第26話 見つけた
夜。
いつも通り、俺は配信を開いていた。
黄:『やっほー! クロマリンクの黄色担当、黄瀬ミレアです!』
明るい声。
いつもと変わらない、元気な挨拶。
今日は雑談配信らしい。
黄:『今日はみんなのお悩み相談会でもしようかな?』
コメント欄もいつも通り賑やかだ。
「きた!」
「ミレアの雑談配信助かる」
「実は最近……」
俺も画面を見ながら、ぼんやりとコメントを追う。
ーーそのときだった。
「見つけた、虹川ソラ」
一瞬、流れたその一文。
「……ん?」
気のせいかと思った。
でもーー
「今の何?」
「虹川ソラって?」
「は?」
ざわつき始めるコメント欄。
「やっぱり?」
「俺も声似てると思ってた」
不穏なコメントが増えていく。
「この前の料理配信で映ったぬいぐるみ。あれを持っているのは虹川ソラ本人だけだ」
虹川ソラを見つけたとコメントしたリスナーから、さらにコメントが打たれた。
「そうなのか?」
「まじで?」
空気が変わる。
観ているリスナー達も配信を無視してコメント内で会話を続ける。
「虹川ソラのぬいぐるみはグッズとして売られていない。あるとすれば、リスナーの1人がオリジナルで作り、彼女に送ったぬいぐるみだけ。これは虹川ソラが配信内で自分で言っていた」
「まじ?」
「そうなの?」
「俺昔推してた!」
黄:『……えっと〜?』
黄瀬さんのの声が、ほんの少しだけ揺れた。
「気のせいだろww」
「たしか声も似てるって、SNSでも言われてたよな」
「スローにしたら分かるやつじゃね?」
「俺もアーカイブ観てみよ」
コメントが止まらない。
黄:『ちょっとみんな〜。虹川ソラさんじゃなくて、私の話をしてよ!』
黄瀬さんの声に明らかに動揺が見られる。
コメントが多く飛び回る中ーー
「アーカイブスロー再生で観てきた。ぬいぐるみは私が送ったやつだ」
ーー決定打だった。
「は?」
「マジで?」
「確定じゃね?」
黄:『ちょ、ちょっと待ってね!』
黄瀬さんが慌てて笑う。
でも、明らかにおかしい。
次の瞬間ーー
配信が、切れた。
静まり返る画面。
コメントだけが流れ続ける。
「逃げた?」
「やば」
「これガチじゃね?」
俺はただ、呆然と画面を見ることしかできなかった。




