1章 羽拾い 5-喰らわれる者
ぐったりとする体。震える手。
まだ脳が興奮しているのがわかる。
助かるためとはいえ、大きな生き物の命を奪った事に心が揺れる
横たわる古鳥の羽毛が目に入る。
美しい羽が生え揃っている。
ためらいながらも一枚抜いてみると
「綺麗…」
私はその古鳥を持ち帰ることにした。
羽を痛めないように気をつけながら、大きな古鳥を籠へ入れ背負う。
怪我をした足を引きずりながらも
家路につく。
疲れた。本当に疲れた。
取り急ぎ、くじいた足の手当てをすると、怪我は思いの外酷かったらしく
青く腫れ上がっていた。
骨は折れていないことを確認し応急手当てをした。
「何か食べて体力をつけないと。体が弱ると感染症になってしまうかもしれない」
痛みを紛らわすように自分に言い聞かせ、
食品ストックを覗く。
(あぁそうだった。もう街に行くのだからと、色々なものを切らしてしまっているんだった)
「何か食べるもの…」
周りを見渡す。
目に入ったのは古鳥だった。
「い、一応、鳥肉…だもんね」
背に腹は変えられないと
包丁を持ち、皮を剥ぐ。
そうすると、大きな鳥肉に過ぎない塊になった。
ジュー グツグツ
湯気と共に美味しそうな油の香りがする。
さっきからぐーぐーと腹の虫がうるさい。
器に盛ったそれを
恐る恐る口へ運ぶと
「美味しい…美味しい!!!」
夢中で貪るように食べた
(美味しい。なんて美味しいの。肉食獣の肉はイマイチと聞いたことがあるけれど、すごく美味しい)
一通り満腹になるまで肉を食べ満足し
残った古鳥を見つめる
「痛みやすいとこは先に食べて、残りは保存食にしておこうかしら。」
足の痛みも忘れて古鳥を全て捌き、肉を干し、燻製や塩漬けにした。
気づけば深夜となり、その頃にはぐったりとして
脳の興奮が収まったことを感じる。
今更また足が痛い。
しっかり寝て、早く治そう。
早めに街に出て、医者にも診てもらおう。
翌日、足をかばいながらも仕事をこなす。
皮から羽根を全て抜き、いつものように洗うと
一部の羽が赤黒く、汚れが取れない。
どうやら羽の内側に血が染みて入ってしまったようだ。
私は赤黒いそれらを分別し、綺麗なものを選り分けた。
しかし、ほんの少しだけ汚れている羽を見て迷う。
「うーーんせっかく綺麗だけど…これは売れないかなあ…でも沢山売れる時期だし一応持って行こうかしら…おまけくらいにはできるかも。」
加工まで終えた夜、また肉を食べた。
「街に買い出しに行くまでは仕方ないから」
自分に言い訳をし
肉の旨さに感嘆を漏らす。
寝る前、拾った父のナイフを手入れしながら考える。
明朝、完成した羽を持って街へ行こう。
先に医者に診てもらって、一泊してから売りに行こう。
せっかくの収穫祭だからもう何日か泊まりながら宿で静養してしまおうかな。
こんなに沢山の羽を売り物にできるんだもの。
少し贅沢しても良いわよね。




