんでもないことになってるッ!?


〔そんな中で私は東京支社に配属されているバース・パーソン! 勝ち組プレイヤー! ふっはっはっはっはーッ! 見苦しい負け犬を高みから見物できるというのは、実に心地よいですねぇぇええ!!!〕


 ・・・。

 ・・・・・・。

 ・・・ラナタスカさん?


「あー、だいぶ昔に同期の方から嫌味を言われたらしいですよ? 日本はキモイ妖怪の巣窟になっているのに、配属とかカワイソーってことを」

〔その通り!! あいつら、大陸は怪異の襲撃頻度が島国に比べると低いから快適だけど、キャジーは大変ね~♪ってな具合にぃぃぃぃ〕


 そ、そんな事が・・・。

 ・・・ん? 襲撃頻度が島国と比べると低いから快適?


〔・・・ふぅ。大陸は土地が広いわけですからね。怪異がイデスバリー戦士たちの『光』を見つけて襲い掛かってくる頻度は、日本に比べると低かったのです。土地が広いから〕


 なるほど、そう言われると大陸と島国の差を考えれば、怪異に襲われる頻度に差があるのも頷ける。


〔それに、イデスバリー光の抑制前だったとしても、現在のイデスバリー・ナイトメアさん程の『光』を放ってはいなかったはずなので、ここまで短期間に怪異が集団で襲ってくるのは異常事態に変わりありません・・・だからこそ、多くの同志が日本へ転属したいとか出張したいとか大騒ぎしているわけです〕


 命の危険に晒されている側から言わせてもらえば、迷惑でしかない話ですね・・・。

 はぁ・・・考え方を変えよう。

 それだけ多くの戦士が日本へやって来てくれるなら、私に降りかかる危険を払い除けやすくなる・・・と。


 ・・・そこまでポジティブに受け入れられない。


〔あのぉ・・・イデスバリー・ナイトメアさん。いえ、夜乃ユキトさん〕

「はい?」

〔折り入って、ご相談したいことがあります〕

「はい? なんでしょうか?」

〔あなたのフィギュア制作について、さいか――――



ばがぁぁああんん!!!



 ッ!?

 あまりにも唐突な破砕音に、病室に居た全員が驚きながら扉へと振り向く。

 すると、病室の扉・・・引き戸を倒して室内へと入室した一人の看護師さんが、慌て過ぎて混乱したような顔で叫んだ。


「たいへんですッ!! 警察がッ!! 警視庁が!!! 夜乃ユキトさんに会いに来たと、社の受付から緊急連絡がッ!!!」


 ・・・。

 ・・・・・・。

 ・・・・・・・・・。

 ・・・またッ!?


 それも、今度は警視庁ッ!?

 なんでッ!?



次回は、警視庁から来た刑事。を予定しています。


テレビで、人気の名前特集を見たのがきっかけです。

当初は思いつきもしなかったのですが、設定の練り直しをしている最中に『人気の名前』って、割と被るよね?っとなりまして、変身名が同じ戦士は結構いる。という設定を追加しました。

必要なかったような気もしますが・・・追加しました。


最後まで読んでくださり、ありがとうございました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ