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神翫-SHINKAN  作者: あかり屋
1章 羽拾い

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1章 羽拾い 3-家業

父は羽根売りだった。

評判が良く

国の外から買い付けに来る人までいた。

なんでも、父の作った羽根で魔法をかけると、同じ魔法でも効果が大きいのだとか。


魔法貴族は多くなく、しかし魔法を必要としている人は多い。

常に需要と供給が合っていないため、

魔法をお願いするには結構な金額が必要になる。

魔法貴族側も、魔力には限りがあるので、お金を積まれても出来ない時は出来ない。

常に予約待ち、もしくは緊急性の高いものには高額で対応してたりするらしい。

そんな中、少ない魔力で効果を高めてくれる父の羽根は、とてもよく売れた。


「ねぇお父さん。なんでお父さんの羽根は良い羽根なの?」

「こうやって丁寧に作っているからだよ。ひとつひとつ、使う人の気持ちを考えて、その人の喜んだ顔を思い浮かべて作るんだよ。そうすると、自然と出来の良いものが作れるもんだ。」

「ふーん?」

「はっはっは。まぁあとは、あの森のおかげだな」

「森?」

「そうだ。あの森には古鳥の神さまがついている。お父さんの、またお父さん、そのお父さんも、ずーっとあの森で羽根売りをしてきたんだよ。」

「神様はあそこで何をしているの?神様がいるのに、あの森は危ないからダメーって言うのはなんで?」

「森の神様は、森に住む者の神様だからだよ。テイラたちの神様ではなく、森を守る神様なんだ。だから、そこに入ってしまう私たちの事は良く思わないんだよ」

「じゃあなんで森に入ってお祈りをしに行くの?」

「それは羽根を分けてもらっているからさ。森が作ったものをわけてもらっているのだから、人の作ったものを返すんだ」

「ふーん。」


あの頃はぼんやりとしていたこの意味が

今はなんとなくわかるようになった。

古鳥は上質な羽根をくれるが、肉食だ。

腹が空けば人でも襲いに来る。

そこで、羽根売りがたまに餌を補填する。

町に被害が来ないように、未然に防ぐ役割を買って出ていると言うのが実情だ。

危険と隣り合わせで羽売りという家業は成立しているのだ。


とは言え、肉を供えにいくのは多くない。

繁殖時期で餌を多く必要とする夏終わりから冬の始まりの間だけ、定期的に供えればそれで問題ないのだから。

もう一踏ん張りだ。


新しく落ちてきた羽根たちをあらかた拾い終えると、家へと戻った。

羽根拾いは日のあるうちに。

夕方からは室内作業だ。

いつもの部屋で

いつもの仕事。

羽を干し終え、夕飯を取り、古い服を繕った。

そうしてゆっくりと時間は過ぎていく。そんな日々の暮らし。

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