1章 羽拾い 16-夜空
視界に入ったテイラは、頭を腕で覆い守りながら耐えボロボロだった。
一張羅だと笑って見せた服は破れ、か細い脚に血が滲んでいた。
まだ治りきっていない足首では踏ん張りも効かなかっただろう。
「テイラ!」
もう一度叫ぶと気付いたのか、デイジーを見て手を伸ばす。
伸ばした手と手がつながり、テイラが言う。
「助けて…お願い」
癖でサッと腰の羽入れに手を伸ばすが、無い。
覚悟を決めテイラに抱きつき、力いっぱい男共から引き剥がすと、怒号が飛んできた。
「仲間か!?」「お前も羽売りか?」
テイラは小さく震えていた。
「あなたたち!考えればわかるでしょう!?まだ子供よ!何ができるって言うの!?」
「俺はそれよりも幼い子を食わせてんだよ。そいつのせいで飢えさせるわけにはいかねぇんだ」
「この子を捕らえたって解決しないわよ!」
「それは捕らえてみないとわからないだろ。可能性に賭けるしか、俺たちには残ってねぇんだ」
「そんな…じゃあこの子はどうしたら無実が晴れるのよ!?」
「知るか!じゃあ俺らはどうしたら助かるんだよ!」
「っ…」
口ごもっていると、テイラが小さく口を開いた。
「デイジーさん…助けて下さい」
そう言ってテイラは欠陥品の羽を差し出した。
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抱きしめられ安心する。身体中が痛い。
私はもう、
もう理解していた。
この羽だ。
この羽が魔法を増幅させるんだ。
コーネが最高品質の羽を使ってもだめだった。
丁寧に作るとか、見た目が良いとか、大きいとかでは無い。
血のついた羽。
それをデイジーに差し出し、言う。
「助けてください」
「…良いのね?」
この羽を使えば後戻りはできない。
テイラは“例の羽“を持つ羽売りとして確実に認識される。
それは周りから見れば、この混乱を作ったと認めるようなものだった。
私には、群衆を説得できる力量はなく、
無実を証明するには足りず、
解決の道筋が見出せるほどの学もない。
ならば、もはや選択肢はない。
このいわれのない罪を背負い消えよう。
「はい。」
デイジーは羽を受けとり強くテイラを抱きしめ唱えた。
「ウォラートゥス」
閃光と共に、一瞬で上空へ飛び上がった。
ドン! ドン!
花火の広がる空に2人の影が小さく浮かぶ。
花火から散る火の粉と魔法の金の粉が混ざり合い、夜空は幻想的に輝いた。
「ママ、とっても綺麗ね」
「そうね」
人々の上に作り出された美しい景色は、
混乱の中夜空を見上げる無垢な者だけが見ていた。
数年前、家族と手を繋いで夜空を見上げていたテイラのように。
1章 羽拾い 完
2章 魔法
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