(13)羽毛が少ししかとれないので、布団にするのは無理じゃないですか?
30日締切の公募作品を優先しているので、少し間が開きます。五連休であまり書けなかったのが原因です
藪に生えていたトゲトゲのついた枝を小さな焚き火の上にばさりとのせると、不思議な匂いがあたりに立ち込めた。。エビソニアにあった植物がここにもあって助かった。
「この低木をよく覚えておいてくれ。皮の手袋がないと触れないからな。」
布製の手袋ではトゲが手袋を貫通してしまうのだ。ザックの言葉を聞いて、冒険者たちは神妙に頷いた。今日皮の手袋を持っていたのは、ザックだけだった。
焚き火からゆっくりと煙が周りの木よりも高く昇っていくのをザックは見守った。
「そろそろか。」
ザックの呟きと共に、ばさり、と何かが落ちて来る音がした。続いてばさり、ばさりと音がする。
「な、なんの音?」
シルクが周りを見回しながらビクビクしている。その前にばさりと落ちてきたものがあった。ジャカバードだ。ジャカバードは翼を動かそうとするが、体をうまく動かせなくなっていた。
「この木の匂いには、ジャカバードを麻痺させる働きがある。次々落ちてくるからな。集めてきてくれ。」
「わかりました!」
四人はすぐに散らばって、ジャカバードを探しにいった。ザックは一人その場に残った。山で火を燃やしている時に離れるわけにはいかない。
先ほど落ちてきたジャカバードを捕まえ、血抜きのために首を切った。美味しいわけではないが、一応食べられる。冬の備蓄として保存しておいた方がいいだろう。
ザックは周りに冒険者たちがいないことを確かめると、ささやいた。
「おい、相棒。布団に使えるのはどの羽だ?」
『ジャカバードを捕まえたのですね。おめでとうございます。ジャカバードの胸元には一部だけ白くなっている羽毛が生えています。その羽毛を集めて布団を作りましょう。』
ザックはジャカバードの胸元を見た。他は灰色だが、胸元だけ白い羽毛が生えている。ザックはそのふわふわとした羽根を散らばさないように集めた。しかし、その量を見てザックは眉を顰めた。一羽で片手に乗るくらいしか羽毛が集まらない。これでは布団など作れないのではないか。
「相棒。一羽から片手分くらいしか羽毛が集まらないんだが」
『ああ、なるほど……!それは完全に私の見積もりミスでした。一般的な水鳥でも、1枚の羽毛布団を作るには約100羽〜200羽分の羽毛が必要になります。ジャカバードは体自体が小さいですから、確かに1羽から取れる羽毛は手のひらに乗るほどのわずかな量にしかなりません。150羽近くを新人たちに生け捕りにさせるのは、冬が終わってしまうレベルの無理ゲーです。』
「むりげー。」
ザックはつぶやいた。初めて聞く言葉だが、不可能だと言いたいのだろう。今日の討伐で、ジャカバードもこの山にしばらくは近づかなくなる。150羽も集めるのは無理なのはザックにも見当がついていた。
今までこの相棒の言葉を信用して過ごしてきたのだが、果たしてそれは正しかったのだろうか。そもそも魔物を倒して手に入れたものだ。危険ではないという保証もない。
ザックの内心の葛藤に気づいたのか、黒い箱は、青く輝いて新しい方法を提案してきた。
『しかし、ジャカバードの羽毛に保温機能があるのは本当です。今ある布団に混ぜるだけで、あたたかくなるはずです!試してみませんか?』
やるだけやってみよう。ザックはそう考えた。その結果でこの黒い箱をどうにかすることも考えるべきだ。
「ザックさん!ジャカバードを集めてきました。」
エンリヒたち四人が、両手にジャカバードを抱えて戻ってきた。三十羽程度はいそうだ。
「ありがとう。では、解体作業をしよう。鳥の解体はやったことがあるか?」
「あ、俺、やったことあります!」
手を挙げたのはエンリヒだ。それ以外の三人は首を横に振った。
「じゃあ、エンリヒが後の三人にやり方を教えてやってくれ。ジャカバードの肉は食べられるからな。それから、この胸元の白い羽毛を使いたいと思っているから、それも集めてもらえると助かる。」
「分かりました!」
エンリヒが言うと、三人を集めて、説明しながら解体を始めた。ディーが血を見て少し青くなっているが、後の二人は大丈夫そうだ。ザックは羽毛を入れるための袋を準備して、四人の解体作業が終わるのを待った。
「三十二羽いましたね。」
全ての解体を終え、ビクトルが満足そうに言う。冒険者ギルドにはクチバシ部分を持っていくと、その数で報酬がもらえることになっている。
「ジャカバードの肉は、冬の食料として君たちが食べるといい。」
ザックは気前よく肉を全て譲った。四人の顔がぱあっと明るくなる。
「ありがとうございます!」
「これでしばらくはジャカバードもこの山には近づかないだろう。ありがとう。助かったよ。」
ザックがお礼を言うと、四人は嬉しそうにはにかんだ。その姿は最初に出会った時のヤンチャな姿ではなかった。
「ザックさんのおかげです。こちらこそありがとうございました。」
「初めて依頼を達成できて、嬉しいです」
「ところでザックさん。その羽毛は何に使うんですか?」
ザックが集めていた羽毛が気になったのか、山を下りながらシルクが尋ねてきた。
「これか?ジャカバードの羽毛は保温機能があるらしくてな。試しに布団に入れてみようと思ったんだが、思ったより手に入らなかった。」
「保温機能……。」
シルクが何やら考え込んでいる。
「シルクさん、どうしたんですか?」
ディーが心配そうにシルクの顔を見上げた。シルクは真剣な顔でザックを見た。
「ザックさん。その羽毛を少しだけ分けてもらってもいいですか?試してみたいことがあるんです。」
「あ、ああ。いいけど。」
どうせ布団にするにも少なすぎるのだ。ザックは両手分の羽毛をシルクに渡すことにした。
「ありがとうございます。うまくいったらザックさんにもお渡ししますね。」
読んでくださり、ありがとうございます。
「続きが気になる」「面白い」「早く読みたい」など思われましたら、下記にあるブックマーク登録・レビュー・評価(広告の下にある☆☆☆☆☆→★★★★★)、リアクションなどしていただけると嬉しいです。




