1章 羽拾い 10-不安の種
「デイジーさんはゆっくり召し上がっててください」
食事をそこそこに切り上げ、私はコーネ様の屋敷へ走った。
急いで戸を叩くと、スライがびっくりした顔で出てきた。
「はあ、はあ、あの、 っふう コーネ様にお知らせしたいことがありまして」
「まあ、そんなに息を切らせて…生憎なのだけど、コーネは出ているわ。明日祭りのリハーサルがあるから、その打ち合わせに行っているの。だから会場の広場付近かしら…。ここで待つ?」
「ありがとうございます。急いでいるので会場へ行ってみようと思います!」
会場の広場へ着くと、貴族の数は少ないためすぐに見つけることができた。
大人たちと会話しているところに駆け寄り
「あの!すみません!少しお話があって!私不安で!」
「どうしたんだいそんなに息を切らせて。落ち着いて息を吸って。…聞かせて。」
私は一連の不安ごとを並べて話した。
頭にあるが、まだまとまっていない話を、コーネは真剣な顔で聞く。
「なるほど。それは至急確かめる必要がありそうだ。
ここにいる皆のなかで、害獣被害がこの付近以外で起きているかを知っているものはいるか?」
ざわざわと民が小さな声で呟くが、
これと言って大きく発言するものはいなかった。
「わかった。調査の者を出そう。おい」
そう言ってお付きの人を呼ぶと、コーネは指示を出し
早急に周辺の街の作物状況を探らせた。
「皆中断してしまいすまない。この問題はこちらで状況確認と策を考えて後日必要があれば正式に掲示をだすから、それまではいつも通り過ごしてくれ」
「わかりました…」
民は口々に小さく返事をするが、不安な表情をしているのが見て取れた。
その中の一人がふと聞いてきた
「君は一体なんの人なのだい?害獣に詳しいのかい?」
「いえ、私はただの羽売りで詳しくはありません。旅の方と知り合いまして、街を案内している中で旅人さんが今回のことを気にしてくださって。」
「なるほど、旅の方なら納得だ。多くを見聞きしてきて違和感を覚えたのかもな。」
そういえばデイジーはなぜ詳しいのだろう?
どんな旅をしてきたのだろう?
「テイラ、教えてくれてありがとう。今できることはやったから、君も安心しておかえり」
「ありがとうございます。」
デイジーの元へ歩き戻りながら、
不安が増えたことで自分も暗い顔をしているのがわかった。
(せっかくの祭りよ!私は農家でもないからできることはやったわ。楽しまなくちゃ!)
心の表面だけを取り繕った。
「はあ…」
ハリボテの元気はあまり向いていなかったようで、ため息をつく。
ぽりぽり頭を掻きながら、ぎこちない笑みでデイジーと再び顔を合わせ
「明日は買い出ししながら街を案内させてくださいね!」
と、空元気を演じてみせた。
「…ええ、ありがとう。お仕事の日だから疲れているでしょう。明日は任せるわ。今日はゆっくりおやすみなさい」
デイジーにはお見通しなようで
気を遣われた。




